第20話 新学期、違う心持ちで

 3年生になってしまった。

 高校生としていれる最後の年。

 あっという間に過ぎ去るのだろう。

 僕は変わらず部活に所属せず、園芸委員に所属。

 そして委員会の委員長に就任。

 あー、嫌だなーと思いつつ、やることは変わらない。

 花や観葉植物に優しい環境を維持するのみ。

 クラスはと言うと、僕は文系の大学を目指すクラスに。

 さとしは就活に特化したクラスへ。

 優愛ゆめは理数系の大学を目指すクラスへ。

 みずきさんは僕と同じクラス。嬉しいです。

 ただ担任は、あの人。

「まさか3年の担任になるなんてな!よろしく!」

 はぁ・・・こう姉ちゃん。

 まあ良いけど。

 今さら知らない先生よりはマシ。

 この1年はどんな感じになるのやら。

 ジェットコースターよりかは、緩やかなメリーゴーランドくらいのスピードでお願いします。



「同じクラスだね」

「うん」

「嬉しい♪」

「僕も」

 図書室、僕とみずきさんしか居ない。

「ねえ、呼び捨てで呼んでよ!」

「いやー」

 付き合ってまだ1ヶ月。未だにみずき“さん”と呼んでいる。

 恋人になっただけでも心がドキドキしているのに、呼び捨てとかまだ早い。

「そのうち呼ぶから」

「早く呼んでね?」

「努力します」

 これを初々しい、と言うのかな?

 不馴れな関係で大変だが、今の所順調です。



 ある日の下校中。

 みずきさんの歩幅に合わせて歩く。

 一緒に帰るだけで幸せを感じている自分。

 気持ちもふわふわ状態。この時間がもう少し長くなれば良いのに。

「「あっ」」

 ふと互いの手が軽く触れた。

 そう言えば、まだ手を繋いでなかった。

 良いのかな?うーん・・・えい!

 僕からみずきさんの手を取り繋いだ。

 さすがに恋人繋ぎという高度な事は出来ないけど普通なら、と。

「・・・良いよね?」

「うん・・・良いよ」

 今、みずきさんはどう思っているかな?

 良いよって言ったから大丈夫なはず。

「初めて・・・だね」

「そうだね」

 緊張からかぎこちない会話。

 でも手を繋いでいるから、緊張していても嬉しく思う。

「次は私から繋ぐね」

「うん」

 互いに微笑みつつ、歩を進めた。

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