第3話 作戦
みんなと打ち解けるべく作戦を練る為に、担任の所に行った。
職員室がざわざわしている。
きっと、みずきさんが図書室から出てきたからだと思う。
「本当に良いのか?大丈夫なのか?」
この人もサバサバだから、嫌なんだけどなぁー。
「はい、覚悟は出来てます」
そうみずきさんはハッキリと言った。
「そうか・・・でも、無理はするな」
「はい」
「さぁ戻れ戻れ。苦しくなるぞ」
「もう苦しいです、失礼します」
みずきさんはダッシュで図書室に戻って行った。
置いてかれた僕と
「あんた達がまさか彼女を見つけたとはね・・・特に、花にしか興味ない
「そんなに?」
「ああ。大雨が降ってもおかしくない」
失礼な人だなー。
「まぁ、明日の初顔合わせはバックアップする。
「えっ?」
「弦大は・・・期待していない」
ガックシ。
お気付きだろうか?
何故、僕の事だけ呼び捨てかというと、この人いとこなんです。
母親の妹の娘が先生。
担任が発表された時に背中がゾワッとしたのを今でも覚えている。
この人、紅姉ちゃん、僕の事を遊びの中で、相撲で投げ飛ばしたり、プールではいきなり背中を押されて水に強制ダイブ。
肝試しでとことん僕の事を泣かしに驚かしたり、ゲームは容赦しないし。
盆と正月に会うのが嫌だった。
大学生になってからは落ち着いたから良かったけど、今でもトラウマ。
「さて、あとは席なんだが、
「そこは私にお任せを!」
優愛、何か良いアイデアがあるの?
「そうか、なら任せる!」
「ご期待に添えられるようにやります!」
※
翌日。朝早くに僕と優愛と聡は教室にいた。
「まず、みずきの隣は私。それで、みずきの後ろに弦大、私の後ろに聡、どうかしら?」
「配置的に異議なーし!」
朝から元気良いな聡。
「あとはどかさないと」
「言い方」
「うるさい!」
怒られた。
7時半過ぎになると続々とクラスメイト達が教室に入って来た。
移動してもらうクラスメイトの何人かに優愛が声をかけると、皆言うことを聞いて移動開始。
あれよあれよと、予定通りの配置になった。
「さあ、弦大!」
「ん?」
「ん?じゃないよ!呼んできて!」
「あっ、ああー」
「間抜けな返事するな!」
あー怖い怖い。クワバラクワバラ。
「おはようー」
「おはよう弦大君!」
元気そうで。
「大丈夫?」
「えっ?」
「昨日猛ダッシュで職員室出て行ったから」
「あっ、ああ・・・気にしないで」
教室に居れない理由の1つなんだろう。
深掘りしない。
「じゃあ行こ」
「うん」
なんか震えてない?
こういう時はどうすれば・・・あっ!
僕はみずきさんの両手を優しく両手で包む。
「弦大、君・・・」
「大丈夫」
「ふふ、ありがとう」
みずきさんは微笑んだ。あっ、震えが止まった。
そっと手を離す。
「じゃあ、今度こそ行こ」
「うん!」
元気な返事が返ってきて安心した。
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