ストーリー31~32

ストーリー31:2人で再調査


登場人物

バンズ、ポートル、ピコ



 バンズのドック内メインルーム。


 バンズ「ラムルは何処へ何しに行ってるの?ポートルは何か聞いてないの?」

ポートル「何もー。ジャンをサーチしてみたら?」

バンズ「いきなり通信してもねぇ……。ラムル、学術部は休んでるようだし……。その理由は有るようだけど……。ねーピコー、ジャンの現在地をサーチしてみてー。」

ピコ「了解、バン。」


 暫くの沈黙、シートの2人に向かって、


 ピコ「バン、サーチ完了。ジャンは現在、エンジャー=ガル郊外に滞在中の様です。」

バンズ「エンジャー⁉︎そりゃまた遠くに行ってるね。もちラムルも一緒だろうね。」

ポートル「詮索無用よバンズ。ラムルなら戻ったら真っ先にここに来るってー。気になるなら今ラムルんちに行ってきたらー。……で、さー、いつ戻るか分からないから、今回はうちらだけで水の惑星ほし行っちゃう?」

バンズ「それでまた人型の演習に出くわしたらどうするよ?」

ポートル「マーデクトに最新のステルス導入してくれたのはバンズよ。ねー行ってみない?画像撮ってあとでラムルに見せればいいじゃん。」

バンズ「ったく無茶で唐突だねえ……。ったくポートルの悪いとこだよ……。」

ポートル「だいじょぶよ。で、何事も無ければ今回は上陸―。」

バンズ「リターナに出掛けるのと訳が違うでしょ。カーラントより時間かかるんだよ?」

ポートル「テスト飛行という事で、ねっ。」


 バンズ、肩をすくめ、ピコとフライを見て、

バンズ「マーデクトの操縦はフライに任せて、ピコは私達と一緒に行動ね。……やれやれ、準備しましょ。」


 ディゾルプから、

バンズのドックからマーデクトが出て行く。ステルスを纏い消える画まで。



ストーリー32:ガルシアの想い


登場人物

ラムル、ルイス、ガルシア、ジャン



 ガルシア邸リビングの朝。


 ルイスとガルシアは朝食を摂り始めたところだ。


 入ってくるラムル。


 ガルシア「おはようラムル。ゆっくり休めた?」


 ラムル、まだ眠そうに、

ラムル「おはようございます、ガルシアさん。十分休めたわ。母上、おはようございます。」

ガルシア「さあ、顔を洗ってきて。私達は先に食べてるわよ。」

ラムル「あ、はい。直ぐに戻るわ。」


 リビングを出るラムル、と入れ違いにジャンが入ってきてテーブルの側で待機モードに。

ガルシア「ルイス。夕べね、思い起こしてたの。譲り受けたパーツの中にダイムで作られた物が有ったかどうかを。」

ルイス「あの時のパーツといっても、大きな物は無かった気がするけど、利用出来たの?」

ガルシア「それが、足回り以外思い当たらなくて……。」

ルイス「ドックに行かなきゃ分からなそうね。」


 戻ってきたラムル、

ラムル「ごめんなさい、寝過ぎちゃいました。」

ガルシア「いいのよ。ゆっくり出来たなら。さ、朝食を済ませちゃって。」

ラムル「はい。」


 座るラムルに、

ガルシア「今日はあなたのお母さんと私が、若い頃にしょっちゅう過ごした所を案内するわね。」


 ディゾルプで、ガルシアのドック入口前のパネル。


 3人とジャンの後ろ姿。パネルに手をかざすガルシア。


 開くゲート、同時に照明点灯。


 ガルシア「さあどうぞ。」

ラムル「まあ、広いのね。バンズのドックみたい。」

ルイス「なんだか懐かしいわね。ガルシア。」

ガルシア「最近はあまりここには入ってないけど、昔と変わらないわ、ルイス。……さ、2人共座って。」


 メインルームのシートを促されルイス、ラムルが座る。


 目に付くところに古い写真が見える。


 若い頃のルイスとガルシアだ。他にAnnと一緒の2人の写真も。


 ガルシア「ラムルこの写真を見て。お母さんの宇宙船ふねよ。小さめだけど、これがノアーナ最速を誇るケイドよ。そしてこの写真のAnn達は、私達が連れていたジックとソディナ。これがジック。ルイスのAnnよ。これがソディナで私のAnn。」


 写真を指差しながら説明するガルシア。


 ルイスは写真を見て少し涙を浮かべている。


 ルイス「懐かしいわね、ジックの写真まであるなんて知らなかった。……もう昔の画像は私の手元に残ってないもの。なんだか少し嬉しいわ。」

ガルシア「まだ話は終わってないのよルイス。奥の私の宇宙船ふねを見て。ルイス、ラムル。あれが私の宇宙船ミクラット。」


 宇宙船ミクラットが薄っすらとシルエットを浮かべる画。


 ラムル「わぁ、カーラントと同じ位大きい!。」

ガルシア「今はもう飛んでない。……これを解体するには……。……思い出が多すぎてさ。今は保存状態……。それから、ルイス。この際だから伝える。……このミクラット、実は操縦系のシステムは……名操縦士、ジックのデータの移植なの。」

ルイス「まあ、ガルシア。それ本当なの?」


 頬の涙をそっと拭いながら満面の笑みのルイス。側で微笑むラムル。


 ガルシア「本当よ。当時、あなたのケイドとジックを解体するって聞いて、慌ててソディナを介してダウンロードしたの。ミクラットにはケイド程の性能は無かったけど、システムデータを移植すれば少しはケイドに近づくと思って……。その時のケイドは解体された。だけど、ジックとデータは少し残っているの。」

ルイス「そうだったの……。ガルシア。」ガルシアにハグのルイス。


 ガルシア「さ、ルイス。思い当たるパーツの話でしょ?。…行きましょ。」


 3人とジャン、宇宙船ミクラットの方へ歩いて行く画。


 ミクラットの着陸装置(足回り)の前。


 ガルシア「当時交換したのはまず足回り。残りは内部なの。でも何処の何を交換したかなんて今更覚えてないのよねぇ。」


 開くハッチに歩いて行く3人。


 ラムル「ジャン、足回りの素材の分析を。終わったら中に来てね。」ジャンはミクラットの着陸装置周りを動いている。


 開いているハッチから入る3人。


 ラムル「ジャンにダイムのデータが有れば直ぐ発見出来るんだけど……。データが何も無いので解析は出来なそう。不明な材質が含んでいたなら、きっとそれがダイムだと思うの。」

ガルシア「ダイムを使った部品なら、見た目より軽そうな……しかも丈夫で……。しかし外装プレートも交換したけどダイムを使っているような物は無かったなぁ。」

ラムル「他に何か思い当たりませんか?」


 身を乗り出す様に言うラムル。


 ガルシア「交換可能な物は全て取り付けてある。思いつかないなあ……。」


 少しの沈黙、ミクラットの外観数カット。


 ジャンが入ってきた。


 ジャン「ラムル様。足回り、又その付近では不明な材質の物はありませんでした。」

ラムル「ありがとうジャン。今度はここを調べてて。」

ジャン「了解。」


 メインルーム内を動き回るジャン。


 ルイス「ねえガルシア?あの時、あなたコンテナで引き取りに来たわよね?そのコンテナにはもう何も残ってないの?」


 ミクラットのハッチから出てくる3人。


 ガルシア「コンテナは有る。持ってきたパーツはみんな取り付けたはずだけど…。」


 ドックの隅にあるコンテナの前、ガルシアが扉を開く。

ドックの照明が入り込むコンテナ内部の画。


 コンテナの隅に鈍く光る小さな板が落ちている。

ガルシア、寄ってその板を手に取る。


 ガルシア「これが落ちてた……。流用出来ないしクズだと思ってたけど……。何となく軽い……かなぁ。」

 手の上で重さを確かめているガルシアの手に画が移る。


 また画を戻し、

 ラムル「念の為調べる。まさかとは思うけど……。」


 腕のモニターレシーバーに向かって、

ラムル「ジャン、こっちへ出て来て。調べ物があるの。」


 ラムルはガルシアから板を受け取ると、

ラムル「た、確かに軽く感じる。」

ルイス「そんなに小さいんじゃ、宇宙船はおろか、フローターの部品にもならなそうね。」

ラムル「大丈夫よ母上。データさえ取れればと思っていたから。」

ガルシア「ラムルの世代ではそれだけで何とかなっちゃう訳だ。今は私達の世代より進化してる様だよルイス。」

ルイス「そうね。ジャンだけ見ても、今まではラムルのペット位にしか思ってなかったのに……。凄いわ。ブロントや私に隠していたのね。なんか昔のジックとソディナを思い出しちゃった。」


 ジャン、戻ってきてラムルの側に。

ラムル「ジャン、これを解析してみて。」

ジャン「了解。ラムル様。」


 ジャンは身体の小さなトレーに板を受け取ると解析を始めた。


 暫くすると……。

ジャン「ラムル様、残念ですがこれは解析出来ません。一部は既存の物質ですが、解析不能な物質も含まれています。」

ラムル「……。!ジャン、残念なんかじゃないわ。あなたのデータで解析出来ないのはダイムが含まれた合金だからじゃない?。データに無いからよ。そのまま続けて。新しいデータはメモリーして。」

ジャン「了解、続行します。」


 ルイス「そうねぇ……。もっと細分析が必要かも知れないわね。」


 カーレイ邸地下のカウルの姿over-up。


 ガルシア「それがダイムの合金ならね。」

ラムル「ガルシアさん、この板、私が持ち帰って構いませんか?」

ガルシア「もちろんよ。ただ、ビブレスには持ち込まない方がよさそうよ。ダイム金属の事が知られたらどうなるか分からない。」

ラムル「ジャン、大事に持っててね。」


 画面fade-out。

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