第21話「誇り高き武人達」

私が足立禁止令を受けてから二十日経ち、二十日間に私は記憶した過去の隠蔽された事件の黒幕を次々と王様に上書を送り摘発していき二十日間で五百人越えたそして初日を以外の日は世弟様と朝、昼、夜お食事を一緒に取るのが私のここ最近の日課だ







昼食の時間になって食べてると「あの世弟様」「何だ?」「このお肉とても美味しいです」「気に入ったのか?」「はいものすごく気に入りました」私が微笑むと「……だったらまた出すように伝えておく」「……はい」






〈でも世弟様はこの二十日間おかしい、話しかけても前と違って態度が少し冷たいというか目を合わせてくれない、私が話しかけたら以前はもっと笑顔で答えてくれていた、私もしかして世弟様に嫌われてしまったのかな?どうしよう、ここは聞くべき?いやでも聞いたことで世弟様にまた嫌われるかもしれない〉






「ん~」「クァン!どうした?どこか具合でも悪いのか?」世弟様は立ち上がり私を心配しながら私の元に駆けつけてくれる私はその姿を見て思わず抱きついてしまった「!?」「!?世弟様!申し訳ございません私ったら臣下の身分で一体何をしてるのか……!?」







世弟様は私を抱き締める「世弟様?」「クァン、どうした?クァンどこか具合でも悪いのか?」「いえそうではなくて……」「だったら何ださっきから何を唸っている?」「世弟様、私のことが嫌いになりましたか?」「何故私がクァンを嫌うのだ?」






「世弟様、ここ二十日私が話しかけても目を合わせてくれません、それにこんなことを申し上げればご無礼かもしれませんが……」「構わない申してみろ」「世弟様以前は私が話しかけたら笑顔でお答えくださいましたですがここ最近はほんの少しだけ冷たいような気がします」







「……」黙り混む世弟様「あっですが世弟様は何もお悪くございません、私が至らぬせいでございます、私が世弟様にご無礼なことをしてしまいそれで世弟様は私を嫌ってしまわれてもご無理はございません、」







「ですが本音を申し上げますと私は世弟様には絶対嫌われたくございません」「……」「私は二十日間どうしたら世弟様に嫌われないだろうかとそれだけを考えておりました!?」世弟様は私の顎を持ち上げて私に口づけをする離れると






「私がクァンを嫌うだとそんなことあり得ないな、こんなに愛おしいのに、嫌いになれるはずがない、一生好きでいる自信しかない」私はその言葉を聞いて泣きそうになる「世弟様では、最近少し冷たかったのは何故なのですか?」世弟様は少し驚き「アハハ」「!?世弟様?」






「それは誤解だ私は冷たくしてたのではない、耐えていたのだ」「耐えていたとはどう意味でございますか?」「そうゆうところだ、無自覚に私を誘惑してくるところ」「誘惑だなんて決してそんなつもりはございません」







「そなたがそんなつもりがなくても私にはそう見えるのだ、私以外の誰かの前で愛おしい顔をするのを固く禁じる特に王様の前では」「はい?何故王様が出てこられるのですか?」「そなたまさか気づいていないのか?」「気づくとは何にでございますか?」






「こうも鈍感だとこの先が心配だ」「心配とは?鈍感とは私のことですか?」「そなたはもっと自覚しろ」「ですが世弟様私は己の顔が見えませんし世弟様にとっての愛おしい顔がよく分かりません」「己が愛おしいのも、鈍感なのもそなたはいい加減自覚した方がいい後そなたが隙だらけで誘惑する癖があるということも」






「そんなこと申しあげられましても……」「とにかく禁ずる」「はい……」次の日私はある事件が気になりイルナムを呼び出した「執義様」「イルナム、来てくれてありがとう」「いえそれで私には頼みたいこととは?」






「私五年前の事件を再調査したいと思っていて」「どのような事件ですか?」「近衛隊百人が王様を殺そうと謀反を企み漢城府の(ハンソンブ)奴婢になったって事件が記された書物を読む限り疑わしい点がいくつか出てきて状況と矛盾してるんだよね~」「承知しました調べてみます」





目をそらしながら言うイルナム「イルナム、もしかして私のことが嫌いになった?」「……何故そんなことを聞くのですか?」







「だって私がイルナムの妹を大逆罪人として摘発してそのせいでそなたとそなたの両親逆賊一家となったまぁ憎まれて当然だな私にとってはただの罪人でもイルナムにとっては大切な妹だもんね」「……私の妹を罪人扱いして頬を思い切り叩く貴女様の姿を見て、正直いい気分はしませんでした、ですが仕方がないことだと思いました」「仕方がない?」






「はい、私の妹は世弟様の命を狙い多くの罪なき民を殺めた黒い月の組織の一員です大罪人の妹の家族である私が命を懸けて罪なき民を守る貴女様を責めることなどできません」





「イルナム、私はそなたの妹を罪人として摘発した、そのとこを間違えだとは思っていない、だけどイルナムには心に一生消えないそ大きな傷を与えてしまったこんなこと言ってもイルナムの心の傷が消えるわけではないけどごめんね、そなたの妹を摘発したことを間違えてないと思って」私は涙を流しながら





「!?」「ごめんね、そなたの恋人ヘスを守れなくて、ごめんね、何も悪くないイルナムに沢山辛い想いをさせて、ごめんねヘスと三日後に婚礼を挙げるはずだったのにイルナムの幸せを壊してしまって、」「どうしてそれをご存知なのですか?」








「大司憲様から聞いた、婚礼を挙げると知っていたら任務になんてさせなかった、誠にごめんねイルナム、今日イルナムを呼んだのは私が出す任務にはもう関わらないでほしいと頼む為だ、今後は指示は掌令のム、マンムンの指示に従って」「執義様……」「 話は以上もう下がって」






「はい……」イルナムは出ていった。そして次の日ム、マンムンが来て「執義様」「マンムン、来てくれてありがとう、イルナムは?今どうしてる?」「はい、ご指示通り別の任務を任せてました」「そう、私が頼んだことは調べてくれた?」






「はい、三日かけて調べましたが、執義様のおしゃる通りあの事件の内容が記された書物は偽造されたものでした」「やっぱり誰かの手によって作られた偽物か」「ですが何故お気づきになられたのですか?」





「前に罪人として謀反に関わった者の証言通り自分の足で調べてみたそしたら次から次に怪しい点が出てきてあの近衛隊の者達は何者かにはめられたのではないかと、」「それであの書物が偽造されたものだと疑っていたのですか?」




「うん、それで本物の書物を探してほしいんだけどもしかしたら元近衛隊、副隊長ア、ボン副隊長が持ってるかもしれないから副隊長を訪ねてほしいのだ」「私がですか?」「訪ねた時にこの書状を副隊長に渡してほしい」「はい、執義様、今から行ってきます」







「うん気を付けてね」そして夜の酉の正刻が過ぎてになって私は東宮殿と繋がる建物の庭の弓場で矢を射ていた十本全て矢が的に当たると「全て当たりましたね」チェ武官が拍手しながら言う「ありがとうございます、あっチェ武官、この前突然気を失っていまいすいません」





「この前?あっ私がお嬢様の刀、雷刀を触らせて頂いた時のことですか?」「はい、最近満月を見ると火事があった日のことを思い出して激しい頭痛とめまいが起きてしまい気を失ってしまうのです」






「それはお母上がお亡くなりになられたからですか?」「……」「!?申し訳ございません失礼な発言をしてしまいました」「平気です、誠のことですのでもしかしたら無意識に満月に恐怖を感じているのかもしれません」「恐怖でございますか?」








「はい、きっと満月の日に母上をお救いできなくてずっと悔やんでいるのでしょう、そして何度も思うのです、あの日に戻りたい、戻って母上をお救いしたいと満月の日は思うのです、満月の日いつもは悲しみと恐怖と後悔な思いを感じながら満月を眺めるのです」






隣からすすり泣き音が聞こえて「えっチェ武官?」隣を見るとチェ武官が泣いていた「何で泣いてるんですか?大丈夫ですか?」私はハンカチを差し出すと「ありがとうございます」「すいません、私お嬢様がそんな辛い想いをしながら満月を見ていたなんて知らずにお嬢様の刀の雷刀を満月にかざしながら浮かれて情けないです」








「だからって何故チェ武官が泣いて謝るのですか?アハハ」「あと申し上げますと私はお嬢様より二歳年下です」「えっ二歳下ってことは今二十歳?」「はい」「いや私ずっと年上だと思っていたでも今のチェ武官を見たらなんか納得できた」「はい?もしかして私を子供っぽいからとかそんなに風に見てます?」





「いやだってすぐ泣くって子供っぽい以外に例える言葉をある?」「子供っぽいはやめてください」「じゃあ他だったらなんか例え言葉だったらん~優しい、気遣いが上手、素直とかとかそれならそんなに悪い気しないでしょ?」






「それはそうですが、やっぱり子供ぽいって思ってるのですね」「えっ逆に聞くけど何で嫌なの?、」「何でって二十歳なのに子供っぽいって言われても嬉しくないですよ」「チェ武官は嫌かもしれないけど私は、チェ武官にぴったりだと思うけど子供にだって良いところはある、」「何ですか?それは!?」




チェ武官は少し慌てた様子で私に近づいてきて「お嬢様少し後ろを向いていてください」といい私の体を後ろに向ける「えっ何で後ろ向くの?」「はい今満月が出てます」「もしかして私を気遣ってくれてるの?私が満月を見るのが怖いって言ったから?」







「はい、お嬢様にはそんな想いはしてほしくありませんそれにまためまい、頭痛で気を失われたら大変でございますなので後ろを後ろを向いていてください」「やっぱりチェ武官は子供っぽいね」「だから何ですか?その子供っぽいって」






「でもきっと大丈夫」私は振り返って私の目に満月が映る「「!?」」私は少しめまいがしてふらつく「お嬢様!」私の両肩を両手で支えるチェ武官は「ですから申し上げたのです、後ろを向いていていてくださいと」「チェ武官」「はいお嬢様」







「私、今日、以前と比べて少しだけ満月が怖くないと思ったこれはきっとチェ武官が子供っぽいからだね、ありがとう子供っぽいくて」「……なんの感謝ですか?それは」チェ武官は少し驚いた顔をして、私が微笑むとチェ武官も微笑むそして次の日元近衛隊、副隊長ア、ボン副隊長が私がいる建物に来た。






「よくいらしゃいました、ア、ボン副隊長お茶を飲まれますか?」「ここに長くいるつもりはありません、私のような奴婢になんの用ですか?」副隊長は冷たく突き放す「すいません本来なら私が訪ねるべきなのですが、私は訳がありまして王宮から出られないのです」







「その訳を私は存じております足立禁止令が出てこの建物から出られないと」「前日私の部下が訪ね証拠となる事件に関する本物の書物を副隊長が持っていると報告がありまして」「貴女を信じて渡せとおしゃるのですか?」






「はい、黒幕を捕らえる為にもご協力頂きたいです」「信じられません、仮に貴女がこの事件に関わってなかったとしても信じることなどできません、私が今日ここに来たのは何があっても貴女様を信じないその事をお伝えする為に来たのです、」「……」






「きっと貴女様もあの官僚達と同じようになるでしょう、今はそうやって正義と信念を持ち罪人を摘発し続けているでしょうが権力という力の味を知り私欲のままに権力を得る為に無実の人間を罪人に仕立てあげるでしょう」








「……なるほど私は副隊長にとって貴方達をを罪人に仕立てあげた卑怯で恥知らずの官僚達と同類だという訳ですか?」「貴女様には分からないでしょう、両班の身で生まれた時から何不自由なく贅沢しながら暮らしてる貴女様には私のような人として扱われない家畜の気持ちなど分かるわけありません」






「どんな気持ちだったんですか?、私は貴方ではないので貴方の気持ちが理解したくても言葉にしてくれなければ理解しようがありません」「私の気持ちが知りたいのですか?ならお教えしますはっきり申し上げると迷惑です、過ぎた事件のことを嗅ぎ回ってその事を気づいた官僚が漢城府の役人に私も私の部下も暴力を受けました」






「!?暴力を受けたのですか?」「貴女様が昔の事件を再捜査なんてするから」「すいません、また罪のない皆さんに辛い思いをさせてしまいました」





「暴力を受けたのも辛かったですが、一番辛かったのは隊長がやってもないない罪を認め私達隊員を己の命と引き換えに助けるよう頼んだことです」私はその言葉を聞いて涙を流す





「何故貴女様が泣くのですか?」「すいません、そうですよね?そんな酷い目に遭って官僚である私を信じられませんよね」「……」「私は今は己には欲がないそう思っていますが貴方の言う通りその思いがいつ私欲になり貴方方を傷つけた官僚達と同じことをするのかもしれません」







私は副隊長の目を見てはっきり言う「ですが私はその日を迎えることになったとしても己の信念と正義を貫くでしょう、私はこれまで一万人を越える悪事を働いた官僚達を摘発してきましたその度に周りに敵を作り、大勢の罪人の家族から恨みを買いました」







「……」副隊長は黙って私の話を聞く、「私が正義、信念を貫く度に恨みを買い私の代わりに大勢の部下が命を落としました、部下の死体を見ていつも自分に問いました、これが誠に正しいのかと罪のない部下の命が犠牲になってまで貫かなくてはいけない信念と正義なのかと何度も問いました」







「それで答えは見つかったのですか?」私は副隊長に首を横に振り「いくら考えてもその答えは見つからず私はいつも部下を守れなかったことを後悔して部下の死という現実が自分の無力さを思い知らされるだけです、」「そんなこと私に何の関係があるのですか?」






「副隊長には私の決意なんて関係ないでしょう、ですがせっかくなので最後まで聞いてください、そして最後にこう思います、犠牲になった部下の為にも私はここで諦めてはならないのだと、命を懸け協力してくれた部下の為にも私は悪事を働く官僚には決して屈してはならないのです、だから待ちます副隊長が私に証拠の書物を託してくれるのを」







「先ほど申し上げたはずです貴女様を信じないと」「それでも信じて待ちます、今日ここに貴方を呼んだのは貴方に伝えたいことがあって呼んだのです」「伝えたいこととは?」「貴方が抱えてる心の痛みは私は消すことはできないですし、貴方に信じてほしいとも言いません」







「でしたら私には何を伝えたいのですか?」「貴方と貴方の部下は罪人でも家畜でもありません、貴方と貴方の部下は長年この国を守った誇り高き武人です、貴方の大切な人を生き返らすことはできませんが貴方と貴方の部下の無実を晴らさせてください」






「貴女様にそんなことが出来るのですか?」「はい、証拠の書物を渡してくださるなら私が必ず無実を証明し奴婢の身分から貴方方を解放して近衛隊に戻します」「信じられません、貴方の言葉をどうやって信じろと言うのですか?」「なら私の言葉なら信じられるか?」「「!?」」






声がした方を見ると「世弟様」私が呼ぶと世弟様は私と副隊長は一礼する「副隊長そなたが無実なら奴婢の身分を剥奪するのは当然のこと私が直接王様に奴婢の身分を剥奪してもらえるように頼もう、世弟である私の言葉でも信じられないか?」





「いえそのようなことは……」「ならこの者に渡してやれそしてこの者を信じてやれ、この者のことは昔からよく知っている誠に真っ直ぐで曲がったことが大嫌いで困ってる者がいたら迷わず助けるそれがへ、クァンだ」





「世弟様……」「はい世弟様、世弟様がそこまでおしゃるならこのお方に託します」副隊長はそう言い私に証拠の書物を差し出す






私はそれを受け取ると「クァン、事件に関わった者と元に近衛隊だった者達をここに連れて来るように私の護衛に命じた時刻は今日の未の刻の正時だ」「はい世弟様」「まだ時間があるそなたも一度帰れ」「はい世弟様失礼致します」私と世弟様に一礼をした後副隊長は部屋を出ていった














































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