第5話

_わたくしは、エリー様達とユミコ様あの方の事について対策を講じるべく、【ユウリン館】で対策会議お茶会を開いていました。




それと言うのも先日おこなわれた【学園祭】で大勢の方々の前で

「私、『サーラ・F・デルモ』にイジメられて学園で仲間外れにされているの……。」


「【聖女】の私をイジメるなんて、今に天罰が下るわ!」


の味方をすると、あなた達にも天罰が下るわよ!」



などと、根も葉もない事を言われました……

の件があったので、学園街のほとんどの方々は聞き流していましたけど。




しかし、他国から来た方々やヤータ教の一部の聖職者や熱心な一部の信者の方々…主に男性信者は、わたくしを不審な目で見始めるようになってしまいました。




このままでは、も危うくなってしまいそうです。




そこで、エリー様達と密かに集まって対策会議お茶会》を開く事にしたのです。




それなのにどこから聞きつけたのか、数名の聖職者や信者の方々と【ユウリン館】のスタッフの方達の制止も聞かず、わたくし達の部屋に押し入って来たのです。




「こんな所でコソコソと、悪巧みをしていたんですね!

私の目を誤魔化せるとでも、思っていたのかしら?」




学園の制服を可愛いらしく着こなし、如何にもヒロイン気取りのユミコ様。

やはり、と同じ匂いがします。




だいたいわたくし達が、いつ悪巧みをしたというのでしょうか?





「あなたの家が悪事を働いているのは、わかっています!」




自信満々で、宣言されておられますが悪巧みって!?

わたくしの家が、悪事って何の事ですの?

具体的な事は、いっさい言われないのですね。




「ジェスト様を解放してあげてください!

爵位を盾に、無理矢理婚約するなんて、酷いです!」




如何にも、ジェスト様を心配されているように、目を潤ませておっしゃっていますけどのは、あなたの方ですわよね?

ユミコ様!




風紀委員長のジェスト様を解放って、何からですの?

爵位を盾にって、わたくしの家とジェスト様の家は、ですわよ?




それに、わたくしが婚約しているのは、殿ですわ!

ジェスト様とは、婚約の話が出た事もありません。





で、ジェスト様は苦しんでいらっしゃいます!」




いいえ、ユミコ様貴女の言動でですわ……

目を潤ませて心配そうに言われていますが、先日も



「迷惑だから、付き纏うのは辞めてください!」



と、言われたばかりでは?

そもそも、どこからジェスト様の名前が出て来るのですか?



「自分は男性を侍らせているのに、酷いです!」



こちらを非難する事ばかり言っていますけど、ご自分こそ見目の良いヤータ教の聖職者や信者の男性を侍らせているのに!



その言葉を発した瞬間、部屋の空気が変わりました。



「誰が…男だって?ボクは、女の子だよ!」



今まで、ユミコ様の言動に呆れて黙っていた、シノン様から低い声が聞こえ、かなり怒っておられるのがわかりますわ。




「えっ?そんな!?何で女なの?シナリオにそんな事書いてない!」



真っ青な顔で慌てて取り繕ろおうと、されていますけど無理があると思います。



「それとも、私の知らないルートでもあったの?」

と、また訳のわからない事を言っていますわ。




すると、キイナ様が、

ですか?

君よく言ってるみたいだけど、世の中をとでも混同しているのかい?

だとすると、かなり危険な思想だね。

それこそ、『ヤータ教の』のじゃないか?」




キイナ様の言葉に、ユミコ様の周りにいた方々からも動揺が見られ始めました。




すると今度は、青ざめた顔で

「な、何を言ってるの?

私は

その私が間違った事を言う訳ないじゃない!!」



かなり焦っていらっしゃいますわね。



「僕の親戚にヤータ教教会本部の偉い人がいてね。

今、『ユミコ様という【聖女】が実在している』のか、問い合わせているところなんだよね。」




ターク様の言葉に、益々焦って更に顔色を悪くするユミコ様。



すかさず、エリー様が



「そう言えば私、あなたが【聖魔法】を使用しているのを、一度も見た事ありませんけど……。

本当に使えるのですか?」



あら?そう言えばそうですわね?

わたくしも見た事ありませんわ。

というより誰も見た事が無いのではなくて?



すると、ユミコ様の周りにいた方々の1人が、激昂されて



「何を言ってる!ユミコ様は先月行われた、【合同演習】で大勢の学園生を治療されたのに、のは、ここにいる全員知っているんだぞ!」 




「「「「「そうだ!そうだ!!【聖女】ユミコ様に謝れ!貴族の横暴は、許さないぞ!」」」」」




それを聞いたユミコ様は、今度は真っ青を通り越して真っ白な顔で『しまった!』というような顔をされました。




はい?

この方達何を言ってますの?

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