第6話 forestの生物

街へ取って返す

自分の馬は野に返し

普通の馬をダンテとユーリーはそれぞれ借り

王城へ3人で目指して三日目の事だった



「おう、元気にしてたか!」

急にかけられた男言葉にそれを男と思う人はいない

いかにも『おんなのこ』ぽい声で

男として見れば年若い変声期前の坊やだろう



聞きなれた言葉に思わず微笑みながら

「カモーナも元気そうだな。お前も王からの使いか?」

「いや、俺も呼び出された口だな。これから向かう」



カニスロを見やり

「目的は同じか?」と問う

首をすくめて

「俺は伝達業だけなので憶測ですがたぶんそうだと」

「そうだったな。すまない」



こうして4人になった一行は

また城に向かう



その道すがらダンテがカモーナに問う

「どうなってる?」

城のことではないだろう、ティーノのことだろうと

判断して返事が返ってきた

「たぶん、身を潜めてる。どんどん情報が無くなって

正直、お手上げ状態さ」

「なるほどなー。お前さん、また色っぽくなったな」

「嬉しくないけど女盛りだしな。近寄ってくる男払いがお手の物になりつつある」

「テイーノも女っぽくなってるのかもな」

「ああ、俺よりも女っぽいさ。表で動いてればな」



ダンテが曇った顔のカモーナを見る

「寂しさで他の男にでもすがるなら・・・

人生のやり直しは効く

でも、暗躍の目的で女であることを利用しだしたら・・・

もう、女ってのはほぼ取り返しがつかないもんだ」

「その気配もないんだろう?」

「ない」



しばらく沈黙の道中が続いて

野宿の用意が終わり団らんを始めると

ダンテが口を開いた



「城の件が終わったら仲間を呼ぶぞ

一人じゃここまでだ、手遅れになる前に

引き戻す。絶対に見つけて・・・」

「そうだな、待っててもらってもティーノは帰らない

そんな気がしてる今は・・・」



王城が遠くに見えるようになった

もう一息の道中の頃



知らぬいかにも魔術師らしき男が

一つの生き物を召喚した

巨大なコガネムシ・・・forestの生き物だ



二人はほくそ笑んだ。確かに脅威かもしれない

一般人には

ダンテが素早く弓を構える時

カモーナはもう走り出してる低く弓の邪魔にならぬよう

ダンテは巨虫の目を2連射で射貫くと

気合いだけでカモーナは虫を真っ二つにした

そのまま飛んでダンテの隣に立つと



それでも向かってくる巨虫に落ち着いて結界を貼るダンテ

結界にぶつかってひっくり返った巨虫は足をバタバタさせてすぐ動かなくなった



虫の体液が道に散らばりあまりいい光景ではない

そんなところで棒たちになってる魔術師を蹴り倒して

カモーナが縛り上げようとすると男が血を吐いて死んだ



「ちっ、勝負の盟約を飲まされてたか」

「なんですか?それは?」

「ああ、冒険者になりたいなら覚えとくといい

ほとんどの雑魚レベルの敵は従えてるわけじゃない

捉えられて『勝負の盟約』と言われる毒を飲まされてる

勝ち続ける限り毒の効能はない

負けると今みたいに血を吐いて死んでしまう」

ユーリーが不思議な顔をする

「時間とかの制約ならわかりますが

なんで勝負の判定がされるのでしょう」

すこしイラっとした声でカモーナが答える

「知るか、古代文明時代の錬金術師に聞け

今の錬金には作り方しか伝わってない」

「はぁ・・・」



「こんな所に長居は無用さっさと城へいくぞ」

そうして一行は城へ着くのだった


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