第7話
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「一人で来てって言ったのに」
「一人と一匹よ」
赤いフードをかぶった大きな犬を連れて、片手に日本刀を持った姉が倉庫の中に入ってきた。
ここは昼間に、フィルコとドナテロが倒された場所。
「もちろん、伏兵もいるのよね?」
「ええそうよ、いつどこから来るのかは教えないわ」
あっさりと肯定する、ヴァンパイアハンターである姉――珠枝。どこかに潜んでいるのは嘘か真か……心理的な牽制。
フィルコとドロテナを屠ったのは、フランケンシュタインの子供なのは分かっている。監視に使っていたヴィヴァリーの使い魔からの情報からだ。そのフランケンシュタインの子供がどこかに潜んでいるだろう。
私の隣やや後方にいるヴィヴァリーは、周囲に気を配っているのだろう、黙したまま場の流れを静観していた。
改めて姉の姿を頭の先から足の先まで眺めた。
伸びた身長にすらっとした容姿になっているのは、ただ単に黒いボディスーツでラインが際立っているだけではない。鍛えた女性の体だった。
強度のある皮素材を体中に張り巡らせるのは、こちらの牙を防ぐため――首筋でも腕でも指先でも、ひと噛みされれば終わりだからだ。スーツは内素材と外素材の間にさらに銀で編みこんだものも仕込まれている。ヴィヴァリーからの受け売りだったが、それくらいでもまだ軽装なのだと。
「人狼は私が相手をしよう」
ヴィヴァリーが呟いて前へ出た。黒い皮手袋をはめ直し、燕尾服の内側からナイフを取り出す。
こちらも腰に下げた細身の剣を抜いた。
また姉も手に持っていた日本刀の鞘から、銀でできた刀身を出す。
姉が投げ捨てた鞘が、からんからんと地面で鳴った。
ヴァンパイアとヴァンパイアハンター。
出会えば必ず、
殺し合う。
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