ストーリー25~27

ストーリー25:決意の理由


登場人物

ポートル、バンズ、ピク、ラムル



 ポートルの宇宙船マーデクト内メインルーム。


 Ann達も側で待機モード中。


 ピクの頭(テーブル)を囲んで話す3人。


 ポートル「すごいわバンズ。以前のマーデクトとは比べものにならない位の進化ね。」

バンズ「そうでしょー。でももう少し身軽になったら水の惑星ほしまでも直ぐに飛べるんだけどね。それには材料不足なんだ。」

ポートル「やっぱり古いマーデクトの船体じゃ無理よね。で、この後はどうするの?」

バンズ「そうだなぁ…。(小声になる)ここだけの話、ダイム金属が有ればノアーナで一番の船になるけどね。」

ラムル「ダイム?聞いたことない。それはビブレスで手に入るの?」

バンズ「アタイの知ってるルートでも無理。ただ、噂は昔からあるんだ。それは軽量であって超硬金属。……もしかしたら今の軍の船には使われてるかも。アタイ達にそれを手に入れるのは不可能だけどね。」

ポートル「ノアーナで唯一が軍にだけ?じゃあ重要機密って事ね。マーデクトが今より早く飛ぶには軽くしなきゃ。それに必要って事?」

バンズ「あくまで希望。ダイム金属の破片でも手に入れれば解析して作る事も可能になるかも。」

ラムル「父は、何度も水の惑星ほしへ行っている。父の宇宙船ふねにそのダイムが使われていたとしたら?…。」

バンズ「もちろん短時間で飛べたはずだよ。何せ軽くなってるはずだからね。」

ラムル「でも、今は父の宇宙船ふねは無いわ。管理部に配属の時に解体したって聞いてる。」

ポートル「お父さんのAnnや制御盤がズラリの所はラムルんちに残しているんでしょ?」

ラムル「うん。うちの地下に封印していたの。でも宇宙船じゃない、管制室みたいだった。母なら何か知ってるかも知れないけど、どうだか分からない。」

バンズ「ダイム金属は作り上げるのも容易じゃないんだ。アタイのドックでは狭すぎる。それに、ダイム金属を作るにはザクラートという物質が必要になるんだけど、この物質もノアーナのどこに有るのか分からない。」


ディゾルプ、バンズのドック内メインルーム。

バンズ「サンプルになる欠片でも有ればAnn達に解析してもらうんだけどねぇ……。まぁダイム金属を使わなくても十分だとは思うけど、そこまでして水の惑星ほしに行く?」

ラムル「うん、……水の惑星ほしの今を父に見せたいのもある。平和に発展している姿を知れば、父も協力してくれると思ってる。カーラントだって戻してくれるわ。」

ポートル「でもお父さんは他を当たれって言ってるんでしょ?別の惑星探査をすれば良くない?」

ラムル「みんな見たでしょ?人型兵器で演習してたのを。少なからずノアーナにも危険は起こりうる。水の惑星ほしを度々調べる必要が有るんだと思うの。理由にはなるでしょ?……それから……もう一つの理由……。それはそのうち話すわ。」



ストーリー26:ダイム金属とザクラート


登場人物

バンズ、ジャン、ピコ、ポートル、ラムル



 バンズのドック、マーデクトが電源を落として佇んでいる。


 メインルームまで引いていく画。


 3人と4体のAnnが見える。


 ジャン「ラムル様。ダイムについての検索結果。ダイムはリターナの戦役より以前から存在。当時ノアーナではあらゆる乗り物で使用。用途は広かった様です。現在のダイムについては所在すら分かりません。」

ピコ「その通り。現在探知出来るのは対策軍ドックのみです。宇宙船に反応しているのみと思われます。」

ジャン「ザクラートについて。……やはり対策軍のみ所有している模様。ダイムやザクラートに関するデータ不足。調査が必要です。」


バンズ「ノアーナの全てのダイム金属を回収して船に使ってるんだ。……ふぅー。まさか軍の宇宙船から調達出来ないしねぇ。」

ポートル「いいんじゃない?マーデクトをここまでにしてくれただけでも感謝よ、バンズ。」

バンズ「とは言っても、ラムルの希望にはそえてない。しばらくはお預けプランだな。」

ラムル「そうね。父の宇宙船ふねが残っていれば何か分かったかも知れないけど、残念ながら、今は水の惑星ほしの調査を継続していきましょ。」



ストーリー27:ダイム金属探し


登場人物

ラムル、ルイス、ジャン、ブロント



 カーレイ邸、帰宅してリビングのソファーに座っているラムル。


 ラムル「母上、父上は?」


 キッチンからルイスの返事offで「まだ管理部よ。ルード本部長と都市視察のプランを立てるとかで今日は遅くなるわ。」


 ラムル「母上、少しここへ来て。」


 ルイスは、飲み物を持ってきてラムルの横に座った。


 ルイスはカップを差し出しながら「今日はどうしたの?最近はバンズの所にばかり行ってるけど、ちゃんとジャンのメンテしてる?フローターで講義に出掛けてるんだしフローターのメンテも忘れずにやってるの?。」

ラムル「そんなことより母上。父上の宇宙船、解体したようだけど、地下には予備パーツすら残ってないの?」

ルイス「一部のシステムやらは管理部配属の時に持参したようよ。船はあまり大きくなかったから直ぐに解体出来たみたい。私は乗せてもらったことがないから詳しくは知らないの。でも当時は最新のものだったそうよ。」

ラムル「地下には船の予備パーツは残ってないのかなぁ?……何でもいいんだけど……。」


 ルイスは天井を仰ぎ見てはお茶を飲む。


 2人に暫くの沈黙があったが……。


 ルイス「解体後間もなくに、私の親友がここへ来たわ。その時、船の予備パーツが無いかと聞かれた……。今日のラムルみたいに。」


 ラムル、目を輝かせて、

ラムル「それからどうなったの?」

ルイス「当時まだあった宇宙船のドックにある予備パーツ、全て欲しいと……。大きい物から小さい物まで全て。あの時はドックも閉鎖するからってみんな不要だったから渡したの。」

ラムル「母上の親友が今でも持っているかなぁ……。」

ルイス「ねえ?ラムル?あなた何か企んでるわね?ブロントや私に知られては困る事?」

ラムル「母上は私を信じてくれる?父上には内緒でいられる?」

ルイス「そうね。あなたは私の大切な娘、全て信じていられるわ。私には何も手助け出来ないけど、ブロントには秘密に出来るわよ。」


 ラムルは更に目を輝かせて、

ラムル「母上ありがとう。」

ルイス「そうね、あなたの話はまた後にしましょう。その前に行く所が出来たわ。数日間滞在出来るよう支度しなさい。ジャンも連れてね。じゃ明日、出掛けましょ。出掛ける事はブロントには伝えておくから。」


 翌朝へfade-out.fade-in。


 ラムル小声で、「ジャン、戻るまでの情報データは全てメモリーしておいてね。」


 リビングに入ってくるラムルとジャン。


 ソファーにはブロントが座っている。


 ブロント「ラムル。ルイスの友人の住む郊外へ出掛けるそうだね。学術部には休養をもらってある。ゆっくりしておいで。」


 ブロントはラムルに優しく微笑みかけた。


 ラムル「ありがとう父上。ゆっくりしてくるわ。」


 奥からルイスが出て来た。


 ルイス「さ、ラムル。行きましょ。ブロント、留守しますがお願いしますね。」

ブロント「ああ、お前もゆっくりしてきなさい。」


 リビングを出るラムルとルイス、ジャンの後ろ姿。

 

 ラムル「父上、行ってきまーす。」


 画面が変わり、カーレイ邸からラムルのフローターが飛び去る画。

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