その28:ニューヨーク散歩

 さて一夜明けたニューヨークの朝。

 軽く食事を済ませ、早速本場のクラブハウスを見学させていただきました。

 

 いやー、スケール違うわ。

 前にも書いたとおり、日本では知名度が低く、メンバー数も非常に少ないです。

 日によっては数人しかこないこともあるくらい。 

 でも、こちらでは違います。 

 まるで普通の会社のオフィスのように人がたくさーん。

 メンバーもスタッフもたくさんいます。

 逆にこれが問題となりつつあるとか。

 これも前に書いたとおり、クラブハウスではお互いの関係性を大事にします。

 あまり人が多いと、普段接することのない人も出てきて人間関係が希薄になってしまうのですね。

 多ければ多いでまた問題があるのだなぁ、と思いました。

 こっちにしてみれば羨ましい悩みなのですが。


 クラブハウスには「過渡的雇用」というシステムがあります。

 これは独特のシステム。

 社会復帰するための準備に取り掛かるものです。

 企業とクラブハウスが契約を結び、人材を派遣します。

 派遣されるのはクラブハウスのメンバー。

 それぞれの症状にあった仕事を選んで仕事に付きます。

 例えば、清掃や、オフィスのメッセンジャーなど多岐にわたります。

 契約を結んでいるのは企業とクラブハウスなので、スタッフもその企業から与えられた仕事を覚えます。

 これによって、過渡的雇用についたメンバーが体調を崩してもスタッフ、あるいは他のメンバーがフォローに入ることができます。

 そのため、仕事に慣れなくて体調を崩すのではないか、という心配もなく就労することができるのです。

 企業もまた精神障害を持つ人を雇ったことで、仕事に穴があく心配もないわけです。

 ただ、日本ではまだ当然の如く馴染みがありません。

 ほんとに小さい規模の仕事しか見つからない状態です。

 本場ではそこんとこ違いました。

 契約企業を見せてもらったのですが、日本人でも知ってる大メーカーがずらりと並んでいます。

 すげー!

 

 数時間見学させてもらったあと、ニューヨーク観光へ。

 いやー、スケール違うわ。

 東京が更にテンションあがった感じ。

 消防車はクラクション鳴らしながら走ってるし、人は沢山いるし。

 うろうろしてたらなにやら見慣れたものを発見。

 吉○屋……。

 興味あるけど、ここまできて○野屋はないよねー、と同行者と話しつつうろうろ。

 まだ長く歩くことに慣れていないので、休憩を挟みながら。

 一番にぎやかなところにきたところ、おなじみのアレを発見!


 タイムズスクエアです。

 わー、テレビでみたことあるけど生は初めて。

 ここまでこれちゃったんだなぁ、と感慨にふけりました。

 つい数ヶ月前までは入院していました。

 その半年前には膝下切断、という現実に呆然、絶望。

 生きてきて一番辛い思いをしていたのに、それから一年ほどでこんなとこまできちゃった。

 そもそもここに来たきっかけは、私の体験を話してほしい、という依頼から。

 義足になっていなければ、私はここには来ていなかったのです。

 軟骨肉腫になったこと自体稀なことだけど、それがきっかけでニューヨークに来ちゃうなんて、人生何が起こるか分かんないものですね。

 

 お昼も過ぎてちょっとおなかがすいてきました。

 なに食べよう、と話していたら「BBQ Lunch」と書いた看板を発見。

 ええやん、なんかアメリカっぽいやん、と入店。

 システム的にはマクドナルドと同じ。

 さて、と席についてトレーの上に置かれた「箸」を見てみたら……。

 ……吉○屋の文字があああああああああああ!やってもーたー!

 まぁ、日本の○野屋とは全然違うんだけどね。

 そもそも牛丼じゃないし。

 お肉は赤身でとても硬かったです。 

 これがアメリカの味かー。

 うん、なんていうか大雑把な味だな。

 でも嫌いじゃないぞ。


 夕方くらいにゲストハウスに戻り、明日の打ち合わせ。

 そう、本番。

 私のスピーチをどうするか、についてです。

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