第6話「託された想い」

二人が付き合って六ヶ月経った頃の朝「父上、今日から泊まり込みでお仕事なさると聞いたので手料理を箱の中にいれておきました」箱を風呂敷で包み渡す「ありがとうクァン」





「父上、ご無理なさらないでくださいね、明日の分は直接義禁府に届けに行きますので」「そうか、楽しみにしている」私の頭を優しく撫でながら微笑むと私も微笑むそしてその次の日私は台所で父上に手料理を作っていた。そこにハソンが来て「クァン様!」







「ハソン朝からそんなに慌てて一体どうしたの?」「大変でございます、今義禁府の武官から知らせがあって旦那様が逝去されたそうでございます」「!?えっ父上が逝去?何の冗談?、そんな冗談笑えないよ」「冗談じゃないよ、」「エン……」「さっき現場に行って確認してきたけど間違えなく父上だった」







「そんな……父上なんで父上は亡くなった?」「詳しいことは分かりませんが旦那様は黒い月とうゆ大きな組織を追っておりました」「黒い月?」エンが「うん謎が多い組織だよ、組織の人数も不明、何か犯罪を犯す時も現場に証拠を何一つ残さない厄介な連中だよ」







「ですが唯一黒い月が残すマークがあるございます」「マーク?」私の問いにハソンは「はい」紙にマークを書いて私に見せる「これが黒い月のマークです」「何それ?丸い円の中に三日月?じゃあその黒い月という組織は何故父上を殺したの?」







エンは「それは分からない何故父上が命を狙われたのか、でも気になることがある」「それは何?」「これはあくまで私の推測だけど父上は黒い月の組織について何かしらの手がかりを見つけていたのではない?だから口に封じの為に殺された」







「そんなこと言われても訳分かんないよ、何で父上が死ななければならなかったの?」私はずっと我慢していた涙が溢れる私は泣き崩れるそれを受け止めるエンそして次の日に遺体を引き取り夜に葬式を行って終わった後に私の部屋に臨海君様が現れた「クァン!」






「臨海君様……」臨海君様が様は私を抱き締める「クァン来るのが遅くなってすまない」「いえ平気です、それよりお仕事は?」「取引する為に昨日まで都を離れていて今日帰ってきたところだった」







「取引は上手くいきましたか?」微笑む私を見て「あぁ、クァン、無理して笑わなくていいそなたは私の女人なんだから辛い時は私の前でも思い切り泣いてよいのだ」私はその言葉を聞いて臨海君様に抱きつき泣いた臨海君様ただ黙って私を抱き締めてくださった。






私はしばらくしてわたしは泣き疲れて眠っていた。「あれ?いつの間に寝ちゃったんだろう?」「起きたか?泣いてると思ったらいきなり眠り始めるから驚いた」私は臨海君様に抱きついて眠っていたようだった私は離れて







「!?申し訳ございません!臨海君様私は何てこと……」「構わない、そなたは私の女人なんだから少しは気持ちは落ち着いたか?」「はい」「なら夜風に辺りに行こう」部屋を出て廊下に出ると庭が見えて「座ろう」「はい」







綺麗な星空を眺めながら「星空綺麗ですね」「あぁクァン、私はそなたの父上と昔から知っていた」「えっ父をご存知だったのですか?」「あぁ一度そなたの父上に助けてもらったことがあってな」「父が臨海君様を?」








「あぁ五歳の頃私は山賊に拉致されたそれを助けてくれたのがそなたの父上だ」「……」「あの時のそなたの剣さばきを見てすごいと思った、高麗一の剣士と呼ばれるだけはあると思ったそなたの父上は民から信頼されていたそれは紛れもない事実だ」






「父をそんな風におしゃってくださりありがとうございます、ですが私は仕事の為とはいえ父が今まで多くの人を斬ってきたことは正しいことだとは思いません、ですがこの世の中では仕方がないことだとも思います、この国の為に人を斬ってきた父はどんな想いで人を斬ってきたのでしょうか?」








「……」「人の命を奪うことは間違ってることだと思っている私には一生理解出来ないでしょうね」「私にもよく分からない、あんなに多くの人を殺めて何故悪に染まらなかったのか、不思議に思う、私は人を殺したことはないが尋問をして多くの者傷つけ痛めつけた」




「私が十歳で多くの者を尋問をした、私はずっと父に認めてもらいたかったのだと思う、父は幼き頃から私を避けて今だに名すら呼んでもらったことがない」





「……」「それどころか「父上」と呼ぶなと前に言われたことがある、だけど一度だけ五歳の時拉致された時だけ私を抱き締め「テヤン」そう呼んでくれたそれが嬉しくて、また呼んでほしくて私は罪人を尋問し続けた」




私は自然と涙を流した「本当に最低だな、私情を挟んで事件を捜査して手柄を立てて認めてもらいたいだなんてそのせいで私が直接手を下さなくても多くの人が死に多くの人が心に傷を負ったのにその中には奴婢になって自決した人がいるそうだ」






「……」「でも私は五年半前クァンと出会って己がいかに愚かなことをしてるか自覚することができた、そなたの父上の事件で私がしてきたことはただの暴力に過ぎないことも自覚しただから私は決めたもうむやみに人は傷つけない、クァン」「はい」





「こんな私だがずっと側にいてくれるか?」私は微笑み「はいもちろんでございます、私は生涯臨海君様の女人として生きるつもりです」「それは本当か?」「はい」私を抱き締めて「その言葉もう取り消せないぞ」「えっ」






私にの顔にゆっくり近付いて来る臨海君様「!?お待ちください」私は立ち上がってイ臨海君様に背を向ける、「何だ?嫌だったか?」「いえそうではなくて使用人達、私兵達が見ております」私が言うと臨海君様は周囲を見渡して全員見ないように背を向けていることに気づく。






「すまない、そなたの気持ちを考えてやれなくて、部屋に戻ろう」「えっ戻ろうって私の部屋にですか?王宮にはお戻りにならなくてよろしいのですか?」「王様には徹夜で仕事をすると伝えただから問題ない」「でしたら私はエンの部屋で休みます」






私が一礼して行こうとすると臨海君様は私の腕を掴み「一緒に寝ろ、これは命令だ」「「!?」」「えっそんなことおしゃられましてもそれはさすがに……」「何故駄目だのだ?私達は恋人同士であろう?一緒に寝たって何も問題ないない」







「それはそうかもしれませんが……」〈無理です、臨海君様が隣に居たらドキドキしすぎて寝られません〉「そうだろう?、よし一緒に寝よう」私の腕を掴んで私の部屋に向かって歩き出す「やはりやめておいた方がよろしいのでは?」「何故だ?」「何故って……」「安心しろ何もしない」






〈良かったこれで少しは……〉と私が思っているとき「まぁ襲わないっていう保証も出来ないけどな」「!?えっ」私が立ち止まると臨海君様は「だから観念して私と一緒に寝ろ」「それは……」私は一歩も歩こうとしないそんな私の姿を見て「仕方ない」






そう言って私の腰と両足を持ち上げて抱き抱えた。「!?臨海君様?何をなさるのですか?下ろしてください」「断る、私を誘惑するようなことを言ったそなたが悪い」「!?そんな誘惑?誘惑なことなんて言って……」おりませんと、言おうとした時臨海君様は私に口づけをする




「「!?」」離れると「臨海君様……」「口づけをしたら大分おとなしくなったな」「……」〈えっ何でここでするんですか?〉私は臨海君様と同じ部屋で一晩中過ごした。そしてその一ヶ月後の夜に三日後に明が高麗に攻め混んできて高麗が滅びる予知夢を見た。






「!?」私は勢いよく起き上がって「まずいこのままじゃ臨海君様、罪のない人まで命を落とすことになる何とか食い止めないと」私は朝寝室に呼び出してその事をエンに話した「えっこの国が滅びる!」「静かに声が大きい」






「だって、突然のことしすぎてでも今までも本当に起きてクァンがギリギリで阻止して、でもその話が本当なら三日で国が滅びるってことだよね?」「だからいつもみたいに阻止するのじゃないと臨海君様、へ家の皆が危ない」






「呆れたこんな時まで赤の他人の臨海君様を心配するなんて」「あっエンにいい忘れてたけど私臨海君様と恋人同士になったから」「!?えっ今なんて?誰の恋人になったって?」「臨海君様の恋人」「えー!」「エンちょっとやめて耳に響く、突然大声出さないでよ」







「最悪だ、まさかと思ったけど本当に恋人同士になるなんてクァン、分かってる?相手はこの国の王子様だよ?しかも臨海君様は父上を尋問した張本人だよ?まさか臨海君様を許すの?、父上が足の骨が折れるギリギリの拷問を受けたのにそれをなかったことにして恋人同士になるの?」






「……ごめんねエン、自分でも最低なことをしてるって嫌ってほど理解してる」「だったら何で?」「好きなの、自分ではどうにもならないくらいに臨海君様のことがたまらなく好き」「クァン……」







「私も忘れようと努力したよ、私と臨海君様は決して結ばれてはいけない悲しい運命の糸で結ばれてる、だから必死に自分の想いを押し殺しただけど無理だった、どんなに心から消そうとしても全然消えてくれない、忘れようとする度に臨海君様の想いが溢れるまさかこんなに好きになるなんて思わなかった」







エンは私を抱き締めて「……クァンどうしてそんな激しい想いを抱いてしまったの?、クァンは臨海君様のせいで山賊に襲われたり酷い目にも沢山遭ったのによりにもよって何で臨海君様なの?どうして自分から危険な道に進もうとするの?」









「ごめんね、エン本当にごめんね」「不安だよ、これ以上臨海君様に関わったらクァンがまた危険な目に遇いそうで父上が居なくなったのに、クァンまで居なくなったら私は辛くて死にそう」「私はそう簡単に居なくならないから大丈夫だよ」「クァンの「大丈夫」は信用できないんだよな~」





「えっ何でよ?」「いつも無茶ばかりするから」「何それ」私達は微笑み合う。しばらくしてジンが「クァン様、ジンでございます」「入って」戸が開き「失礼致します」「今お渡ししようか迷ったのですが旦那様のご命令なのでお渡し致します」私に文を差し出す






「えっ父上からの?」「はい、旦那様にもし自分に何かあったらクァン様に渡してほしいと頼まれました」私は受け取る「ありがとう、下がって」「はい、」ジンは一礼をして部屋を出て行った。「私も医院の仕事あるからもう行くね」「うん、」エンが出た後、私は手紙の封を開けると







〈クァン、この手紙を読んでいるってことは私はもうこの世にいないのだな私が居なくなった今、へ家の跡取りは長女であるクァンだその証明として全財産をそなたにやる〉封筒の中にはへ家が土地を所持してる権利書と全財産財産が入ってる金庫の鍵が入ってた。






〈そなたに伝えておかなければならないことがあるそなたの母へ、アロは元官僚で司憲府、大司憲だった、長年黒い月組織をを追っていてその途中体に害のある薬を注入されて持病を持ってしまったその持病のせいで問題視されて官職から自ら退いた〉



「えっ自ら退いたって王様に本当に追い出されたのではなかったの?じゃ母上の日記に書かれたことは本当に?」三十日前に見つけた母上の日記を取り出して「母上は本当に王様をお守りする為に?」





続きを読むと〈クァン気を付けろ黒い月はそなたの動きを見張ってる、もしかしたら殺すつもりかもしれない、だから何があっても黒い月には関わるな、官職も就くな、そなたは自分を親不孝の娘だと言ったな、でもそれは違うぞ私はそんなこと思ったことなんて一度もない〉







〈そなたにへ家のことを頼みたい、身分に関係なく誰かのことを労るそなたが、自分のことよりも周りのことを考えるそんなそなたの父になれて私は本当に誇らしかっただから願わくばいつまでもそんなそなたでいてほしい〉





私の目から涙が溢れる〈クァン先に旅立つ私をどうか許してくれ父親らしいことしてやれなくて本当にすまなかった、愛してる〉




手紙を読み終わって胸に当てる〈父上、そんなことありません、私は父上の娘で幸せでございました〉そして二日後武器や食料を船を準備し終わったところで王様から王宮にお呼びだしされる。


















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