第9話「喜びと悲しみ」

私が懐妊して三百日がたった頃私はへ家の以外の者に誰にも知られないよう寺で身を潜めて出産日を迎えた「んー!」陣痛があまり痛くて口に布をくわえていてもうめき声を出してしまうエンが「クァン、頭が出てきた後は体が出ればいいだから最後まで一緒に頑張ろう」私は頷く





「クァン様もう少しの辛抱です」「クァン様無事お子様が生まれたらクァン様の好物のお粥お作りいたします」プニとオギが私の手を握り順番に言う。私はそれに対して頷く。「さぁクァン思い切り息んでせーの!」「んー!」







「やめて、クァン体出てきたよ後は足だけだよ最後に思い切り息んでせーの!」「んー!」さっきよりも痛みを感じて、体から何か出たような感覚がして「オギャー、オギャー」子の鳴き声が聞こえる「おめでとうクァン、元気な女の子だよ」









エンが体を綺麗に洗うと白い布で包んで私の隣に置く「無事に生まれてくれて良かった、可愛い、私と臨海君様の子」「そうだクァン名は決まってるの?」







「うん花の愛と書いてソフィアにしようと思ってる、臨海君様が考えた名だから私はこの子の母親として育てることができないだからせめて名だけは付けてあげたいの、私と臨海君様の子だという密かな証明として」私は涙を流して言う、







エンは目が潤ませながら「いい名だね」「そうでしょ?そういえばこの子を養子として迎える家はどこだっけ?」





「父上と昔からの友人で漢城府判尹〈ハンニュ〉のユン、シム殿で、奥様がラオン様でお二人ともかなりの子供好き、奥様は子供が産めない体で養子で男の子二人をユ家に迎えてる」「てことはソフィアにお兄さんが二人もできるんだね」「そうだね」「早く連れていって」







「えっもう連れていくの?もう少し……」「このまま一緒にいたらきっと離れられなくなる私の手で育てたいそう思って、それじゃ駄目なの、臨海君様がこの子のことを存じにならばきっとこの子を理由に私を世弟賓に迎えようとする、だから駄目なの」






「クァン……誠にいいんだね?」ソフィアを見て「うん」「分かった」「エン、お願いがあるの?私が使ってたお気に入りの髪飾りこれをソフィアにあげたいの、側にいられないからせめてこれだけは持っててほしくて」私は臨海君様に頂いた桜の花が付いた髪飾りをエンに渡す「うん必ずこれも持ってく」







「エンありがとう、ソフィアごめんね、私の手で育ててあげられなくて、元気にすくすく育ってね、愛してる、愛してるよソフィア」私はソフィアの頬に口づけをする私がソフィアから離れるとエンがソフィアを抱き抱えて部屋を出た。






私の目から涙が溢れた口を手で押さえて泣く私を見てオギとプニは心配そうに見つめて涙を流しながら私の体を優しく撫でる、ケン先生の予言を受けてから二年と百八日がたった。私は王宮に呼ばれる






「クァン、王様からの突然のお呼びだしって今度はなにやらかしたの?」「ちょっと待って今の言い方だと私が毎回問題を起こす問題児みたいじゃない」「だってそうじゃない?クァン臨海君様と出会ってから色んな危険な問題に巻き込まれてるじゃない」






「例えば?」「山賊に出くわして、お嬢様達を助ける為にわざと捕まるし、上王様に楯突いて上王様の護衛武官に二度も首をはねられそうになるし臨海君様をお助けする為に王命に背いて大逆罪人になりかけ、自首する為に離縁したいと言うは、それに臨海君様の為に湖に飛び込んだこともあった、私は心配と不安で心が持ちません!」







「大丈夫だよ、エンは心配しすぎ、私はすぐ死んだりしないから」「クァンの大丈夫は信用できないんだよな~お願いだからもう無茶しないでね」「努力はするだけどごめん、約束はできない」






「だから信用できないの、いい、クァン、これだけは覚えておいて私達はいつも一緒にだって」「うん覚えておいておく」エンは微笑む王宮に行き王様に会う大殿に行くと「突然呼び出してすまない」「いえお気になさらず今日はどういった用件でしょうか?」「余は臨海君を世弟の座につけようと思っている」






「はい、王様がお決めならそれでよいと思われますが何ゆえ私にその事をお伝えるのですか?」「そなたと臨海君がそなたと恋人と同士なのは知っている、だからこそ臨海君はそなたを世弟賓にしようとするはずだ」






「それはご心配には及びません、私は臨海君様にお別れを告げるつもりです」「それは何故だ?」「私の存在が臨海君様を危険な目に遭わせるだけでございます、私がこのまま恋人でい続けて臨海君様が私を世弟賓にご自分で選ばれた場合、持病持ちの私は間違えなく廃位され賜薬に処されることになります、もしそうなれば臨海君様は私を自ら選んだこと官僚の方々に指摘されて激しく責られるでしょう、王様はその事態を収めるために臨海君様を世弟様から退かせて更には臨海君の座からも退けるおつもりでは?」






「もしそうなればをそなたのいうとおりになるだろう?それだから世弟賓にはならないと申すのか?」「はい、臨海様を危険な目に遭わせる真似は致しませんのでご安心ください」「世弟賓になる気がないなら官僚になるか?」「もし王様が官僚になり官職に就けと王命をお下しになるなら喜んで従います」






「そなたのことは余が必ず守ると約束しよう、故に余を信じて余の支えになってはくれないか?科挙に受けて必ず合格して官僚に就け、これは王命だ」「承知いたしました、王様、必ず科挙に合格して官僚になります、ですが二つ条件がございます」






「申してみろ」「一つ目は今まで通り画師の仕事を続けさせてください」「よいであろう二つ目は?」「この先どんなことがあろうと決して臨海君様を世弟の座から下ろさないとお約束してください、この二つのお約束をお守りくださるなら私は生涯官僚として王様を必ずお守り致します」







「よかろう、約束しよう、だがそなたも約束してくれ余が王命で言ったことは必ず従うと」「はい、承知致しました王様」「言い忘れていたが科挙は六十日後だ、そなたには大科(テグァ)を受けてもらうしっかり勉強しておくように」「はい王様」






私が大殿を出ると「クァン、会いに行こうと思っていたが良かった会えて」私は走って臨海君様を抱き締める「!?クァン?どうしたのだ?突然」「臨海君様私もお会いしたかったです」「クァン?また泣いてるのか?」声を聞いてまたすぐに当てられてしまう







「臨海君様にお会いできて本当嬉しいのでございます」「まったくクァンは愛おしいなそんなに私が好きか?」「はい、お慕いしております」「今日はやけに素直だな」臨海君様が離すと「クァンそなたに伝えたいことがあるのだ、私は三日後世弟になるために即位式を行うその夜にそなたに伝えたいことがあるのだ時間を作ってくれるか?」






「はい承知致しました」〈私をきっと世弟賓にするつもりだ、その申し出を受けたい、世弟賓になりたいでもそしたら貴方様は私のせいで命を奪われるそれだけはなんとしても阻止したい〉そう思っていたら涙が出た「!?クァン?どうした?」「臨海君様、申し訳ございません誠に申し訳ございません」






「何故謝るのだ?」罪悪感に強く感じた私は発作が起きてしまう「!?ハァハァ」私は倒れる「クァン!」私の体を受け止める臨海君様「クァンどうした?しっかりしろ!クァン!!」私はそのまま気を失う。「んー」目がされると自分の部屋にいた。「クァン、良かった気がついた」







「エン、そうだ私発作が起きて」「本当危なかったんだから、たまたま医学の知識がある護衛武官のキム武官が近くに居たから助かった、そうじゃなかったらクァン、とっくにあの世行きだよ」「怖いこと言わないでよ、私はまだ死なないよ」「それよりどうゆうこと科挙受けるって」






「!?王様からの聞いたの?」「全く何考えてるの?そんな体で官職に就こうだなんて、まさかそれで発作起こしたの?」「王様は関係ない、発作が起きたのは私のせい」






「もしかして臨海君様が世弟の座に就くからそれで自分を世弟賓の座に就けるかもでも自分には世弟賓になる資格がないそう思って発作を起こしたの?」「!?」「その顔は当たりだね」「何で私の考えが分かるのよ」「クァンは単純で分かりやすいから臨海君様は騙せても私は騙せない」





「どんだけ私が好きなの?」「あっ私の決め台詞取った」「何よ?決め台詞って」私が、言うとエンが「でもこのまま臨海君様が王座に就いたら本当にソフィアは王女になるね」「うん、だからあの子が王族だってことを知られてはいけないの?今知られたら命を狙われるかもしれない」






「うんそうだね、ユ家の娘の方が幸せかもね」そして三日後臨海君様が世弟様なられた酉の刻の正刻(十八時)に王宮から輿がきが迎えに来て王宮に向かった、王宮に着くとハン内官に目隠しするように言われて私は布で目隠しする








しばらく歩いてハン内官に「目隠しを外してくださいませ」私は外すと世弟宮に居て目の前には世弟様が居て「世弟様」私は一礼をする周りを見渡すと花の提灯が吊るされていて地面には赤い敷物がひいてあって周りを見ればチャンァゴンがいて私は状況に困惑する






「世弟様これは一体何事でございますか?」「驚いたか?」「はい」「なら成功だな、それに今日世弟に即位したからそなたに伝えたいことがあると申したではないか忘れたか?」「いえ覚えておいております」「ならよい」「私も世弟様にお渡ししたい物とお伝えしたいことがござます」






「申してみろ」「はい」私は世弟様には拝礼をして「クァン?」「世弟様ご即位心からお祝い申し上げますその衣もとてもお似合いでございます」「ありがとう、だかどうした急に、もしかして私に見惚れたか?」「はい左様でございます」「素直でよろしい」私の頭を優しく撫でる






「それからお祝いの品をご用意致しました、ジン」「はい、クァン様」ジンが持ってくる受け取ると「これは何だ?」「私が描いた世弟様のお顔の絵でございます」「私を描いたのか?」「はい」「開けてもいいか?」「はい」






世弟様が包みを開けて絵を取り出すと「本当だ私によく似てるな、気に入った大切にしよう」「感謝致します世弟様」「そうだ私もクァンに渡したい物があるのだ」







巾着袋を出して「クァン、私はそなたをこの世の誰よりも愛してる、そなたには散々酷い目に遇わせた、私のせいで危険な目にはあったこともある、だけどもう二度とそなたを危険な目には遇わせない」「世弟様……」「そなただけを生涯愛し続けると誓う、そなたを手放たくないのだ、クァン、私の妻になってくれ、世弟賓になって私の側にずっといてくれ」






目から涙が溢れる〈なりたい世弟賓にでもそうすれば貴方様は死んでしまう、例え貴方様の女人として生きられなくても貴方様をお守りできるなら臣下になります〉「返事は?」「はい、私なんかでよろしいのであれば」私は科挙を受けることを知られないように嘘をつく「クァン!」






世弟様は私を抱き締める「私も世弟様に誓います、この先何があってもこの命に変えてでも必ずお守り致します」離れて「クァンそれは違うぞ、そなたが私を守るのではなくて私がそなたを守るのだ」「そうですね」私は微笑む。







「そなたの為に作った桜の指輪だこれを受け取ってくれるか?」「はい」世弟様が私の左薬指にピンクの宝石が使われた桜の指輪をはめる世弟様は微笑み私に口づけをする「「!?」」その場にいた尚官、女官、内官、護衛武官、へ家の私兵達はは顔を背ける、「世弟様」「今日はやけにおとなしいな、私兵がいるというのに私兵達の前ではできないって前は拒んだであろう?」






私は微笑んで世弟様に口づけをする。「「!?」」「クァン」「私達はもうすぐ夫婦になるんですよ、今更拒みません」「言うようになったな、さぁ行こう、そなたの為の宴を用意した」世弟様は私の手を握り引きながら歩いた。








私は世弟様が用意した宴を一緒に楽しんだ、これが幸せの時間を終わりを告げる始まりだと思いながら貴方様の手を握る、幸せだと思いながら私は世弟様をを裏切ろうとしてるそんな自分が許せなくて悔しくて世弟様に見えないように涙を流す






次の日私は試験に向けて勉強する必ず合格して官職に就かないといけない、世弟様私がもし官職に就いたら貴方様は何とおしゃりますか?















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