3話④ エメラルドアイズ

文化祭のクラスごとの発表を終えて私はあるところに向かっていた。理科準備室だ。

彼が計らってくれたのではないかと推測したからだ。

階段を上がり理科準備室のある階につく直前

上の方から話し声が聞こえた。


「人前ではやるなって言ったよね。」


この声には聞き覚えがあった。山本唯香。

学校でも可愛い方に入る人物だ。話している相手は、


「ね、竜星。」


神木竜星だった。


「次やったらどうする?」


威圧的な物言い。


「二日だけいうことを聞きます。」


彼はそう言った。それだけで許されるのか。

しかし、山本さんは喜び、わかった と言って去っていった。


その後、彼を観察することにした。

そして観察してわかったのが、彼はかげからみんなを支えていた。気がきくやつだった。

彼の友達は少ない。3人くらいしかいない。

しかし、充実したような顔をしていた。



席替えがあり、彼の横になった。彼を真横から見ると、髪の間から、エメラルド色の目が輝いていた。あの瞳に射止められたら、まともに彼の顔を見れなくなるかもしれない。

彼を好きになった自分は単純かもしれない。

たしかに誰かに見て欲しくない。と思える。

しかし、彼と結ばれることはない。許嫁、古い風習だが家柄的にせざるを得ない。令嬢なんかじゃなくて普通の家庭に生まれたかった。そう思うと、スマホが震えた。


「今日、顔合わせの日が決まった。」


その言葉と写真があり、イケメンではあったが、好きになれる気はしなかった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

天才の化学式に恋愛は当てはまらない 笹篠巴 @daiagunesu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ