第39話「二人の翁主」

臣命下殿を出て司憲府に戻った私は部下の報告がの上書を読んでいると戸の外から「クァン様、ハソンでございます」「ハソン、どうしたの?」「倭国からお戻りになられたエン様が拝謁をしたいと申しております」「えっエンが帰ってきたの?」ハソンが「はい」「すぐに通して」





戸が開きエンが姿を現し「エン!」私は駆け寄り抱きしめる「良かった無事に戻ったんだね、そうだチェヨンさんは?」「……」エンは真顔で黙って私を見つめる「どうしたの?黙り込んでエン?」「……何で?」「えっ?何でって何が?」







「何で復職なんかしたの、かつてヘ家の私兵、使用人でそれも好きでもない四人の夫に迎えてまでどうしてそこまでこの仕事にこだわるの?クァンは普通の人よりも体が弱いだよ?、それなのにこんな何より過酷な仕事クァンの体で耐えられるわけないじゃ!」






「……エンごめん、」「クァンはいつもそうやって謝るよね?私はクァンに謝罪してほしい訳じゃない、クァンに官僚の仕事を自ら退いてほしいの」私はその言葉を聞いて「……ごめんそれだけはできない」「もしかして、王様せい?それとも世弟様?、クァンの性格考えたらあの二人の王族為か」







「やめてよ、王様と世弟様を責めるのは、私が勝手にしたの、あのお二人は何も関係ない私が自分の意志で婚姻した、臣命下会議で確実に復職できるように、王様も世弟様も私が復職することに反対なさっていた、だけど私はお二人を何があっても必ずお守りしたかった、だから復職したの、お願いエンお二人を責めないで」






「……もういいよ好きにすれば、私が何言っても無駄だって分かったから」そう言って出ていくと「エン……」〈ごめん、エン、いつも心配ばかりかける不甲斐ない私をどうか許して〉








エンに申し訳なくて目から涙が流れるそれから一刻して戸を叩く音がしてきて「ハソン?また誰か来たの?」戸の外から「クァン、私、チェヨンだけど入っていい?」「!?チェヨンさん?はい、入ってください」私は立ち上がり戸が開くと赤色の官服を身にまとったチェヨンさんが現れた






「チェヨンさん、ご無事で何よりです」「うんそなたの妹のお陰で助かった、」「ではエンはやはり将軍の首を討ち取ったんですか?」「うん、」「エン……」







「さっきの二人の会話を聞いていたけど、二人を見てると昔の私とアロを思い出す、私もだいたい今のエンの年の頃アロが黒い月が作った未知の病にかかる薬のせいで至って健康だったはずのアロの体が人一倍弱くなって、私は医者なのにアロの病の治療法を見つけられなくてそんな自分が不甲斐なくてついアロは何も悪くないと分かっているけど少しアロに八つ当たりしてしまったことがあったの」







「母上にですか?」「うん、アロはその度に私に謝ってた、さっきのクァンみたいに、でもアロは私がいくら頼んでも退かなかったよ、だけどアロの持病のことでアロと上王様をよく思わない官僚達がアロを退かせるべきだと騒ぎ出した、その原因は何だと思う?」








「えっまさかチェヨンさんがそう仕向けたんですか?」「その通り」「何故そんなことを下手をすれば母の命が危険になるかもしれないのにどうしてそんなことを?」「それは大丈夫だと確信していた」「どうしてですか?」「その頃の官僚、武官の悪事の証拠を世に知らしめると脅しをかけておいたから」







「チェヨンさんって見た目はすごく優しそうなのに考えとか行動はたまに怖いですよね?」「それはクァンも同じだと思うけど?」微笑むチェヨンさん





「今のエンを見てると前の自分を思い出すから、だからもしかしたらエンこれからクァンの為に事を起こす気なのかも」「えっ、昔のチェヨンさんってとエンがもし同じなら私を退ける為に王様を……」「えっ王様?、王様がどうかしたの?」〈もし私と王様の秘密をエンが知っているとするなら王様はきっとご無事では済まない〉







「チェヨンさん私、エンの所に行ってきます」「えっ、行ってどうするの?」「エンと話をしてきます」私はそう言って私は執務室を飛び出す「「!?」」「クァン様、お待ち下さい」「どちらヘ行かれるのですか?」ハソン、ジンの声が聞こえて来るけど私は気にせず走る大殿に行くと大殿から出てくるエンの姿を見る






「エン!」エンは私には気がついて「!?クァン、まさか走って来たの?駄目だよ発作でも起こしたら……」私はエンの両肩を持って「!?」「これから何する気?」「えっ」「何で王様に拝謁したの?、王様と何を話したの?、一体何を企んでいるの?」







「……」黙り込むエン私はそんなエンに更に問う「答えてよ、王様と一体何をお話なしになったの?、エン、私のことを見損なってもいい、嫌ってもいい、私は誠に不甲斐ない姉だから、持病のせいでいつもエンに心配しかかけないそんな弱い姉だから、どう思われても仕方ない、だけど王様は私とは無関係なの」





「クァン様どうかご冷静におなりください」「そうです、そんなにお心を乱したらまた発作が起こします」私を追いかけてきたハソンとジンが私を落ち着かせようとするが私はそんなことは気にせずに「誠なんだってば!王様は何一つ悪くないの」「分かったから、一回落ち着いて」






「なら答えてよ、王様と何を話されていたの?」「クァンに話す気はない」「王様に関係あるなら私にも関係ある、王様は私の君主だから、王様の問題は全て私の問題なの、だから王様には手出ししないで、もしエンが王様を何らかの罪を暴き断罪することがあれば私はエンをきっと恨む、恨みたくないと思ってても恨むはずだから」








「クァン、どうしてそこまで王様を?、私は幼い頃からずっとクァンの側にいたのに、一番近くでずっとクァンを守ってきたのは私なのにそれなのに私よりも私より遅く出会って、クァンを危険な目にしか遭わせられない王様の方が大事だとでも言うの?」





「そうじゃない、王様もお守りしたいし、エンのことも守りたい、だけど私は体の弱い不甲斐ない人間だから、どちらか一人しか守れないのなら私は迷わず王様をお守りすることを選ぶ」「クァン!」「エン!」






「お二人共どうかご冷静におなりください」「そうでございます、これ以上感情が高ぶればクァン様は発作を起こしてしまいます」とハソンとジンが止めに入るがそれでも私達はお互いの感情を抑えきれなくて







「クァンは否定してるけど、私よりも王様の方が大事だよね?」「私が言いたいのはそうじゃないなくて」「じゃぁどちらかしか選べないなら何で私じゃなくて王様なわけ、そんなに王様が大事ならずっと王様の側にいればいいじゃん!」







「王様を責めるような言い方はやめてよ!、王様は大勢の臣下、官僚、女官に囲まれてるけど王様は、見かけよりもずっと孤独な方なの、王座に座り続ける限り王様は欲にまみれた官僚を相手にしなければいけないし、国で起きた問題は全て王様の責任になるしあの座に就く間は簡単に人を信じてはいけないから」







「だからって何でクァンが王様の味方するの!」「エン!エンには私なんかよりも頼りがあって心強い味方が大勢いるかもしれない、だけど王様には私しかいないの、王様をお守りすることができるのはこの世で私だけだから、だから私は王様をお守りする、何があっても必ず」




私達はお互いの体を両手で掴みながら睨み合うその時後ろから布で口を片手で抑えてられて「!?」抵抗しようとするがエンに両手を押えられる、首筋にチクッと痛みが走り私はそのまま気を失った目を覚ますと私は大殿の敷地内にある建物「星龍」(ホシリュウ)にいた







「ここは、星龍?何で私は発作が起きてないのに突然の気を失ったんだろう?」「それは私が針を刺したからだよ、そなたを落ち着けさせる為に」聞き覚えのある声がしてきて右横を見るとチェヨンさんが椅子に座っていた「何で私を眠らせたんですか?」「あのままじゃクァン発作起こしそうな勢いだったから」







「発作は一時的なものです、大したことないです」「いやそれは違う、肺の穴を大きくする原因はまさに発作、発作が起きれば肺が圧迫され小さい穴がどんどん大きくなる、今のクァンの体は脳以外の状全ての臓器が薬の影響で弱まりつつあるそんな状態で発作を起こしたら肺はその圧迫に耐えられるわけがないだから発作を起こす前に眠らせた、これでどう?、納得した?」










「はい、丁寧なご説明ありがとうございます、脳が薬の影響を受けず無事だと聞いて安心しました、私は仕事に戻ります」立ち上がるとふらついてそれを支えるチェヨンさん、






「誠にその体で官僚の仕事を続けるつもり?、運良く脳は薬の影響を受けてないけど他の臓器はかなり影響を受けてる、自分の体なんだから自分が一番良く分かっているはず体が動きをづらく感じたり最初より症状が強く感じているはずそれはつまり肺の穴が少しず大きくなってるってことだよそれなのにまだ続ける気?」





「チェヨンさん、この世に避けられない運命があると言ったらチェヨンさんは信じますか?」「えっ避けられない運命ってどんな運命?」「これはある一冊の書物に描かれた一人の女人話なんですけど、その女人は持病を持っていてその女人の妹が昔から知り合いの占い師がいてその占い師が予知夢の能力者でその女人には十年後に持病で死ぬと予言するんです、」





「じゃあその女人はどうしたの?」「初めは信じませんでした、でもその占い師に出会う前の女人の日常で起きたことを言い当てたんです、その女人は占い師が誠に自分の十年後の未来を予知したのだと悟るんです、そしてその女人はこれから先の未来がかかった選択を迫られるんです」






チェヨンさんは「どんな選択なの?」と問うと「その女人には想いを寄せる方いるんです、その相手の方もその女人を慕っていて、そして二人は長い年月を重ねて恋人同士になるんですが、その女人未来にはその殿方も関わって来るんです、その殿方と別れなければその三年後その想い人は謎の刺客達によって命を落とすと予言されてその女人はその想い人を守る為に別れて決して避けられない死の運命を受け入れるんです」





「!?死の運命ってクァンまさか……」驚いた顔で私を見るチェヨンさんに「あのチェヨンさん、この話は私の話ではなくて書物の中の女人の話ですから誤解しないでください、私はもう行きます」官服に着替えてまた司憲府の大司憲の執務室で賤民達が科挙を受けれるのは手続きと科挙に必要な参考書を私は自分の画家で稼いだお金で買って科挙を受ける賤民、常民達に配った







そして私の四人の夫とハソン、ジン、司憲府の部下に賤民五十万人を勉強、刀術を仕事のが終わった時教えてもらったそしてヘ家の別邸で九十日間科挙を受ける賤民達と過ごしている間はエンとは会っていない、毎朝行われる診察にも助手でエンの一番弟子のエレンがやってくれる







そして試験当日五十万人無事科挙を受けることが出来て三十日後結果が発表されて五十万人全員科挙合格、全員が奴婢の身分から開放され中人となりこの国の官僚、武官になった、そして両班達も科挙をを三十万人が受けたが全員不合格、そのうち一万人が不正を行った為私の部下、所由三万人が不正を働いた両班息子、娘達を捕らえて一万人が不正をを働いた






そして義禁府に連行して宣言通り杖刑百叩きの刑が執行された義禁府内で一万人の悲鳴が響き渡る中一万人の官僚である父親が現れその中は領議政様と右議政、パク、カン殿、右議政キム、カディ殿が「ヘ、クァン、やめないか!」その掛け声で義禁府の武官達の手が止まる「構わず刑を続行して」と私が言うと「「はい」」と全員が返事をして続ける




再び悲鳴が響き渡る「「!?」」「何の真似だ今すぐやめさせろ!」領議政殿が言う私は「静粛に!、これはこの間開かれた臣命下会議の大官を務めた私の決定です、それに私は会議でしっかり警告しました、臣命下会議の決定は都中に内容が書かれた張り紙が貼られます、科挙を受けるのに知らないたとシラを切っても無駄です」








「そなた一体何の真似だ議政府(ウイジョンブ)である私達をそなたのような大臣ごときが王様の信頼を盾に私達を脅すつもりか?」領議政様が言う私は義禁府に「全員手を止めよ!」全員が手を止める私は座っていた椅子から立ち上がり







「王様信頼を盾に脅すですか?、私は皆さんよりも確実に王様の信頼を得ておりますしそう思われても仕方がないでしょう?、ですが臣命下会議の決定を臣命下会議を開かずに覆すということがどのような意味を持つか、私より長く政を扱ってきた皆さんならお分かりになるはず、それでもご自分のご子息ご息女を連れて帰りたいならどうぞご自由に」






「なら連れて帰る」右議政様がおしゃると「ただし!臣命下会議を行わず臣命下会議の決定を覆すのは法に反します連れて帰っても構いませんがその代わり皆さんのお命を差し出して頂くことになります」「「!?」」





「何を驚くのです、臣命下会議の法、第二条臣命下会議の決定を覆すには臣命下会議で行うい多数決で覆すことそれ以外で決定を覆すことがあればその者は自分の命と引き換えに決定を覆すこと、と法が定められておりますのでご自分のご子息、ご息女をお救いしたければご自分のお命を差し出してください」






「「ヘ、クァン!!」」一万人全員が私の名を叫ぶ私は微笑み「私が皆さんと同じ立場なら迷わず我が子を救いますが、皆様はどうなさいます?ご自分のお命と引き換えに我が子をお救いしますか?」「「!?」」「そのご覚悟がないならお引取りください、刑を続けよ」「「はい」」






まだ再び悲鳴が響き渡る私は元の位置に戻り座りながら部下達の黒い月に関する報告の上書を読む、百叩きの刑が終わり一万人の両班達をそのまま家に返した次の日私が王宮に行くと私が杖刑百叩きの刑した一万人の父親が私とハソン、ジンの前に立ちはだかるハソン、ジンが私の前に立つと






「どうなされたのです?、皆さん朝から殺気立っておられるご様子ですがご子息、ご息女に何かありましたか?」「そなたそれでも人間か?」右議政殿は私に問う「ご質問の意図が理解できておりません、回りくどい言い方をせずに本題をお話ください」「なら申す、私の息子がそなたのせいで命を落とした、私だけではないここにいる者全員だ」領議政様はおしゃる




「それはお気の毒ですね、ですがそれは誠に私のせいなのですか?、皆様のご子、息ご息女は法を犯しました、臣命下会議で決められたことを自らの意志で背き、臣命下会議で決められた罰を私が下しただけでございます、臣命下会議での決定を守っておられれば私は皆様のご子息ご息女を罰することはありませんでした、故に私のせいではございません、ご子息、ご息女は自ら法を反し自滅したのです」






「黙れ!、お前が殺したのだ!お前が私の娘を殺したのだ!」右議政殿は銃を取り出して私に向け発砲する「「!?」」ハソン、ジンはすぐに背を向けて私を守るように庇うが目を開くと顔を黒い布で隠したピョリが立っていて銃弾を雷の力を使ってはじき返していた「「!?」」「ピョリ」






私が呼ぶとピョリは私に近づいて来て一礼したあとで私は「大司憲の執務室までに私を連れて行って」ピョリは頷いた後に、私を抱えて雷の姿になって私を司憲府の大司憲の執務室に連れて行く



私を下ろすと顔を隠していた布を外す、「ありがとうピョリ、助かった」「いえ、ご無事でないよりです、ですがあの者はこのまま放ってはおけません、クァン様に銃向けて平然と銃を発泡したのです、いずれまたクァン様のお命を狙うかもしれません」







「私なら大丈夫だよ、私にはいつだって守ってくれるピョリがいるから」ピョリが微笑み驚きの表情に変わると「ピョリ、どうしたの?」「ヘ、ジン、ヘ、ハソンがこっちに向っております、私は下がります」「分かった、下がって」ピョリが一礼して執務室の窓から司憲府の屋根に行く





そして戸の外から聞こえてきてハソンが「クァン様、ハソンと、ジンでございます、入ってもよろしいでしょうか?」「入って」「クァン様、お怪我はございませんか?」ジンが私に問う「うん平気二人共、さっきはありがとね」「いえ私達はクァン様の護衛のでお守りするのは当然でございます」ハソンが言うとジンは「それにしてもあの右議政自滅しました」







私がジンに「自滅した?それは一体どうゆうこと?」と聞くと「はい、先程の現場に偶然王様がいらしゃってあの大臣がクァン様に銃弾を発砲するところをご覧になっていたらしくて王命に背いた罪で斬首刑が確定しました」と言うジン「そっか私は王命で官僚になったから私を殺そうとすれば反逆罪に問われる」ハソンは「それだけではないみたいです」








「えっそれだけではないないって何が?」「さっき私達も知ったんですけどクァン様とエン様、王様ので実の妹だともおしゃっておりました」ジンが言うと私は「!?何故その事実を王様は公表したのだろう?」ハソンは私に「事実ってまさか誠にお二人は、この国の翁主様なのですか?」と問う





私は「私は母の日記を偶然見つけて読んでその事実を十二歳の時に知った」「「!?」」「クァン様が王族の一族」と驚きを隠せない様子のジン、ハソンは落ち着いていて「あの先程王様がおしゃっておりましたが、王様はお二人を正式に翁主の座に就けるそうです」





「!?」〈まさかエンが企んでいたことって私と自分が本当は王族一族だって世間に知らしめて私を翁主の座に就けて今の官職から退かせるつもり?〉「そんなの駄目、今の官職を退くわけにはいかない」ジンは「ですがクァン様、とっくに王命は下されました」







「そんなの関係ない、ピョリ、私を王宮の外ヘ連れ出して」「「!?クァン様!」」ピョリは雷となって私を連れ去る









































































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