第四部 解決へ

第一章 保護者も同席

 日曜日の朝。

 加害者とその保護者が、教室に集められる。

 彼らは、チームが作成した報告書を読んでいる。

 三十分ほど経った頃、チームの面々が現れる。担任とスクールカウンセラーも同席する。


(また時間外労働です)


 チームのリーダーが挨拶し、いじめの状況と、今後の手続きについて説明する。

 知事から与えられた権限により調査を行い、いじめの事実を正式に認定した。

 認定番号、被害者と加害者、いじめの概要について説明する。

 加害者には、学校による処分が下される。また、内申書への記載が命じられる。

 場合によっては、警察への通報も検討される。

 民事訴訟に関しては、当局は関知しないが、証拠の提出を求められば、応じない訳にはいかない。多額の弁護士費用に加えて、慰謝料も請求されるかもしれない。


 保護者の間には動揺が広がる。

 母親の一人が言う。

 息子はふざけていただけだ、これはいじめではない。

 リーダーが言う。既にいじめの事実を正式に認定し、息子も認めている。ここでいじめかどうかの議論をするつもりはない。


 いじめの事実を認識したとして、学校はどのように処分すればいいのだろうか。

 体罰は禁止されているし、説教するだけでは効果がない。

 校則で定めていても、処分にあたっては、モンペの執拗な攻撃に晒されることはまず間違いない。教師は、加害者とも卒業まで付き合わなくてはならない。校内で生徒を処分するのは、自ずと限界がある。

 警察が立件するにしても、ハードルは極めて高い。通常、死者が出なければ学校には介入したがらない。

 プロトコルでは、あらかじめ処分のルールが決められている。また状況に応じて、処分のみならず、必要な措置を検討し、実行することが出来る。処分は知事の命によるもので、学校には従う義務がある。モンペの相手もプロトコルに任せればいい。

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