第二章 内申書か誓約書か検挙か
教室は静まり返る。
報告書を読むと、自分の息子がいじめに加担していたことは、最早疑いようのない事実のようだ。
内申書への記載は特にダメージが大きい。このままでは進学にも影響があるだろう。大変にマズイ事態だ。
下手なことを言うと藪蛇になりかねない。
おもむろにリーダーが口を開く。
今回のいじめは、確かに深刻な事態である。しかし、加害者にも未来があるし、彼らも反省している。教育者としては、ここで彼らに処分を下すことは忍びない。
そこで提案がある。
彼らが罪を認め、被害者に謝罪し、反省文を提出し、誓約書にサインして頂ければ、処分は留保される。加害者たちは既に同意して、反省文を提出している。
後は保護者の承認を得るだけである。
勿論、謝罪を拒否して、処分を受け入れることも可能である。
もし処分に不服がある場合は、弁護士を立てて異議申し立てをすることが出来る。そのための手続きも整備されている。
報告書の内容に、どうしても納得出来ないというのであれば仕方ない。
但し、弁護士費用は自分持ちで時間もかかる。余りお薦めは出来ない。
まともな神経を持ち合わせているのであれば、選択の余地はないだろう。
プロトコルの目的は、いじめ加害者を断罪することではない。そもそも断罪が必要な段階では、被害者の方が深刻なダメージを受けている可能性がある。下手をすると最悪の事態も考えられる。だからその前に、いじめをストップさせ、被害者を守ることが第一の目的となる。
勿論、必要であれば、より厳しい措置を取ることも辞さない。
状況によっては、取引をすっ飛ばして、警察行きということもなくはない。
しかし、穏便に済ませられれば、それに越したことはない。
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