やさしい詩

昔何かで見た詩が、時々僕の頭の中にやって来て、泣いても良いんだよと、それはそれは優しい声で呟いた。


その詩は、ここまでやって来れた自分を、「大変だったね。」と、そんな風に労って、そっと僕の心に触れる。


そして、泣いても大丈夫だよ、と頭を撫でる。


振り替えれば、夢の中にいたようなそんな感覚で、確かに大変だったような気もするし、泣きたかったような気もするんだけど、その輪郭ははっきりとしない。


僕をずっと遠くで見守ってくれていたその詩は、今再びその姿を僕の前に現して、最後の別れを告げているかのようだ。


私はもう、今の君に必要が無いでしょう?と。

後は思い出の一部としての私になるだけ、と言って手を振る。


ありがとう。

君のお陰で、僕は泣くことが出来たよ。





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