第25話  受賞作で1番多いストーリーは? 後編

 王道的なストーリーの一つ。

 それは『仲の悪いメインキャラが協力していく』ことです。


 以前からある、王道中の王道ストーリーですね。

 比較的最近でヒットした作品としては、電撃文庫大賞の『声優ラジオのウラオモテ』が該当します。

 立場が考え方が違う二人が、一緒に行動をしていくうちに互いの悩みを知り、共に行動していくうちに徐々に絆を育んでいくストーリー。

 合間合間にギャグなどを織り交ぜつつ、終盤のシリアス展開を経て、唯一無二の相棒となっていく。

 漫画にも多数ある展開ですが、ライトノベルにおいても非常にメジャーなものだと言えます。


 このタイプは、あらすじを書くだけなら何てことはないのですが、実際に書くとなると結構難しいものになります。

 主要キャラの本音、建前、そして心の情動を上手く書かないと読者には響かないため、書きやすいけれど極めるのは難しいものとなっています。


 上手くなるには、キャラの立場になって物事を考えること。

 俯瞰的なストーリー上の役割だけでなく、実際に自分がそのキャラに乗り移ったような心情で書くと、リアルなシーンが書けるかと思います。


 具体的にその作法で有効なのは、『そのキャラを主役にした短編を書いてみる』ことでしょうか。

 主人公、あるいはヒロインなど、簡単で良いでのそのキャラが活躍する短編を書いてみる。

 合間合間に、そのキャラの心情も書く。

 それを繰り返すと、愛着も湧き、よりキャラとシンクロして心境を書けるようになっていきます。



 次の王道としては、

『主人公とヒロインが恋愛関係に至る』ストーリーがあります。


 これはもう説明しなくともわかっている方は多いかと思います。たくさんありすぎてピックアップするのも今さらかもしれません。

 付け加えて言うと、前述の『成長・協力の物語』と一緒に、恋愛に至る作品も多いため、セットで用いられるものも多いです。


 ただ、その中でもいくつかのパターンはあると思います。

 主人公が最初からヒロインのことが好き。

 あるいは最初からヒロインが主人公を好き。

 はじめはそれほど好きでもないけれど、様々な出来事を重ねて恋愛に至る。

 元々は付き合っていたけれど、別れて、その後でもう一度結ばれる。


 もしくは、本当は好きではなく、勘違い、あるいはトラブルで告白などをしたら、いつの間にか本気で好きになってしまう。

 それか、最初は別の人が好きだったけど、それのサポートをしているうちに、恋愛感情を抱いていく。

 など。


 恋愛と一口に言っても、いくつものパターンがあります。

 それを世界観、キャラ立て、ストーリーの独自性で差別化することで、面白い作品にしていきます。

 もし恋愛関係の作品が得意だけど、結果が出ない場合、違うパターンを試してみるのも良いかもしれません。

 新たな発見が見つかる可能性もあります。



 以上、受賞作で多いストーリーに関してでした。


 どうしても受からない、あるいは一次・二次選考を突破できない、という方は、王道要素を加えてみることが良いと思います。

 私自身、『成長・団結』といった普遍的なテーマを取り入れたことで、それまで一次選考落ちだったものが二次選考、受賞へと繋がりました。

 どうしても良い結果が出ない、何を書けばいいのかわからないといった場合は、一度『王道』を極めるつもりで書いてみるのが良いと思います。



 次回、受賞できる作品とそうでない作品の違いに関して述べます。







 

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