第5話 奥坂夢来
天谷さんを見送ると、俺は自分の学校に向かおうとした。
だが、俺の前に1人の『私立式部学園』の制服を着た女子生徒が立ちはだかった。
「あなたが、唯川って人?」
☆☆☆
「そうですけど、えっとあなたは?」
天谷さんと同じ制服を着ているということは、『私立式部学園』の生徒なのだろう。
身長は天谷さんより少し高い。
艶のある亜栗色のショートボブ。
人形のような真っ白な肌に端正な顔立ち。
さすが、お嬢様学校に通ってるだけあって、レベルが高い。
見た目だけで、お嬢様だって丸わかりだ。
そんな人が俺になんのようだろうか・・・・・・。
「私は
奥坂夢来。
どこかで聞いたことがある名前だ・・・・・・。
たしか、天谷さんがよく言ってたような気がする。
「もしかして、天谷さんの友達?」
「友達じゃない。親友」
少し食い気味に。敵意丸出しで、奥坂さんはそう言った。
え?
なんで、俺、そんなに敵意向けられてるの?
彼女とは初対面なんだけど・・・・・・。
「えっと・・・・・・それで、何かようですか?」
「どんな男か見たかっただけ。特にようはない」
淡々とそう言うと、奥坂さんは俺の隣を素通りしていった。
「一体何だったんだ・・・・・・」
まぁいいか。
なんだか、よく分からなかったが俺は気にすることなく、自分の学校へと歩みを進めた。
途中、コンビニに寄って昼食を買った。
夜ご飯は出来るだけ自分で作るようにしているが、さすがに昼食をまで作る気力はなく、たいていコンビニでおにぎりかサンドイッチを買って学校に持って行くことにしている。
今日はおにぎりを2つ買った。
学校に到着し、靴を履き替えて教室に向かう。
「天谷さんの学校はどんな感じなんだろうな」
ふと、そんなことが頭に浮かんだ。
そう考えたところで、女子校に入れるわけはないんだけどな。
教室の中に入る。
クラスメイトたちは朝から元気だ。
俺は窓側の1番後ろ、自分の席に座った。
さっきまで会っていたのに、もうすでに『癒しの天使』に会って癒されたいと思っている自分がいる。
学校での俺はあまり人と関わり合わない。
基本的には1人で過ごしている。
そんな俺のことをいつも構ってくるクラスメイトがいる。
ほら、今、目が合った。
その瞬間、そいつは嬉しそうに笑って俺の方にやってくる。
「おっはー!」
最悪だ・・・・・・。
なんで、こいつは俺に話しかけてくるのだろうか。
それがいつも不思議で仕方がなかった。
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