第3話「戸惑う気持ち」

どれぐらい時間が過ぎたのだろう、「……お嬢様……ンお嬢様、クァンお嬢様!」「!?頭痛った~!?ソウンお嬢様!」「良かった気がつかれたのですね」「ソウンお嬢様も山賊達に拉致されたのですね」「はい五日前ほどに他のお嬢様方も」





周りを見渡すと私達と同じく縄で縛れ拉致されたお嬢様方がいた「なんて卑劣で狡猾な連中なんでしょう両班の娘ばかりを拉致して高値で売ろうとするとは」「売るってどうゆう意味ですか?」サンお嬢様が私に聞く






「私を拉致する前に山賊達は話してました、私の父が高麗一の剣士だと知って「この娘は高く売れる」私のことをそう言ったのです、恐らく山賊たちの狙いはどこかの国に名家である両班の娘を高値で売る、それが目的でしょ」話を聞いたソウンお嬢様は






「そんな……私達は他のお嬢様方のようにどこかの国に売られるってことですか?」「ちょっと待ってください、売られたお嬢様が居るのですか?」「はい、一日前に十人のお嬢様がどこかに連れて行かれました」





「まずいな、そのお嬢様はきっとどこかの国の高い地位にいる者に売ってるんです、でなければ高値では売れません、」「一体何の為に私達を売るのでしょうか?」「恐らく妾にするためでしょう」「妾?そんなの嫌ですよ私は結婚する相手はもう決まってるんです」サンお嬢様が言う







「サン、落ち着いて、そんなに取り乱しても状況は何も変わらない」「お姉様よくそんなに落ち着いていられるわね?どこかに売られそうになってるのにしかも妾として」私は「大丈夫です、手は打ってあります私の妹がいることはご存じですよね?」






「はい、確かエンお嬢様とシルお嬢様ですよね?」ソウンお嬢様が答える「はい、エンが今私の行方を探してる頃です私の護衛にエンに私がいた場所を伝えるように頼みました、かなりの時間が経つのでそろそろ迎えに来る時間です」「ならいいですが」





「エン、カンカンに怒ってるだろうな~」「どうしてですか?」サンお嬢様に聞かれると「私が自分勝手に行動するから」「けどそれは心配だからじゃないですか?誰よりも大切に思ってるからこそ感情的になってしまう」「エンが私を心配?」「はい」ソウンお嬢様は微笑む






ドアが開いて現れる私の元に来て「へ、テマンの娘とその二人の両班の娘を連れていけ」「はい立て」サンお嬢様が「お許しください、お助けを」「黙れ騒ぐな、次喋ったら殴る」泣きそうになるサンお嬢様私達は外に連れて







「もたもたするな急げ」外にいると矢が飛んできて山賊達に命中する「クァン!」「「クァン様!!」」周りにはエンと十万の私兵がいた「エン、皆」エンが駆けつけて来て刀で縄を切ると「クァン無事怪我はしてない?」「後頭部を殴られて少し痛いけど平気」






「えっ殴られた誰に?」「お頭って人に」「ちょっとお頭のところに行ってくる」「「私も行きます」」「ちょっと三人共待って、行ってどうする気?」「そんなの決まってる」「「お頭の頭をカチ割る!」」「!?駄目だよ何しようとしてるの?三人が言うと冗談に聞こえないから」






エンが「本気でカチ割るに決まってるじゃん、ねぇハソン、ジン」「「はい!」」「駄目だよ何言ってるの?そんなことよりお嬢様方の縄を切って」「「はい」」ハソン、ジンがソウンお嬢様、サンお嬢様の縄を切ってお嬢様が監禁されてる家に入っていく。






「全くも無茶しないでよ、クァンが山賊に拉致されたって知って心配で寿命縮むかと思った」「エン、ごめんね、いつも心配かけてでもありがとう助けに来てくれて」「全くだよクァン、誠に世話が焼けるだから」「どっちが姉か分からないね」「本当だよ」笑い合う私達






周りを見渡すと臨海様が義禁府を連れて現れて真っ先に私の元に駆けつけていらっしゃった「臨海様」私の両肩を持ち「クァン!怪我はないか?」「はい、大丈夫でございます」「無茶をするな!何で私に逃げろと言ったのだ?相手は山賊だ殺されでもしたらどうする?」






「申し訳ございません、臨海様に何かあったらそれこそこの国の一大事だと思いまして、だからお逃げするように申し上げました」





「そんなこと気にしてる場合じゃないだろう?私のせいでそなたは自ら危険なことに飛び込んでいったのだぞ」「それは違います、臨海様は何も悪くございません、私が勝手にしたことでございます、なのでご自分を責めるのはおやめください」





「全くそなたは……私の気持ちも少しは考えろ!」「えっ?臨海様のお気持ちとは?」「私がどれだけ不安だったか、そなたが捕らえられてる間ずっと気が気ではいられなかった」「臨海様申し訳ございません、」





「いいか、二度と自らを危険な目に遭わせる真似はするなこれは王子としての命令だ」「……はい臨海様」「分かればそれでいいあとこれそなたの刀であろう」「はい、左様ですですがどこにあったのですか?」






「森のところに落ちていた」「ありがとうございます」受けとると「山賊は全員捕らえた、両班の娘を売ろうとしたのだ全員斬首刑は免れないだろう」「臨海様、私より前に捕らえたお嬢様から聞いたのですが、一日前に十人ほどのお嬢様がどこかの国に売られたようです」





「分かった王様に報告して義禁府に捜索出来るように許可をもらう、だからそんな顔をするな」「えっ?」〈私どんな顔をしてたんだろう?〉「あの~お二人の話は済みましたか?ど真ん中でそんな話をされていては他のお嬢様方が通りずらいと思います」






エンに言われ後ろを振り返ると解放されたお嬢様方気まずそうにこっちを見ていた。「失礼しました」私が臨海様から離れようとすると臨海君様は私の腕を掴んで「!?臨海様?」「別のところで話そう」





そう言って私の手を引き歩きだす家から離れた森の洞窟みたいな所に座って私達は一刻ほど何も話さず沈黙していた。前を見ればエンとエンとジン、ハソンを含む護衛が百人ほど居て臨海様の護衛武官が五十人ほどいた「「あの!あっ」」





「何だ?言いたいことがあるなら言え」「いえ臨海様からお先にどうぞ」「そうかなら」臨海様は立ち上がって私が立ち上がろうとすると「動くなそのままでいろ」「はい……」臨海様は私に向かって頭を下げた「「!?」」「臨海様一体何の真似ですか?おやめください」





「いややめない、私はずっとそなたに謝りたかった、私はそなたの父上に酷いことをした、王様が毒を飲み意識不明の重体になったことを知って気が動転して冷静に判断ができなくなって毒の瓶が出てきたことをいいことに私情を挟んで無実のそなたの父上にあんな酷いな拷問をした誠に申し訳ない」







「臨海様、臨海様も父上がお好きなんですね?」「えっ」顔をあげて私を見て「冷静さを失うのは当然です目の前で自分の父上が倒れたのですから、私も父上が尋問を受けていると知って冷静を失って感情的になって臨海様に「二度と会いたくない」と酷な発言をしてしまいました」





私は立ち上がって「私の方こそ申し訳ございません様だってお辛かったはずなのに私は己のことばかりを考えて己の方が被害者だと思い込んで、誠に申し訳ございません」私は深く頭を下げる。「それは違うクァンは悪くない、悪いのは私の方だ」







「いえ臨海様は悪くないです」「いや私が悪いのだ」「いえ悪いのは私でございます」「いや私の方が悪いのだ」「いえ私の方が悪いのです」「いや私の方が……」私達は微笑みあって「きりないな」「ですね」「座ろ」「はい」





「そなたの大切な人を傷つけたのは事実だから私は決めたクァンの悲しむことはしないように努力すると、クァン私がこんなこと言える資格がないことは十分理解してるが私はそなたが好きだ、初めてあった時からずっと」「「!?」」







「はい?あの臨海様それはつまりその……」「あぁ愛の告白だ」「えっ愛の告白って」「すまない、困らせたかった訳じゃないのだただ私の気持ちを知ってもらいたくて返事は今じゃなくていい、そなたが私を許し、私と同じ気持ちになったらその時に返事を聞かせてくれるか?」





私は微笑んで答える「……はい」臨海様も微笑んで「また店に行っても良いか?」「はい」私は臨海様と別れる前に明日都に出掛けようも約束をしたあと臨海様を見送った。



そして次の日二人は酉の刻の正刻に王宮の前に待ち合わせをして「クァン」「臨海様」「すまない待たせたか?」「いえ大丈夫です」「行こうか?」「はい」都に歩きながら「色んなものが売っているのだなそうだそなたの店はどうした?」






「使用人に代わってもらいました」「そなたの絵は本当に人気があるもんな~」「そうですねお買い上げ頂けるだけでありがたいです」「臨海様のお店も最近忙しそうでございますね」「まあな、お店を開いて二年経つが、そこまで大きくないがそれなりに成り立ってるぞ」







「はい噂で聞きました、お店の利益の半分を作物を買い民に分け与えてると」「世間って私が思うより狭いんだなそれは最近のことなのにもう噂になってるとは」





「臨海様、自信をお持ちください、臨海様は民の為に良い行いをしております」「そうだな、お腹空いた汁飯でも食べるか?」「はい」私達は店に入って汁飯、ゆで肉、チヂミを食べる。しばらくして「満腹だな~」







「はい」「そろそろ時間だな」「えっ時間とは?」「クァン見せたいものがある一緒に来てくれるか?」「はい」私は臨海様と人が居ない場所にちゃんと一つのベンチの所に二人で座って「あの臨海様この場所に何かあるのですか?」「少し待ってくれもう少ししたら見れる」「はい」≪一体何が起きるんだろう?≫






思った数秒後に空に花火が色鮮やかな花火が打ち上がった「綺麗花火、今日って何かのお祭りがありましたっけ?」「いやあの花火は私がそなたの為に用意した」「えっ臨海様が?私の為に」「あぁそなた花火好きだろう?よくお父上に花火が見たいとおねだりしていたと使用人から聞いた」






「えっ誰がそんなことを?違うのです、臨海様、それは小さい頃の話でさすがに今はおねだりしないですよ」「何の言い訳だ?」と微笑む臨海様「その顔は信じてないですよね?本当なんです信じてください」私は腕を掴みさっきより近づいて私の顔を見て固まる臨海様






「臨海様?どうしたのですか?何故そんなに私を見つめるのです私の顔に何か……」付いてますか?と聞こうとした時「!?」私の唇に何かが重なる感触がして〈えっ何?何が起こってるの?臨海様凄い近いんだけど臨海様の顔が見えない〉




しばらくして離れた後臨海様私の顔を見て「待つと言ったのに勝手なことしてすまない、そなたを見ていたら想いが溢れでしまって我慢できなかった」〈えっ今口づけした?〉「臨海様私は……」






「クァン、どうした?」〈いいのだろうか?このまま想いを伝えて、相手はこの国の王子様私はただの両班の娘の画師、私などが臨海様に釣り合う訳がない〉「クァン?」「私は怒ってなどおりませんよ」






「えっ?それは本当か?」「はい、少し驚きはしましたが全然怒っておりません」私が微笑むと臨海様も微笑む、そして戌の刻の正刻(20時)に帰ったそして朝エンと刀術の練習した一緒にお風呂に入って私の部屋に向かっていると







「ねぇエン」「何?」「自分の部屋に向かってるって言ったのになんでエンまで私の部屋に付いてくるの?」「ちょっとクァンに確認しておきたいことがあって」「何?聞くよ」「えっここで話していいの?」「内容は分かんないけど取りあえず聞いておく」





「遠慮なく、聞くけどクァン昨日臨海様と口づけしたって誠?」「「!?」」周りにいる使用人達が私を見る「あー!あー!」エンの背中を押しながら走り自分の部屋に入る「えっ何よ!」「何よ、じゃないよ!普通聞く?使用人達が大勢いるところで口づけしたなんて聞かないでよ」





「クァンがいいって言うから」「いやそんな内容ならいいなんて言ってなかったよ!」「ならなんで取りあえず聞くなんて言ったの?」「まさかエンがその事知ってるなんて思わなかったから」「てことは誠なんだ?臨海様と口づけしたって言うのは」







「……うん」「もう~、何で?あんな王子のどこが言い訳?」「それって臨海様のこと?」「うん」「あんな王子って呼ぶのやめて」「分かったやめるけど口づけを受け入れたってことは臨海様が好きだってことだよね?」「うん……かなり前から」







「何でよりにもよってこの国の王子様を好きになるのよ、しかもあの方は父上の酷い拷問をした張本人なのに」「それはそうだけど……でも何でエンが私と臨海様が口づけしたって知ってるの?」「ジンが他の私兵達に話すのを聞いたの」「ジン、どこまで口が軽いんだ」







「でも大丈夫だよ他の私兵達にも外には口外するなと口止めしておいたから」「ならいいけどもしも王様、王宮の官僚達に知られたら大変なことになる私のせいで臨海様の王子としての立場が危なくなったら大変だ」











「でもクァンが万が一臨海様と恋人同士になっていずれ妻になった王宮で暮らすことになるかもしれない、クァンには耐えられないでしょ?王宮暮らしなんてクァンにには向いてない、それにクァンは無駄に知識と度胸がある自分から国の問題に首を突っ込んで官僚に逆恨みでもされたら今よりも他の両班達に命を狙われることになる」






「ちょっと待って今軽く私に悪口言ったよね?無駄な知識と度胸って完全に私の悪口だよね?」「そんなことないよただ私はクァンの心配をしてるだけだから」「言うわりにはものすごく楽しそうだったよ」







「嘘、顔に出てた?」「やっぱり遠回しに私の悪口言ったんじゃん」「私を騙したの?クァンってば酷い」「酷いのはエンの方でしょ?散々私の悪口言って」「怒んないでよクァン冗談だから」「いつものいたずら?誠好きだよね?私をからかうの」







「私の唯一つの楽しみ」「悪趣味だね」私は自分の部屋の椅子に座るエン「ウフフ」笑って私が座った席の真正面の敷物に座る「笑いことじゃないよ、ジンはいる?」戸の外から声がして「はい、おります」「入って」「失礼致します」「ジン話は外から聞こえていたと思うけど、誠に口が軽いジンは」






「申し訳ございません」申し訳なさそうに謝るジン、「以前ハソンに臨海様王子だってことを話したそうだね、それはまだいい、でも今回のは訳が違うもし臨海様と私のことでありもしない噂を流されたら臨海様は官僚達その事を騒ぎだすかもしれないそうなればどうなるか分かるよね?」





「……はい臨海様の王子の地位を剥奪せするように願い出る官僚と両班が増えると思います」「その通りだただでさえ養子のことが問題視されてるのにそれに加えて私との噂まで流れたら必ず官僚と両班達は騒ぎだす」





「……」「私だけならともかく臨海様に申し訳なくて、口の軽いそなたがうっかり口を滑らせたら大変なことになる、だから私は考えたどうしたら臨海様にご迷惑をおかけせずに済むか、ジン、私はそなたを一年間私の護衛から外す、そして本家の出入りを禁ずる」「ちょっとクァン本気で言ってるの?」







「もちろん本気だよ」ジンはしゃがみこみ地面に頭をつけて「申し訳ございませんクァン様それだけはお許しください決して口外しませんお約束します」そんなジンの姿を見たエンは




「クァン、私にいたずらされたからってジンにいたずらしないでよ、あまり思い詰めないでいいよ、ジンクァンの冗談だからクァンの顔をよく見てこれは冗談を言ってる時の顔だ」






「えっ冗談?」私を見て「私にはいつものクァン様に見えますが」「クァンが嘘つくときの癖があるそれをしていたってことは冗談って訳だ、ジンは顔を伏せていたから見ていないけど私はバッチリ見てたから出ていかなくていいよ、安心して仕事に戻って」





私は「……ジン下がって」「はい、クァン様」ジンは立ち上がって一礼をして部屋を出ていく「エン、私は髪を触ってないけど?」「あぁでも言わないとジンが可哀想でしょ?ジンは今までクァンを守る為に自分の人生を懸けて尽くしてくれたんだから今回は許してあげなよ」





「確かにそうだけど」「私もジンが口外しないように見張りをつけて注意深く見張ってるだから今回は許してあげて」「エンがそこまで言うなら今回は許そう」嬉しそうに微笑むエン











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る