第21話 何気ない日常
変化なく、いつもの日常を過ごしていた。
これで良い。
突然変化をしてしまえば心が持たない事もある。
辛く悲しくなるのはごめんだ。
そんなことを思っていると。
「つんつん」
「ん?」
僕の頬を指でつんつんしてきたみずきさん。
「何?」
「ぼーっとしてた」
「あー、ごめん」
「むぅ」
みずきさんの頬が膨らむ。
「怒らないで」
「
「それは、ごめん」
「ぼーっとして良いから、回数を減らして」
「善処します」
僕のぼーっとはいつの間にかなる事で、呼ばなきゃその思考から意識から帰って来ません。
ある意味、面倒くさいよね。
「でも時々、ぼーっとしててもカッコ良いって見えちゃう時があるから不思議」
「そうなの?」
間抜け面と思ってるんだけど。
「そうなの、私だけかな?」
みずきさんだけなら、まあ。
「私だけ知ってる事だし良いよね」
「うん」
「弦大君と関わらなきゃ分からない、まさに彼女の特権」
「おお」
なんだか恥ずかしいや。
嬉しそうに話すからよほど気に入っているようだ。
ぼーっとも案外、印象ポイントが高かった。
「ねえ明日、予定あるかな?」
みずきさんから珍しい!
「ないけど?」
「やった!」
「何かのお誘い?」
「一緒に勉強、なんてどうかなぁって」
なーんだ。
「僕なんてみずきさんから教わる事しかないけど、それでも良ければ」
「いくらでも教えるし、一緒に出来れば楽しいかなって」
「1人よりはね」
「うんうん♪」
こうして僕達は週末一緒に勉強をする事になった。
※
僕の家で、僕の部屋で、勉強を始めて1時間。
どの教科もみずきさんのおかげで捗った。
分からない所を聞くと、先生よりも分かりやすくて理解出来た。
「みずきさん、本当に頭良いね」
休憩中、オレンジジュースを一口。
「私より賢い人はいるよ」
みずきさんもオレンジジュースを一口。
ストローで飲んでいるので、なんだか上品に見えてしまう。
「分かりやすく教えてくれるし、先生の説明より理解出来る」
「ありがとう」
「教鞭を奪ったら勝てるよ」
「それは出来ません!」
とりあえず、これで成績が上がれば感謝しなきゃだ。
「テスト前にもまた一緒に勉強良いかな?」
「もちろん、喜んで♪」
良かった良かった。
「お兄ちゃん、入るよー」
「どうぞー」
妹の
手には問題集とノートと筆記具がある。
ん?もしや?
「みずきさん、私にも勉強教えて下さい!」
あーやっぱり。
「弦姫、お前なー・・・」
「良いよ?」
「マジか?」
「やった!」
みずきさんは寛大過ぎです。
「はぁー、ありがとうございまーす!」
「どういたしまして」
更に1時間経過していた。
「ではこれで勉強会は終了。片付けて帰るね」
「送ってく」
「ありがとう」
片付けを完了し、みずきさんは「お邪魔しました」と挨拶してから家を出た。
「んじゃ送ってくから」
「気を付けてねー!」
「はーい」
※
ゆっくりと歩く。
みずきさんに合わせて。
「今日は楽しかった」
「こちらこそ」
好きな人と歩く。それだけなのに幸せに満ちている。
すると、みずきさんの方から手を繋いできた。
「この前の・・・約束・・・」
ドキドキしてきた。
「約束だけど・・・手を繋ぎたいなって思ってて・・・」
「嬉しいよ」
「私も」
僕もそうだけど、みずきさんの頬も赤くなっていた。
暫く歩き、駅に着いた。
「迎え来てるからここで大丈夫」
「分かった」
ゆっくりと手を離した。
ぬくもりが残っているから、名残惜しさが増す。
「また学校で」
「うん、学校で」
みずきさんを見送った。
「はぁ・・・帰りは寂しいな・・・」
とぼとぼと1人で家に向かって歩いた。
寂しいな・・・
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