第23話 情報屋[第2階層編]
オレが向かった先は、いわゆる"情報屋"と呼ばれるプレイヤーのいるところだ。
各種クエストの攻略法に加え、プレイヤーの個人情報も数多く集め、日常的に色々なルートで売り買いがされている。
情報屋を語るプレイヤーは、複数人いるが中でも逸材と呼ばれた存在はたった1人だけだった。
"情報屋のリンカ"
オレはその人に会いに来た。
「あら、あなたは?はじめましてのプレイヤーね。」
「あぁ。キミが情報屋のリンカか?」
リンカは高身長の巨乳でお姉さん的なフェロモンが漂うその姿は、色々な男性を虜にしてしまいそうだった。
「ええ、そうよ。あなたも情報を求めに来たのかしら?プレイヤーイザナくん。」
リンカは得意げに笑い、オレの方に眼差しを向けていた。
「オレのこともすでに調べてるってことか。」
「第1階層のレイドボス戦で勝利を導いたパーティーメンバーの1人ですもの。調べるのは当然でしょう?」
「オレみたいな哀れな物理職の情報なんて、売れないだろ?」
「まぁ、今のところ商売として使えたことはないわね。それにあなた第2階層に来てから、ほとんど外で活動もしてなかったみたいだし。【大罪シリーズ】に篭りきって何をしてたのかしら?」
【大罪シリーズ】のことまで調べられていることには、オレも正直驚きを隠せなかった。
それと同時にリンカなら信用して情報を手に入れられると思った。
「なあ、リンカさん?オレと商売する気はないか?」
「何よ改まっちゃって、商売?あたしの情報はそこらのチンケなのとは違うのよ?最低でも10万Gは必要なの。あなたに払えるかしら?」
「10万Gね……オレから頼みたいことは2つ。1つ目はオレの情報をこれから先絶対に誰にも渡さない事。そして2つ目はあるプレイヤーの情報が知りたいんだ。」
「あなたの情報がこの先売れるか売れないかは知らないけど、それに加えプレイヤー1人の情報も知りたいって言うなら50万Gってとこかしら。」
「いや、1億G払う。これでその約束を守ってくれ。」
オレの言葉にリンカの両目が大きく開かれる。
「は、はぁ?1億Gですって?冷やかしに来たのなら帰って頂戴!」
リンカに冷たく言われてしまったが、オレはその場ですぐリンカに1億Gを支払った。
「あはは……。まだ第2階層でこんな大金持ってるなんて……あなた何者なのかしら。」
「ただのしがない物理職だよ。約束は守ってもらうぞ。」
リンカはコクっと頷いた。
「よし。あとはプレイヤーのことなんだけどな。最近PVPで賭けをしたり、素行の悪いプレイヤーはいないか?」
回りくどく話しても仕方ないので、直球で質問してみる。
「そんなの数多くいるわよ?PVPって本来はプレイヤー同士が純粋に強さを競う場のはずだけど、正直かなり汚染されてるわ。」
「そう……なのか?それなら参加するプレイヤーの数は減るんじゃないのか?」
「PVPで上位になると、期間イベント報酬が貰えたり、特別な称号を付けれたりするのよ。あとは【オンラインNOW!】専用のネット掲示板で有名なプレイヤーは名前も上がるし、みんなそれ狙いでやってるのよ。」
「なるほどな。なら、その中でも最近派手に一方的なやり方をしてたやつはいなかったか?」
リンカは少し考えた後、思い当たったかのように表情を変えた。
「1人思い当たるのがいるわ。あたしも直接見たわけじゃないけど、話を聞いてるだけでかなり気分の悪くなるものだったわ。」
「名前とかは分かるか?」
「ちょっと待ってね……っと、これね。PVPランキング現在2位。二つ名まで付いてるわ。名前は……"略奪のサド"ね。」
「"略奪のサド"か。」
その二つ名を聞いて、オレは確信した。
どうやらそいつで間違いなさそうだな。
「もし何かの仕返しを考えてるなら、あたしはおすすめしないわ。彼は……強すぎるから。」
「どういうことだ?」
オレはすかさず質問する。
「彼はユニークスキル持ちなのよ。スキル名称は【
「なるほどな。ちなみにレベルはいくつなんだ?」
「彼のレベルは14よ。あたしが知ってる中で、最もレベルの高いプレイヤーの1人よ。」
「14か……。」
「そりゃ焦るわよね。先にレベリングをしっかりすることをお勧めするわ。」
「分かった。忠告ありがとう。」
オレはそう答え、リンカの元から離れようとする。
「あっ、最後に追加の情報を教えてあげるわ。」
「もう十分なんだけど?」
「そう言わないで、せっかくだから受け取っておいて。略奪のサドが残酷なことを繰り返してるのは、何もプレイヤーだけじゃないわ。NPCの怪我人が出たり、命が奪われたこともあるのよ。第1階層の時からね。」
まさか……それって。
オレが殲滅すると誓った、カルディアの領主リーシャさんの妹の仇。
【世界クエスト】の殲滅対象?!なのか……。
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