第5話 日帰りの予定が

もうじき帰る頃

ダンテはユーリーを宿において

1人墓をまえりにくる

forestに一番近いこの街にアルクムは眠っている

遠い地からここまで運ぶには

結構大枚が飛んだが

6人で出し合ってここへ連れて来た


噂を広めてティーノに知らせようとしたが

死んだ者の位置など他人に関心はなく

その試みは失敗していた


自分以外の墓まえりをしている人間がいるのは

来るたびに身に覚えのない花が飾られてることでわかる

ダンテは野花を拾いその墓にそえた

手抜きとかじゃなく

アルクムはそんな花が似合うような人だった

素朴で静かで力強い

カモーナのよき相棒で2大火力でチームは成り立ってた

目立つカモーナのが名前が売れていたが

本当に縁の下の力持ちだったと言える




「ユーリー帰り支度は済んでるかー?」

そう一言声をかけると

自分も急ぎ帰りの支度を始める

ユーリーはのんびり者だから

きっとまだ帰り支度もせずに何かしていたろうし

きっと声かけられて慌てて支度をはじめたろう


ほどなく二人は宿を後にした

帰りの馬を走らせていると

凄い早がけの馬が近づいてくる

ダンテとユーリーが緊張して

腰の剣を抜いて馬の速度を遅くした


こんな所に用のあるものはまずいない

自分たちへ用事としか思えなかった


追いつくと早がけの馬上の者からやはり声がかかった

「ダンテさん!すこし頼みたい事態が起きました!」

「あれ?見違えたな、お前カニスロか、

てんでガキだったのが若者になったなぁ」

「forestは時間の流れが遅いですからね

そこで生きるものもまた長寿ですからそー感じるのでしょう」


10歳が15歳になれば育ちざかり

ダンテの感覚の方が正しいのだが

forestの時間の流れが遅いのも事実だった


「で、わざわざ早がけして何の用だ?」

「さすがに日帰りするとは思っておらず

慌てて迎えに参りました」


「向かえ?」

「はい。俺、今王国の伝達業で食ってます

王のお呼びたてです。どうか来ていただけませんか?」

「王国に属してない者に強制力はないのは知ってるな?」

「もちろんです」


「事情は聞かされてないか」

「はい。ただの伝達業務ですから」と言ってカニスロは苦笑した


こうして二人は街へ取って返した

王城の城まで1週間ほどの道のりがある

せっかく仕入れた町の特産物は廃棄するしかなさそうだった


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