ストーリー22~24

ストーリー22:ジャン戻る


登場人物

ラムル、ポートル、バンズ、ジャン



 ポートルがバンズのドック前で、帰ったきたジャンを見付けて話込んでいた。


 ポートル「ジャンがカーラントのデータを取りに?あなただけで行ってきたの?」

ジャン「はい。データの取り込みは問題無く済みました。」

ポートル「もー、ラムルはあなたに頼りっぱなしね。ジャンはしっかり者だわ。さ、行こ。」


 一緒に中へ入って行くポートルとジャン。


 ポートル「ラムル、ジャンが戻ったわ。」

ラムル「ご苦労様ジャン。マーデクトに移植するステルスデータはバンズとあなたに任せるわ、頼むわね。」

バンズ「やれやれ、人使い、いやAnn使いの荒い姫様ですこと……。……さてジャン、始めましょか。」


 バンズがジャンを連れて制御盤に向かう画。



ストーリー23:バンズの腕前


登場人物

ラムル、ジャン、バンズ



 時節は変わり、学術部講義が終わって、教室から出てくるラムル。


 ラムル「今日もやっと終わったわー。」


 学術部キャンバス、歩いてくるラムル。


 フローターに乗り込むラムル。

ラムル「バンズのドックに向かって。」


 フローター、キャンバスを去る画。


 続いてバンズのドック上空、ラムルのフローター到着。


 ドック内のいつもの場所。メインルームに入ってくるラムル。


 ラムル「今日も終わったわー。ジャン、ただいまー。」


 ジャンは移植完了したところで制御系から離れる。


 バンズとステルス移植を終えたところだ。


 ジャン「おかえりなさい、ラムル様。」

バンズ「おつかれ、ラムル。こっちも段々形になってきたよ。」


 ポートルの宇宙船マーデクトの画。


 バンズ「マーデクトのステルス移植完了!! カーラントのステルスと変わらない最新バージョン!」

ラムル「見た目は変わらないんだ(汗)。」

バンズ「外観まで変えられるわけないっしょ。それでも推進装置を改良したし、あとは燃料系の変更を残すのみ。」

ラムル「短期間ですごい進展ねバンズ。旧式のマーデクトの推進系じゃ水の惑星ほしまで大変だもんね。それも最新の推進装置なの?」

バンズ「もちですっ!ビブレスから闇ルートで特殊推進装置をゲットしたよ。これでアタイ達でも水の惑星ほしまでひとっ飛びー。」

ラムル「じゃポートルには艦長になってもらお(苦笑)。」

バンズ「それは大丈夫。管制も制御も楽ちんだから艦長いらーん。私達のAnn達で十分操作できる。もちろん複数のAnn用追加接続機能も作るからさー。」

ラムル「……バンズはAnnを作れるからいいけどさ、私は……ジャンやバンズに任せっきり……やっぱりジャンとは別のAnnを探さなきゃいけないよね。」

バンズ「まあ私達と今のAnn達でも十分行けるけど、役割分担して担当のAnnを決めた方が、彼等の負担も減るからなあ。ラムルの考えも一理あるよね。」



ストーリー24:新しい相棒?


登場人物

ラムル、ジャン、カフェの家族(父親、母親、子供♂)、ルイス、カウル



 ラムルとジャン、カーレイ邸に向かって歩く画。


 フローターを飛ばせばなんて事ないのだが、ラムルはジャンに周囲の環境も知って欲しかったのだ。だから、時々並んで歩いている。


 ラムル「ねぇジャン。もし私に別のAnnが出来たらどう思う?」

ジャン「私以外にもう一体のAnnをラムル様の元にですか?」

ラムル「そうね、ジャンに任せ過ぎた部分、それを別のAnnに任せたらどうかしら?」

ジャン「私のメモリーにはまだ余裕は有りますが、ラムル様のもう片腕としてAnnを必要とするなら、私はラムル様に従うだけです。」

ラムル「私はバンズの様に接する事は出来ないけど、大切に思ってるわジャン。片腕なんて言わず、協力して。だからこそ別のAnnが必要なんだと思って……。」

ジャン「それでは、私は新しいAnnと協力してラムル様に従うだけです。」

ラムル「ありがとう、ジャン。そう言ってもらえると安心する。新しいAnn、連れてくる事にするね。」

ジャン「私は新しいAnnと協力してラムル様に従うだけです。」

ラムル「ジャン……。」


 2人(? 1人と1体?)の並んで歩く後ろ姿。ディゾルプ


 ビブレス=ガル全景。ラムルのフローターが横切る画。


 ラムルはもう1人(?)のAnn探しに来た。


 ラムル「さてー、今日は何のイベントも無いビブレスだけど、Ann探しにはどうかしら。」


 ビブレスの街並、歩いているラムル。


 一軒のオープンカフェに立ち寄るラムル。


 ラムルの座ったテーブルの隣のテーブルには家族が居た。


 子供♂「ねーパパー、僕もAnn欲しいーぃ。」

母親「もう少し大きくなったらね。」

父親「あぁ、ママの言う通り。お前がもう少し大きくなったら、パパのAnnをあげてもいいぞー。」

子供「えー、パパのお下がりぃ?ヤダぁ。新しいAnnがいいー。」

母親「そうね。その時になったら、ママと新しいAnn探しましょうね。」


 隣のテーブルなので、一部始終会話が筒抜けだ。


 ラムルoff「パパのお下がりのAnn ね。(フフッ、と微笑む)……お下がりのAnn……パパのお下がりのAnn……。」


 はっとするラムル、急に立ち上がる。


 ビブレス=ガルをバックにラムルのフローターが手前に飛んでくる画まで。


 カーレイ邸屋上にラムルのフローターが着陸の画。


 リビングで本を読むルイス。

リビングに入ってきたラムル、ルイスの横に寄り添うなり

ラムル「母上。もう一度、地下へ連れてってください。」

ルイス「なんですラムル。急にどうしたの?」

ラムル「地下室の……Annに会わせてほしいの。」

ルイス「Annに?カウルの事?」

ラムル「ええ。」


 2人が地下まで階段を降りて行く画を2、3カット。


 ルイスがロックを解除する画。


 扉が開くなりラムルが入って行く。


 ルイス「ラムル、そう慌てないで。今灯りを点けるわ。」


 既にラムルはカウルの側に立っている。


 ラムル「このAnnが……このAnnが一番良い!」

ルイス「なんです?ラムル。カウルがどうしたの?」

ラムル「母上、私……。私このAnnが欲しい。父上に話して、お願い。カウルを私のAnnとして従えたいんです。」

ルイス「あなたにはジャンがいるでしょう?なのに2体目のAnnを従えたいの?……この間ね、ジャンが予備パーツを取りに来たわ。ブロントがロックしていたからカーラントに入れず、わざわざ解除して中へ入れたそうよ。……ラムル。Annを従えたらメンテをしっかりやらなきゃダメでしょ。1体のAnnのメンテも出来ないのに2体目なんて無理でしょ?……。」

ラムル「ジャンのメンテナンスはしっかりやってるわ。でも……。あ、あの時はちょっと……訳あって……。と、とにかくこのカウル、私にください母上。」

ルイス「何をそう慌ててるの?落ち着きなさい。」


 2人は側のシートに座る。


 ラムル「ジャンの他に、別のAnnが居たらなぁって思って、さっきビブレスに行ってきたの。でも、新しいものを探すより、もっと身近で有るもの。カウルが私のAnnになってくれたらって思ったの。」

ルイス「それはブロントが認めるかしら。」

ラムル「水の惑星ほしのデータの事?」

ルイス「そうね、全て消去してなら叶うお願いでしょうね。」

ラムル「別に、残存データは必要ないわ。Annとして私が欲しいだけ。」

ルイス「それではブロントは首を縦には振らないわ。あなたにはジャンが居るんですもの。」

ラムル「でもここの設備は今は母上にしか入れない、父上はここを任せてくれたのでしょう?カウルの残存データは別として、私に従わせてくれたらそれだけでいいんです。」

ルイス「このままカウルを起こしても、主人あるじはブロントのまま、シャットダウン前のままなのよ。ブロントの指示なしでは無理な話よ、ラムル。」

ラムル「そこを母上から説得して主人あるじの変更を。」

ルイス「……。実はね、ブロントはあなたにカウルを従わせるつもりでいるのよ。でもデータの消去はあなたに託す時にすると言ってたわ。だから無理では無い話かも知れないけど……。今は……。」

ラムル「お願い母上。カウルを私に。」

ルイス「ブロントにも話せない事情が有るようねラムル。……私にならその事情、話せるのかしら?。」


 ちょっといたずらに微笑むルイス。ラムル、うなずく。

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