第5話「ついに結ばれる二人」

私が臨海君様を避け続けて七日が過ぎた頃戸の外から「クァン様プニでございます、エン様が拝謁をしたいと申しております」私はプニ「通して」と答える戸が開きエンが部屋に入ってきて「クァン聞いてよ」「どうしたの?エン」







「クァンの店に行ったら臨海君様が居てクァンに会いにいらしゃってる、毎日毎日飽きないよね?」「どんなご様子だった?」「どんなってなんかすごいクァンに会いたがっててクァンが自分を避けてるって気づいたみたい」「臨海君様は今お怒りに?」






「いいや、寧ろクァンを恋慕ってるって感じ」「臨海君様……何で私なんかに……」〈お願いですからもうやめてください、毎日お店にいらしゃって待たれていては我慢出来なくなって私が会いに行ってしまいます〉





「私は賛成だよ、クァンが臨海君様ともう会わないと決めたこと、」「うん、私もそう思う」「あっ言い忘れてた」「臨海君様昼の午の刻(十二時)から閉店の戌の刻までずっと店でクァンを待ってるみたいなの」







「えっそんな長い時間がずっと?」「うん、てっそれはきっとクァンに原因があるんじゃない?」「えっ何で私?」「臨海君様の為に手料理作ってるんでしょ?」「!?何でそれを?」「何年クァンの手料理食べてると思ってるの?もう十四年も食べてるんだよ?それなのに私が気づかない訳ないでしょ?」







「エン、ちょっと待って臨海君様の為に作ったのに何でエンが食べてるの?」「だってクァンの手料理好きなんだもん」「そう言ってくれるのは嬉しいけどでも食べないで、あれは臨海君様の為に作ったから、エンが食べたい料理毎日作ってあげるからあの手料理は食べないで」







「誠に?」「うん誠だよ」「何を作って貰おうかな〜」喜ぶエンの姿を見て微笑む私「クァン様プニでございます、臨海君様から文をお預かりしております」「入って」戸を開き入って来ると「ありがとう」私は文を受け取る。「私は医院に行こうかな~」





「エン」「ごゆっくり」出ていくと私は封を開けて〈クァン、なかなか会ってもらえずこうして手紙をを書くことにした、クァン直接言おうと思っていたが、クァン、私はそなたを心から愛してる、この胸が裂けるほど、裂けていいほど、私の心はクァンで溢れている〉







私の目がら涙が溢れる読み続けると〈会えない間ずっとそなたのことを想っていたそなたが作ってくれた手料理を食べながらクァンに会いたいずっとそなたの側にいたい、そんなことばかりをずっと考えていた、そなたが来るまでそなたの店の前で待っている〉







読み終わると涙を流しながら文を胸に当てて〈臨海君様……私も貴方様が好きです、どうしようもないくらい、ですが私は貴方様に会うのがとても怖いのです、私と結ばれれば私が貴方様の未来を奪ってしまうそんなような気がしてならないのです、私は貴方様と会うべきではありません〉







そして次の朝、私が部屋で絵を描いてると戸の外から「クァン様、ジンでございます」「入って」ジンが入ると「どうしたの?」「クァン様、今臨海君様の護衛武官の方から知らせがあって、臨海君様あれからずっとクァン様を待っておられるようなのです」






「!?えっ一晩中雨の中居たの?」「はい、クァン様がいらしゃるまで待つと言い張っているようで」「ジンすぐに出掛ける準備をして」「はい」私はお店に向かい。閉まるお店の前で座り込む臨海君様を見つけた私は駆けつける。「臨海君様!!」






私は臨海君様の元に行き「臨海君様何をなされてるんですか?一晩中雨の中居続けるとはお風邪でも召されたらどうするのですか?」私を見た臨海君様は「クァン、ようやく来たか」倒れられる臨海君様私はお体を受け止める「!?臨海君様」






受け止めたお体はすごく熱かった「!?すごい熱、ジン、」「はい、クァン様」「近くの別荘に臨海君様を運ぶ」「はい、すぐに馬車をご用意します」一刻して馬車が来て護衛武官が臨海君様を運ぶそして近くの別荘の医者に診察してもらうと高熱だけでそれ以外の症状はなかった。







男の使用人に頼み臨海君様を着替えてさせて薬を飲ませて看病しながら様子を見る。一日が過ぎて臨海君様は目を覚まして「臨海君様良かった、お目覚められて」「クァンが看病しててくれたのか?」「はい、私のせいでもありますので何も考えず今はゆっくりお体をお休めください」





「眠れない、今眠ったらクァンがどこかに行ってしまいそうで眠れない」「大丈夫でございます、私は臨海君様が眠ってる間なるべくここにおります」「そうか、その言葉を聞いて安心した」私の手を握り眠る臨海君様






そして次の朝私は臨海君様が眠ってる間に風呂に入りご飯を食べて臨海君様の為にお粥を作った部屋に行くと「クァン!」お粥を運ぶ私を見てお盆を取り上げ抱き締める「臨海君様、どうしたのですか?」「どこか行ってしまったと思った」





「臨海君様がお休みになられてる間にお粥を作ろうと思いまして」「私の為にか?」「はい、二日前から何も召し上がれてないので何か召し上がれた方がお体の為になると思いまして」「せっかくだ頂こう」「お食事のまえにお薬をお飲みください」「あぁ」熱に効く煎じ薬を飲んでお粥を召し上がる臨海君様





「梅と昆布か?」「はい、臨海君様はどちらもお好きでしたよね?」「よく覚えてるな」「もちろんです、覚えておりますそれは私が熱を出した時に母がよく作ってくれたお粥なんです」「そうか、優しい味だな」私微笑むと臨海君様は器とスプーン置いて「どうしてあんなことをしたのだ」「えっあんなこととは?」「申聞鼓でのことだ」






「あの事ですか?臨海君様は何も悪くないですし、民の為にしたことは間違ってないですから」「だからって私の為にあんなことしてそなたはあともう少しで大逆罪人として首をはねられるところだったのだぞ私が前にそなたに命じたことを忘れたか?」







「それは覚えております、ですがそれよりも私は臨海君様をお守りしたかったのです」「守るって、散々私を身分が低いと言っていたくせにあれのどこが守ってるのだ?」「えっもしかして聞いていたのですか?」「あんなに太鼓ならしながら大声で自分のことを言われてたら嫌でも聞こえてくる」







「違うのです、決して臨海君様をけなした訳ではなくて……申し訳ございません」謝る私に「クァンが私を為にしてくれたってことは分かっている、ありがとう、今もこうして王子としていられるのはあの時そなたが命懸けで私を守ってくれたからだ」





「それは違います臨海君様、状況を変えたのは私ではありません、私だけでは臨海君様をお救いできなかったでしょう、臨海君様をお救いできたのはこの国に住む民達の想いです、臨海君様のこれまで民達にしてきたこと実を結んで臨海君様は今でも王子様でおられるのです」







「だがクァンが私の為に危険な目に遭うのは耐えられない、だがそなたのことだからこれからもきっと私の命令に従わず今回のように己の意志のまま突き進むだろう」





「臨海君様、それは……」「だから私は決めた、そなたが危険な目に遇わないように力の限りそなたを守る」「臨海君様」「クァン私はそなたと出会いそなたを好きになり私の人生は大きく変わった、そなたとのかけがえのない日々が私のも人生で最も価値のあるものだと思える」私の手を握り言う臨海君様






「クァン、私はそなたに重罪を犯した、そなたに許してもらえるまで、そなたが私と同じ気持ちになるまで待つと言ったが待てそうにない、クァン、私の恋人になってくれないか?私はそなたとずっと一緒にいたい、今まで以上にそなたを大切にする、だから私の側にずっといてくれないか?」







私は嬉しさのあまり耐えられず涙を流す、〈私も貴方様とずっと一緒にいたい、臨海君様の側にいれるなら何もそれ以上は望みません、ですからこの選択をすることをお許しください〉「クァン、やはり駄目か?」






「臨海君様、私は火事がきっかけで肺に穴がが空いていて他の人と比べて体が弱いですが構いませんか?」「構わない」「私は普通の女人とは違うかもしれません、思ったことはすぐ口に出しますし、何も考えずに行動します、王様に嫌われてしまうかもしれませんそれでも構いませんか?」







「構わない」「私は大勢の両班達の前で大口を叩き怒らせました、大勢の両班を敵に回した私と一緒にいたら危険な目に遇われるかもしれませんそれでも構いませんか?」「構わない、って何度言わせる気だ?」と微笑みながら言う。





私は微笑み「臨海君様私は森で臨海君様が謝罪してくれたあの時から臨海君様を許しております、そして初めて私のお店にいらしゃった時から臨海君様をお慕いしております、私も臨海君様の側にいたいです、誰よりも一番近くにいたいです、臨海君様こんな私でよろしいのであれば生涯臨海君様のお側にいさせてください」







臨海君様は私を抱き締める「私はそなたを決して手放しはしないぞ」「はい」「生涯私の側にいてもらうぞ」「はい」「クァン愛してる」「私も臨海君様をお慕いしております」私は臨海君様と口づけを交わす






その二日後臨海君様の熱が下がり王宮に戻られた日の夜私は臨海君様が王宮にある湖で溺死する予知夢を見て「!?臨海君様!明日、臨海君様が溺死する?なんとしても阻止しないと」






そして朝になって辰の刻の正刻(八時)に王宮に入り予知夢で見た道を走っていく湖にたどり着くと柵の上腰をかける臨海君様を見つけて「臨海君様!!今すぐその場から離れてください!!」「クァン?一体どうしたのだ?」次の瞬間腰をかけていた一部が割れて臨海君様が湖に落下していった。






「臨海君様!!」私は走り出して湖に飛び込むそして水の中でもがく臨海君様様のお体を触れて陸に向けて泳ぐ、内官達が次々に飛び込んできて私達の元に来る「大丈夫でございますか?」「私は平気です臨海君様をお願いします」内官に臨海君様を引き渡し内官数名で臨海君様を引き上げる。




私も上がると「臨海君様!」私はすぐに駆けつけて気を失う臨海君様に「お目覚めください、私を置いて行かないでください、私を生涯お側に置いてくれるとおしゃってくれたではありませんか?臨海君様!お願いでございます目をお開けください」私は涙を流しながら臨海君様を抱き締める







「お嬢様お離れください、御医(オイ)を連れてきました」「お願いです、臨海君様をお助けください」「はい最善を尽くします」私は臨海君様から離れると内官一人が背負って臨海君様を連れていく。






行った後臨海君様付きの「お嬢様お着替えと入浴のご用意致します」「その必要はありません」聞き覚えのある声がして尚官の方が「失礼ですがどちら様ですか、へ、クァンの妹へ、エンです、クァンの着替えなら持ってきたんでご心配なく」





「エンどうしてここに?」「朝クァンが険しい顔して出てくからこれは臨海君様に何かあったなって思って念のため着替えと治療する為の道具と薬草も持ってきたって訳、取りあえず着替えて」着替えが入った風呂敷を私に手渡す




私は二刻後に私はお風呂に入って着替えて臨海君様の寝殿の前に来ていた「ねぇクァン私の周りをそんなにぐるぐる回らないでよ目が回りそう」と言うエン「だって遅すぎるんだもん御医が治療し始めてかなり時間が経つのに出てくる気配すらない」






「だからってそんなぐるぐる回ってたって仕方ないでしょ?そんなに回って逆に目が回らないのが不思議だな」「やっぱり、遅すぎるエンが臨海君様の治療してきてよ」「無茶言わないでよ、ただの町医者が王命無しにこの国の王子様の治療なんてできないよ」






そんなこと言ってると「あっ御医が出てきた」エンがそう言うと御医は私達の元に来て「エンお嬢様、お久しぶりでございます」「久しぶりですね御医、それで臨海君様のご様子は?」「はい峠は越しました、意識が戻らなかったのですが……」






「意識が戻らない!?臨海君様そんなの絶対駄目!」私は寝殿に入って行く。寝室に入ると臨海君様は眠られていて「臨海君様!」私は側に行き、私は臨海君様の手を握り「臨海君様、お願いです、お目覚めください、臨海君様!!」私は涙を流しながら言う






臨海君様は突然起き上がって私を抱き締める「!?臨海君様」「何だそんなに泣いて取り乱して私がそんなに好きか?」「臨海君様お気づきになりましたか、さっきほど御医から意識がお戻りにならないと聞いたので」「それで泣いていたのか?クァンは愛おしいな〜」





私の頭を優しく撫でる臨海君様「少し眠っていただけだ、そなたを置いてあの世に行ったりしないから安心しろ」私は微笑み「はい、そのお言葉信じます」私は臨海君様としばく時間を共に過ごした。























































  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る