第三章 誓約書に署名

 加害者と保護者には、誓約書が配布される。

 いじめの事実を認め、二度と被害者には手を出さない。誓約を破った場合には、留保は取り消される。

 全員が粛々とサインする。

 別室では被害者と保護者が待っている。

 加害者が一人ずつ出向いて、頭を下げて謝罪する。

 これは儀式みたいなもので、手順と文言が決められている。

 教室で練習してから、謝罪に向かう。

 被害者は謝罪を受け入れる。


 これで、内申書への記載や検挙は免れることになる。しかし、あくまで処分の留保であって、取り消しではない。

 今後は、被害者に対してカウンセリングが行われる。

 加害者の方も、定期的にスクールカウンセラーの許に出向かなくてはならない。

 また、不意に対処チームの誰かが現れるかもしれない。

 経過観察の結果如何によっては、留保の取り消し、または新たに対処方法を考える必要があるかもしれない。下手をすると、その場で警察行きもあり得る。

 言うまでもなく、誓約書は法的にも有効である。卒業するまでは効力がある。


 いじめを防ぐには、何らかの抑止力が必要不可欠である。

 暴力や恫喝もそこそこ有効ではあるが、現在では、そうした手段は使えない。

 ただ口頭で注意したところで効果はない。

 そのためのルールと手順も、あらかじめ決めておく必要がある。


 今回の場合は、中学校を想定しているが、小学校や高校においては、また違った対処方法が必要となるであろう。

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