ストーリー177~179

ストーリー177:激突!脱出ポット破壊!


登場人物

グラン、カート副官、ルイス、ガット、ブライドン艦長(声のみ)、ガルシア、ラムル、ポートル、ジック、グラン、1番艦オペレーター、4番艦オペレーター、4番艦医療班



 量子エネルギー砲によって、青白い閃光が大きく広がるG15の画。

突っ込んで行くギランガ。

 ギランガが閃光で見えなくなると、赤い炎が広がって大爆発を起こすG15。


 手前からHM総督機と副官機がフレームイン。


 グラン「カーレイ長官!……。」


 すると爆発の中から白い尾を引き飛翔体が飛んで行く。負傷箇所が有るのか速度は遅い。

 すかさず副官機が飛翔体に向かう。


 カート副官「総督!脱出ポットの様です。追跡します。」

グラン「カート!……了解した、こっちも飛翔体追跡!」


 HMの交信を聞いていたハンジャ内メインルーム。


 ルイス「ガット、私達も追いましょう。人型だけでは無理。ステルス解除で全速航行!」

ガット「ルイスさん!」

ルイス「とにかく追うわ。飛翔体の映像解析をお願いっ。」

ガット「了解!ステルス解除。映像解析します。」


 奥に見える脱出ポットらしき飛翔体、2機のHMが追う画。


 ハンジャのコクピットでは……。


 ルイス「ジック。飛翔体の速度を確認。ハンジャが真横に向かう様に飛行ルートを算出して。……(独り言、絶対に逃がさない)。」


 ハンジャ内にノアーナ軍の通信音。


 ブライドンoff「こちら7番艦ブライドン艦長。4番5番6番艦は全速で飛翔体に向かう。1番から3番艦は地球連邦軍の人型の全回収を開始。!」

ルイス「軍の船も気付いた!向かってくるわ。ガット、映像は?」

ガット「これはノアーナには無い形、間違いなくG15から脱出したヤツで間違いない!どうやら負傷箇所がある様です。」

ルイス「よし!それなら追いつける!」


 4番艦ドック内、カーラントの面々。


 ガルシア「何がどうなったのか、音声だけじゃ分からない!」

ラムル小声「母上はハンジャで突っ込む気⁉︎」

ポートル「ガット!こちらカーラント。一体どうなったの?」

ガットoff「こちらハンジャ。G15から逃げ出した脱出ポットに突っ込みます。」

ガルシア「ば、馬鹿な!回避しなさい!ルイス、回避!」

ルイスoff「今逃したら、また将来どうなるか分からない。絶対に逃がさないっ。」


 ハンジャ内、ジックは飛行ルートを算出中。


 ルイス「ジック、まだ?」

ジック「……飛行ルート算出完了。緊急の為、操縦をルイス様から変更、あとはお任せください。飛翔体の真横を貫通します!」

ルイス「ジック!私は算出を頼んだだけ。操縦はいいのよ。」

ジック「ルイス様。ここからは細かい操作が伴う為、私にお任せください。」

ガット「ジック……。よしガルアム、シートごとジックを支えてて!……ルイスさん!衝撃は未知数です。操縦はジックに任せてこっちのシートに早く!」


 ルイスはコクピットを離れ、メインルーム寄りのシートに座った。

ガットも同じ様にシートに座っている。


 ガット「ベルトでしっかり固定してください。」


 ガルアムは危険度を察知して、自分の意思で変形して、ジックを抱き抱えた。


 ガット「ルイスさん!急いでシートベルトをしっかり締めてください!……大丈夫。ハンジャを信じてください!」


 軍の船からの攻撃をかわす飛翔体脱出ポット。


 ついに脱出ポットに追いついた副官機。


 カート副官「総督、あとは頼みます!」

速度が今一つ追いついていないが、カートは脱出ポット後方に激突、爆発した。(その画)


 グラン「レインズ―――!」


 副官機の激突とほぼ同時に真横を貫く宇宙船ハンジャ。


 副官機はバラバラになり爆発。脱出ポットを貫いた先では、ハンジャは航行不能、やがて停止した。


 脱出ポットが爆発を起こす画。


 愕然とするグラン、その場に停止する総督機。


 ブライドンoff「こちら7番艦。4番艦は直ちに回収!負傷者保護を急げ!……地球連邦軍の人型機体も回収。5番6番艦は指示を待て。」


 一方HMの回収を終えた1番から3番艦。


 1番艦オペレーターoff「7番艦ブライドン艦長。地球連邦軍の機体の回収完了。これより3隻は地球に向け移動します。」

ブライドン「了解した。こちらも後ほど連絡する。」


 4番艦はグランの総督機を回収、直ぐにハンジャに接近した。


 4番艦オペレーター「次に宇宙船ハンジャの回収を行う」


 ダイム金属の装甲部分以外は傷だらけになっているハンジャ。


 4番艦船尾のドックに回収されるハンジャの画。


 ドック内に音声が響いている。


 ドック内自動音声「ドック内隔壁ドアロック中。内部圧力調整中。……内部圧力調整中。ドック内に出ないでください。」


 圧力調整完了のグリーンランプ点灯と同時に4番艦医療班がドック内へ駆けつける。


 ヒューマノイド=アーマーはドックの壁に持たれかかっている。


 HMからグランが出て来る画。


 そこへ医療班の数人が駆け寄る。


 グランは言葉が通じないのを分かっているので手振りで無事を伝えていた。


 カーラントのハッチが開くと3人が出て来た。


 ハンジャに駆け寄る3人。医療班も駆け寄った。


 ハンジャは着陸装置も起動せずに回収されて、無惨な姿だった。


 ガルシア大声「ルイスー!」


 ラムルとポートルは緊急脱出用ドアに駆け寄り、ドアを叩きながら叫ぶ。


 ラムル大声「母上―!」


 ポートル大声「ルイスさーん、ガットー!」


 2人共泣きながら叫んでいた。


 Fade-out。



ストーリー178:ルイスとガットは無事?


登場人物

ガルシア、ラムル、ポートル、ソディナ、ジャン、カウル、フライ、グラン、4番艦医療班、ガルアム、ジック、ルイス、ガット



 4番艦船尾ドック内。ハンジャを大勢の医療班で囲んでいる。


 声を掛けても、船体を叩いても返答は無かった。


 グランがドアを叩くラムルとポートルに気付き近寄って来た。


 グラン「ラムル、ポートル……。」


 ラムルとポートルはグランに何か言われたが、慌てて、

ラムル「言語解析、……マイクセット。」


 ポートルも慌ててラムルと同じ行動をする。


 グランは察してか、手振りで伝えようとした。


 ラムル「グラン、無事で良かった。」

グラン「ラムル、ポートル。怪我は?」

ポートル「私達は大丈夫。それより……。」


 2人は涙を隠そうとせず、再びドアを叩き始めた。


 側に来たガルシア、


 ガルシア「言語解析、マイクセット。」

グラン「ラムル、ポートル。このドア以外には出入り口は無いのか?」

ポートル「ハッチは下敷きになってて開かないわ。」


 ドアを叩き続ける2人。


 ガルシア「グランさんですね?私はガルシア=オフェイル。ラムルの母ルイスの友人です。」

グラン「中には誰が?」

ガルシア「2人よ。……ルイスと、友人の息子のガット。それからAnnが2体、ジックとガルアム。」

グラン「そうか……。」そう言うとグランもコクピット近くに駆け寄り叩き始めた。


 カーラントからAnn達が出て来た。

医療班をかき分け、そのままハンジャに近寄る。


 Ann達もジックとガルアムに通信や同期を試みようとしている様だった。

 呆然と見守る医療班達。


 ジャンはラムルに寄り添い、フライはポートルに寄り添った。


 ラムルとポートルは叩くのを止め、Annを抱きしめてかがみ込んでしまう。


 ガルシアの横にソディナとカウルが来た。

 Ann達はまだ通信を続けている。


 グランも叩くのを止めた……ところが、


 グラン小声「コ、コクピットにAnnが……見える。……破損箇所は……無さそうだ。うーんモノトーンで分かりずらいな……。」


 グランはラムル達に駆け寄り、


 グラン「ラムル。コクピットにAnnが見える。2体いる!」

ラムル「グラン、あなた見えるの⁉︎」

ポートル「暗視だけじゃなくて?」

グラン「しっかりとは見えないがモノトーンで見えた。2体とも破損はしてない様だが……。」

ラムル「ジャン、コクピット近くでジックとガルアムに連絡続けて!」

ポートル「フライ、あなたもお願い!」

ラムル「カウル!ソディナもお願い!皆んなでジックとガルアムを起こして!」


 しばらくAnn達は通信を続けていた。


 Fade-out。



ストーリー179:ペンダントが渡された


登場人物

ジャン、ラムル、ガルアム、ガルシア、グラン、ポートル、医療班A、B、C、


 しばらく続けていたのだろう。


 応答が無かったが……。


 ジャン「ガルアムからの応答あり。ラムル様!」

ラムル「皆んなでガルアムの応答を聞かせて!」

ガルアム「……お待ちください。再起動します。」

ガルシア「へー。ガルアムは自分で再起動出来るのね。じゃ、しばらく待ちましょう。」

グラン「急がないと。中の2人の安否が心配なんだが。」

ポートル「グラン、今は待つしか有りません。仕方ないです。」

ガルアム「こちらガルアム。今再起動終了。ジックを運びます。」


 Ann達全員から音声がモニターされている。


 ラムル「ガルアム、母上とガットは無事?」

ガルアム「エアバッグが邪魔で見えません。」

ラムル「エアバッグ⁉︎……見えないほどなの?」

ガルシア「ガルアム、緊急脱出用ドアを開けて、急いで。」

ガルアム「ジックは今シートから降ろしました。これから船尾に向かいます。」

ガルシア「ジックは……ジックはどうなったの?応答出来ないの?」

ガルアム「衝撃が強く、その振動によるシャットダウンと思われます。」

ガルシア「それじゃあルイスが指示しないと起動しないじゃない。……なんて事……。あぁルイスー。」


 船尾のドアで音がした。


 ガルアム「自動で開きません。ここは手動で開きましょう。」


 ハンジャの緊急脱出用ドアは下から上に開く。


 下が徐々に外側に開き始めた画。


 皆んなが集まる。


 ラムル「ガルアム、頑張って。」

ポートル「パワー全開でオープンよー。」


 半分程開くと、ガルアムは変形状態なのが分かる。


 ドアの所まで来たHM。


 HMグラン音声「あとはHMが開いておく。急いで中の2人を!」

ラムル「ありがとうグラン。……これは確かにエアバッグで見えないわね。」


 再び奥へ入るガルアム。


 くぐる様に入って行くラムルと担架を乗せる医療班。


 脱出用ドアからの画。


 中からラムルと医療班の声だけが聞こえて来る。


 ラムルoff「母上―。ガットー。」


 医療班A大声「シートから降ろしました。担架に乗せてドアへ送りますので船から出してください!」


 ラムルoff「ガルアム、お願い。ジックを運んで。ドアまで来てー。」


 担架に乗せられたガットが出てきた。

床に降ろす医療班。手当てにかかる。


 医療班B大声「もう1人も担架に乗せた。ドアまで送る。」


 ラムルoff「母上―、母上っ。」


 担架と一緒にラムルが出てきた。


 担架のルイスも床に降ろされ手当てが始まる。


 ラムル「母上は、ガットは無事ですか?」

医療班C「2人共エアバッグのガスのせいで一時的に意識を失っていますが命に別状有りません。」


 ガルシア、ポートル「良かった……。」


 ポートル「ものすごいエアバッグだったみたいね。」


 ガルアムがジックを抱えてドアから出てきた。


 ラムル「ありがとうガルアム。ここへ、母上の側に来て。」


 言うとラムルは立ち上がり、HMに駆け寄る。


 ラムル大声「ありがとうグラン。2人はもう大丈夫。」

手で合図をしながら叫んだ。


 HMグラン音声「ラムル、良かった。これで安心した。HMに向かってそんなに大声出さなくても聞こえるんだがね。こちらからもマイクを通してるよ。」


 ポートルがHM に近寄ると、

ポートル「もう!デカイのは端に避けてて!HMは邪魔よ。グランだけ出てきて。」


 HMはまた壁に寄りかかる。そしてグランが出てきた。


 ラムルに近寄るグラン。

グラン「ラムル、2人共無事で良かった。脱出ポットを貫通する衝撃に耐えるとは驚きだ。」

ラムル「特殊なエアバッグのおかげで助かったみたい。」


 ガットが気が付いた様だ。


 ポートル「ガット、気が付いた?ポートルよ。」

ガット弱い声「あぁ、ポートルさん……初めまして……。」

ポートル「あ……初めましてガット。……って挨拶はいいから。」


 医療班A「こちらの方はもう大丈夫。怪我はない様です。」


 ガルアムが元に変形しガットの担架に近寄る。


 ガット弱い声「ガルアム、自分で変形出来たのかい?」

ガルアム「ジックを抱えるには変形した方が無難かと……。ガット様の指示無しでしたが、危険度が高い為、そして緊急時なので変形し、シートごとジックを抱えていました。変形していたので脱出用ドアも手動で開ける事が出来ました。」

ガット弱い声「そうか。僕のエアバッグが役に立ったんだ。……ありがとうガルアム。」


 ガルアムに手を差し伸べるガットの画。


 医療班C「こちらの方も意識が戻りました。もう大丈夫。怪我は無いようです。」

ラムル「母上。」

ガルシア「ルイス。」

ルイス弱い声「ラムル、ガルシア……。良かった。私生きてる。……エアバッグ。ガットが取り付けたおかげで助かったわ。」

ラムル「本当に良かった、母上。……そうだ。ジック。……母上、ジックがシャットダウンした様なの。起こしてあげてください。」


 ジックをルイスに寄せるラムル。

 

 ルイス弱い声「ジック、再起動。聞こえる?ジック?」

ガルシア「もう少し落ち着いたら声を掛けてもいいわよルイス。」

ルイス「……もう……大丈夫よガルシア。……ジック再起動!」


 ジックは再起動を始めた様だ。


 グランが側にかがみ込む。


 グラン「ラムル、ルイスさんと話したい。」

ラムル「母上と?……あ、ちょっとだけ待って。……母上、腕を出して。」


 ラムルはルイスの腕を取り、翻訳言語のデータを転送する。


 片耳のイヤホンマイクをルイスの耳につけてあげた。


 ラムルは手振りでグランにOKだと伝える。


 グランは首に下げていたペンダントを取ると、


 グラン「カーレイ長官の言葉は聞いていました。……この紋章は作られた偽りの紋章などでは決してありません。真の平和を願う紋章だと信じてます。ルイスさん、これは祖母スカーレットが受け取ったカーレイ長官のペンダント。……今度はあなたが持っていてください。」


 そう言ってグランは胸に下げていたペンダントをルイスに手渡した。


 ルイス「グラン……。ありがとうグラン。」



 ディゾルプ。

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