第6話

ですって!!




言うに事欠いて何て事を!?

ユミコ様とその取り巻きの方達は今ので完全に、わたくしの親友であるFを敵に回しましたわね。




いつもの明るい声と違い、地を這うような低い声のエリー様。

10年来のお付き合いですが、彼女のこんな声を聞くのは、始めてです!




「聖女ユミコ様の手柄を奪うなんて、いくら貴族だからといって許される事ではない!」


「聖女ユミコ様を蔑ろにするなど言語道断!」


「高位貴族だからといって何でも自由になると思うなよ!」




皆さん、いろいろ言ってますけど、ユミコ様は【合同演習】で聖魔法を使う事を拒否して何もしないでサボっていただけですよ。

きちんと調べた上で言ってます?




それにしても、本当にこんな方が【聖女】なのでしょうか?

「「「「「聖女ユミコ様の手柄を横取りするな!」」」」」

後ろの方達は、喚いてます。

その度に、ユミコ様の顔色は悪くなり今にも倒れそうになっていますけどね。




しかし、後ろにいる彼等には顔色など見れないので、自分達の言葉がどれだけユミコ様を追い詰めているのかわからないようです。




これはターク様の言う通り、やはり大神殿に問い合わせて正解ですね。




などと、わたくしがいろいろと考えている間にも、エリー様のご機嫌は、更に悪くなっていました。




「へー……あなた達…それ、おっしゃっているのかしら?」




「当然だ!聖女ユミコ様の為、お前達の横暴を許す訳には、いかない!」

どうやら、決意は硬いようですね。




「では、あなた方を【不敬罪】で逮捕させて頂きますわ!」

エリー様が合図した瞬間、シノン様とキイナ様が素早く動き、天井から黒尽くめの方達が飛び降りて来て、ユミコ様のお仲間はあっと言う間に剣を突きつけられ、真っ青な顔で動けなりました。




あれはおそらく、ロピアー公爵家とボルネオール侯爵家の影の方達でしょう。

何故かケイト様の猫も居ますけど……

エリー様愛されていますね。




余程、怖かったのかユミコ様は立っていられなくなり、とうとう床に座り込んでしまいました。




その後、部屋に衛兵隊が来てユミコ様を残し、彼等を連行して行きましたわ。




エリー様はニッコリ笑って

「高位貴族を舐めないでくださいね。

いくら【聖女】様でものは、どうかと思いますわよ。」




「あ、あの人達どうなるの?」

と、ユミコ様は真っ白な顔で恐る恐る尋ねられました。




その質問にエリー様は

「そうね……。

あれだけ騒ぎを起こしたのだから、『ヤータ教破門』は間違いないですわね。

それから『鉱山奴隷』かしら?」




「そんな!酷いです!!」

エリー様を睨みつけて言ってますけど、全部ユミコ様の所為ですわよね?

「あら、原因を作ったのは貴女様でしょう?」



お可哀想に、あの方達だけの処分では済まないでしょう。

ユミコ様も罪な事を……




「さぁ、貴女も出て行ってもらいますわよ。」

その後、ユミコ様は第四騎士団に連行されて行きました。




これから厳しい取り調べがおこなわれるのでしょうね。

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