6 ゲート

車に乗り、夜の街を走った。

流れゆく街の光を尻目に僕は走った。

車の窓からは月が見え、レインボーブリッジの頭頂部から張られたメインケーブルが、車道の両脇に高く高く聳え立っている。

「忘れてたまるか」

自分自身の呟きが、車内に吸い込まれていく。僕はきっといつか、何もかも忘れてしまうだろう。その前にどうしても聞いておきたいことがある。


「この星をどうして僕たちに残してくれたの」

「愛してほしかったから」

「この星を?」

「そう。そして、ついでに私もね」

そう言って君は笑い、僕から目を逸らした。君はゲートの前に立ち、僕の顔は見ずに手を振った。

ゲートから溢れる光が君を包んで、君の姿は見えなくなった。

「君の代わりに僕がこの星を守り続けるよ」

僕は誓った。

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短編 Strong Forest @strongforest

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