第11話「初めての司憲府での仕事」

一晩が経ち私は朝官服に着替えてそして世弟様から頂いた指輪が入った巾着袋を持って出ていった。ハソン、ジン、エンと一緒に馬車に乗って王宮に行く、馬車の中で「ねぇクァン聞いてる?」「えっごめん聞いてなかった」






「何朝からボケッとしてるの?もしかして世弟様のこと考えてたの?」「……」「その顔は図星だな」「……私の顔見て、私の考え読まないでよ」「クァンが単純なだけだよ、落ち込んでる暇なんてないよ、今日から官僚として働くんだから、それに世弟様のことは自分の意志で決めたことでしょ?」





「それはそうだけど……」「じゃぁ何でそんな元気ないの?」 「大丈夫、世弟様にお会いになっても私が臣下として接するから」





「そういえば、司憲府は元々王宮の外にあったって知ってた?」「うん、知ってるよ母上に聞いたことがあるから」






「上王様がに二十五年前に司憲府を王宮の中に造って、司憲府の官僚が朝の集会に参加することを王命で許した」「それってつまり母上を側に置くため?」エンが私に聞くと「間違えなく慕ってたね上王様は」「どうして断言できるの?って日記に書いてあったのか、女官になる運命から逃れるために顔を隠して生きることになった母上を顔を晒して女官にして更には自分の側室にまでしたんでしょ?」





「クァン、もしかして日記に見見たの?」「うん、」「……」「どうしたの?エン黙り込んで」エン「なんでもない、母上は結局上王様と分かれることを選び官僚になることを決意した」「それだけじゃなかった、私達の叔母上と上王様のは犬猿の仲だった」






エンは「きっかけは叔母上が官僚だった頃にまだ上王様の、お父上とそれから王妃様と側室達の悪事を次々暴いて摘発し全員それぞれの座からから引きずりおろし極刑にしたことだった」





私は「それは仕方ない、だって上王様のお父上は、王座を謀反を起こして力ずくで奪ったも同然だし、初代王妃様は上王様に寵愛を受けた側室の命を奪った、他の側室達は王妃の座に就く為に互いの命を狙いあったのだから」





「やっぱり権力は欲したら駄目だね」エンが言うと私は納得したように「確かに臣下達の投票によって極刑することがだよね?確か会議の名は……」







エンが「臣命下〈シンメイカ〉会議、この会議は臣下だけが使える会議でこの会議で決定されたことは、王命でも覆すことが出来ない臣下の特権」「エンって何でそんなに王宮のことに詳しい訳?」「官僚に何人か知り合いがいるから」「でもいつの間に知り合ったの?」「内緒」







「何で内緒?」「秘密の一つあってもいいでしょ?」「いいけど秘密はほどほどにね」私達は微笑み合う。王宮に行き「ハソン、司憲府ってこっちだよね?」「はい、クァン様、そちらでございます」密豊君様がこちらに向かって歩いてくる






「失礼のないように振る舞いには気をつけて」「分かってる」私達の前に止まって私達は密豊君様に一礼をする、私が「密豊君様、どういった……」ご要件でしょう、すると突然密豊君の拳が私の顔におもいっきり当たる「「!?」」「クァン!!」「クァン様!!」私のよろけた体を支えるエンが私を後ろに隠した






「密豊君様こんなのあんまりではありませんか?理由もなしに突然殴るなんて」「理由はある、この者はただの民のくせに恐れ多くも王座に就いたいた父上に無理やり譲位させてその上無礼発言を連発した」「ですが全て真実ではありませんか、クァンは何一つ間違ったことを言っておりません」







「今何と言った?」「私はクァンが間違ったことを言ったとは思いません、今の世の中は腐りきっております、」「何だとそなた誰に向かって!何をしておるただちにこの者の首をはねよ」「はい」一人の武官が刀を抜く「エン!」私は呼ぶと






「構いませんよ、私の首をはねて気が済むなら遠慮なく首をはねてください、ですがこれだけは覚えておいてください、私が死ねば密豊君様貴方様の隠された秘密も明らかになります」「何の戯れ言だ?」「1537年七月三日戌の刻の正刻」「!?そなたその事を何故知っている?」







「この日この時刻一体何が起きてどのような事実が隠されたのか、私は全て知っています、密豊君様もよくご存じのはずです」「やめろ、それ以上は口を開くな」「首をはねたければお好きにどうぞこの事実が世間に明るみになれば私も死にますが密豊君様も命落とすことになるでしょう」






「そんな脅しに私が屈すると思うか?」「なら試してみてはいかがですか?私の首をはねたら何が起きるのか、密豊君様自身がその身を持って確認なさってください」






「そなたのいうことが誠なのかそなたの首をはねてこの目で確認しよう、ハヌル、へ、エンの首を斬れ」「はい」「「!?」」エンは何故か微笑んでいた刀がエンの首をめがけて振り落とされる。私はそれを素手で受け止める「「!?」」「!?クァン!」






「そなた何の真似だ?邪魔するな」私を睨み付けて言う密豊君様に「申し訳ございません、私の妹が密豊君様に数々の失言を致しました、心からお詫び致します、ですが恨みの対象は私の妹ではなくて私のはずです、斬るなら私の首をおはねください」私は首に受け止めた刀を当てる






「クァン!おやめください密豊君様望み通り私は死にますのでクァンはお助けください」「何をしている早く斬れ」「はい、密豊君様」刀が下に向けて動かされた瞬間的「王様と、世弟様のおなり」と声が聞こえて手が止まる「クァン!」「一体何の真似だ!」






世弟様と王様が内官、尚官達を引き連れて現れた。世弟様は私を見て「今すぐその刀をおろせこれは世弟としての命令だ」刀を下ろすと世弟様は私を後ろに隠した後に「クァン、大丈夫か?手と首から血が出てるぞ、クァンその顔どうした?、まさか……密豊君お前が殴ったのか?」








「はいそうです、その者は父上に失言をし父上を脅して王座からおろしたのです、私に殴られて当然でしょ?」「「密豊君!」」王様と世弟様が同時に叫び王様は「この者を傷つけることは決して許さない、もし次傷つけたら余はそなたの王子の地位を剥奪して王宮から追い出す」王様は酷く険しい顔をしていた。







「!?何ですか?、王様も、世弟様もどうしてその者を庇うのですか?そんなどこにでもいる常識外れの女のどこがいいのですか!?」「「密豊君!」」王様と世弟様は同時に険しい顔をして密豊君様を呼んで「これは王命だこの者に二度危害をくあえるな」





「次この者に手を出したらお前は私の敵だ」世弟様と王様に冷たい言葉を言われて悲しそうな顔をした後私を睨み付けて歩いていく王様と世弟様は振り返り世弟様が「大丈夫か?クァン」「はい」私が返事すると王様が「全く女人を殴るとはいくら王子でもその振る舞いは許せない」






「あの、王様、世弟様、私の考えを申し上げてもよろしいでしょうか?」「「申してみろ」」「はい」「確かに私は密豊君様に殴られました、それは事実ですが私にも非はあると思うのです」王様は「何を言う、クァン、そなたは悪くないだろう?」「そうだ、クァンは何も悪くない」






世弟様がおしゃった後「それは違います、私は密豊君様に酷い仕打ちを行いました、密豊君様の大切なお父上様を侮辱してそして王座からおろしました、この行いは密豊君様からしたら決して許せないのでしょう、」「「……」」







「非があるのは私でございます、ゆえにお願い致します今後私の身に何が起きても密豊君様を罰してこの王宮から追放しないでください、お願い致します」私は頭を下げる「クァン……分かったから頭をあげよ」王様が言う。







「ですがお二人方のお気遣いには感謝致します」そして初めての朝の集会に参加して司憲府に行き挨拶をした「へ、クァンですよろしくお願いします」「まさかそなたが司憲府に来るとはな」赤い官服を着た人が話しかけてくる「大司憲様ですか?」私が聞くと「へ、アロ娘か?」





「はいそうです」「そなた首席を取ったそうだなならそなたにこの案件を任せよと王命が出た、そなたも知ってるだろう?前日に申聞鼓を叩き王様に訴えた女人を」「はい覚えております」





「これが内容だ」事件内容が書かれた書物と王命書渡されて「承知致しました」「ただし期限は明日の朝の集会が始まる前までそれまでにこの案件を解決しろ出来なければ司憲府にそなたの居場所はないと思え」







「承知致しました、早速取りかかります、ですがあそこにいる所由(ソリ)を二人連れていっていいですか?」「構わない」大司憲は言う。私は所由の元に行き「申し訳ないけど急ぎの案件を今からするんだけど手を貸してくれない?」「「はい」」「名は何と言う?」





「サ、イルナムでございます」「そなたは?」「ホン、ヘスでございます」「イルナム、ヘス、ありがとう協力してくれて早速行こう」「「はい」」書物に書いてある事件は捕盗庁の兵士だった者が謎の死を遂げて兄の死を不信に思った妹が全く葬儀をしないっていう案件だった








妹の家に行くと妹が首に刀を当てて周りの捕盗庁の兵士達が周りに立っていて「早く葬儀をあげよ、」「嫌です!兄は橋から落ちて死んだんじゃありません、葬儀をあげる前に別の部署の方に捜査をしてもらってください」ワラの敷物の上でワラを被せて眠る兄に寄り添う姿があった






「その捜査は私が行います」私は妹さんに近づいていった「「!?」」捕盗庁の兵士達が官服姿の私を見て戸惑い隠せない「あのどなたですか?」「キ、クレハさんですね?」「はいそうですが……」「司憲府の持平のへ、クァンです、お兄さんの謎の死は私が必ず明らかにします、私にお任せ頂けますか?」








「私の言葉を信じてくれるのですか?」「もちろんです、私か見てもお兄さんの死は不自然です、貴女が命を懸けてまでお兄さんの無念を晴らそうとしたその思い決して無駄にはしません、必ず闇に隠されたお兄さんの死を明らかにします、私を信じて任せてくださいますか?」






クレハさんは涙を流し、「はい」私はクレハさんが持っていた刃物を取りヘスに渡すと「中に入ってお待ちください私も後で行きます」と私が言うとクレハさんは「はい」「ヘス」「はい、持平様」「クレハさんを中に連れていって」「はい、行きましょ」「はい」クレハさんはヘスに支えてもらいながら中に行った。






私は立ち上がってイルナムから王命書を受け取り捕盗庁の兵に私は王命書の中の方を見せながら「貴方方はお帰りください、この案件は王命により私が調べることになりました」「……引き上げるぞ」「「はい」」捕盗庁の兵は退いていく。






「ジン、」「はいクァン様」「事件が起きた日の被害者がどこに立ち寄ったか調べて」「はい、承知致しました」ジンは行く「ハソン」「はいクァン様」「捕盗庁の兵士が気になる、何かを隠してるように思えるのだからさっきの兵士達の動きを見張って、怪しい動きがあればすぐ知らせて」






「はい承知致しました」ハソンが行った後「イルナム」「はい、持平様」「ドギさんをお願い、あと不審な人物を見かけたら私に知らせて」「はい」私は中に入りヘスは私に気づき立ち上がり私に一礼をする「ヘス、悪いけどクレハさんと二人にしてくれない?」「はい、持平様」







ヘスが出ていくと私はクレハさんの近くに座り「気持ちは落ち着きましたか?」「はい、お気遣い感謝します」「あのお辛いかもしれませんが事件当日のこと話して頂けませんか?」






「はい、事件当日の朝は兄は特にいつもと違う様子はありませんでした、ですが前日の夜部屋一人でいる兄の様子を見て少し違和感を感じました」「違和感?どんな風にですか?」






「はい仕事から帰ってきていつもはすぐ風呂場に向かうのですがあの日は二時刻ほど部屋から出てきませんでした、気になって、少し部屋を覗いたんです、そしたら兄が呟いていて」「何と呟いていたのですか?」「「俺はどうすればいいんだ」って」







「俺はどうすればいいんだ?ですか?確かにドキさんの身に何かあったかもしれません」「はいそれを聞いて私は仕事で何かあったのではないかと思いました、そして仕事中見てはいけないものを見て口封じの為に刺されて殺された」「殺された?何故そう思うのですか?」






「兄の背中には三本の矢で刺されたような跡があったんです」「三本の矢で刺された跡……まさか」「何か気づいたんですか?」「はい、もしかしたらこの事件事故ではないかもしれません、クレハさんの言う通りこれはまだ私の憶測ですがドキさんは殺害されたのかもしれません、」「それはどうゆうことですか?」





「これはまだ仮説の段階です不確かなので断言は出来ませんがクレハさんの言うとおりドキさん恐らく仕事中に見てはいけないものを見てしまったんですそのため口封じをされてしまった、クレハさん他に気になったことはありませんか?」「一つだけあります」




「何ですか?」「兄はよく私に暗号を使って謎なぞを出していました、事件が起きた当日の朝、兄がこれを渡してきたんです、ですが今までと違う種類の謎なぞで全く意味が分からなくてまだ解けてないんです」「見せてもらってもいいですか?」「はい」クレハさんから紙を受け取り私は文字を読むと






「なるほどこの謎なぞの中にドギさんの死の謎が隠されているとこの謎を解けばこの事件を解決できるかもしれません、この文章しばらくお借りしてもよろしいですか?」「はい」「ありがとうございます」私はクレハさんと別れたあと王宮に戻り司憲府のもう一つの部署の建物桃華府〈トウカブ〉なぞなぞの答えを考え込んでいた。







側にいたイルナムが「持平様、もしかして暗号をが解けないのでずっと考え込んでいらしゃるのですか?」「うん」「あの持平様何故ヘスにあの奥さんを見張れとお命じになられたのですか?」






「念のためだよ、クレハさんに何かあってからでは遅いから捕盗庁の兵士達かなりクレハさんこのこと目の敵にしてたし」「ですがもうすぐ退庁をするお時間です」「!?待て今何て言った?」「もうすぐ退庁をするお時間ですと言いました」







「あー!」「!?どうしたのですか?何か分かったのですか?」「ありがとう、イルナムお陰で暗号が解けたよ」「誠にに解けたのですか?」「それは今から答え合わせをしに行く」私は仕事終わりの時間になりヘス、ジン、ハソンの戻って来たのを確認してから一緒に退庁した。







そして別荘に戻り使用人に誰も入れないでと頼んだ「皆の報告聞かせてもらおうかまずはジン」「はい、事件当時のドギさんの足取りを追いましたが仕事を終わったあと夜遅くまで捕盗庁の兵士達と酒場で飲んでいました、この名簿に飲んでいた兵士の名が記されております」







私は書物を受け取り確認すると「えっこんな夜遅くまで飲んでいたの?てことはかなり泥酔してたはずでしょ?この後の行き先は分かる?」「いいえ酒場が閉まるまで飲んでいたらしくかなり深夜だったのでそれ以降見たものは居ないようです」





「そう、ありがとう、ハソンはどうだった?」「はい捕盗庁の兵の動きを見張っていましたが特に動きはありませんでした、部下に見張りを変わってもらい徹夜で見張りをさせています」「ありがとう、ヘス」





「はい、奥さんに変わった様子はありませんでした、周りにも怪しい人物はいませんでした、ですが一つだけ気になったことが」「どうしたの?」





「見張っていた時に見たものは持平様の私兵だと言う方が十人ほど来て見張りを変わると言ってました、少し怪しいなとは思ったのですがへ家の紋章が彫ってある札を持っていたので見張りを交代しましたが」





「それは私が一緒にいた部下に見張に行かせました」ジンが答える「私が許可したことだから何か問題ないないよ」「ならいいのですが」イルナムが「あの持平様、あの見つけた証拠品、キ、ドギさんを殺めた罪人達どうしますか?」






「ジン」「はいクァン様」「罪人は物置に閉じ込め見張りを百人つけて、見つけた証拠品は全て別の物置に置いて見張り百人つけて見張り以外は私の許可なく誰も近づけさせないで」「はいクァン様そのように致します」ジンが返事すると私はイルナムに「これで問題ないないでしょ?」






微笑んで「はい問題ないございません」「クァン様、部下が知らせて来たのですがエン様がしクァン様を心配し私兵達に頼み探し回っておられるようです」「エンがそんなことを?ジン」「はいクァン様」「紙と筆を用意してエンに文を送る」「はいすぐにご準備致します」




ジンが部屋を出た後「ハソン」「はいクァン様」「二人を客室に案内して、あと食事と入浴の準備も」「「持平様それはどうゆうことですか?」」二人は同時に私に聞く「夜も遅いから今日はここに泊まって行って」「「ですが……」」戸惑ってる二人に「それぐらいさせてよ二人は色々協力してくれたんだからそのお礼」






「はい、そう致します」「お気遣いに感謝します」「二人共今日はありがとねゆっくり休んでね」「「はい失礼します」」二人はハソンと一緒に出ていく。




私はエンに文を送った。二刻して別荘の私の寝室に「クァン様、ハソンでございます」「入って」「失礼致します」戸が開くとハソンは入って来て「エン様、捜索を止めたそうです、それから伝言を」「エンは何て?」






「「勝手過ぎるよクァン、一人でいつも無茶ばかりして、私達はいつも一緒だって言ったでしょ?」と申していたそうです」「そう、分かった、ありがともう下がってハソンも休んで」「はい」ハソンは一礼をして出ていく。そして一夜明けた。




































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