第二十三話「ルラ」

                ●


 自分を変えよう、だなんて。人生で何度思ったことだろうか。


 例えばそれは、地元を離れて遠くの高校に行くと決めた日。

 例えばそれは、一人でステージに立とうと決めた日。


 いつだってあたしは、劇的な何かを期待してた。

 オタクでも、陰キャでも、友達の一人もいないクソぼっちでも。

 高校生になれば、別の自分になれるはずだって信じてた。

 頑張ればきっと、何かが変わるはずだって願ってた。

 

                ●

  

 物心ついた時にはメガネでオタクで陰キャラだった。

 いや、冗談じゃなくて本当の話。

 漫画やアニメやゲームが好きな子どもなんてありふれてるけど、あたしの熱の入り方は尋常じゃなかった。更に好みがいちいち人と違うっていう、幼少期ながら既に逆張り厄介オタクの気質を備えていた。

 例えばどういう事なのかというと、あえて昔のゲームをプレイしたり、古い漫画を読んだり、他人の知らない事を知っている事に優越感を覚えていたりする。

 例えばどういう事なのかというと、子供向けのアニメで皆がAという主人公キャラに夢中になっている間、あたしは敵役のBに感情移入したり、サブキャラのDやEの関係性について妄想を巡らせている。

 

 そんなだから友達できねーんだよ。クソ。


 昔のあたしにそう言ってやりたい反面、お前はそれでいいと思う自分も居た。

 オタク、自己矛盾しがち。何なんだお前は。もうちょっと柔軟に生きろ。

 まあとにかく。実際、幼稚園、小学校、中学校と。友達と呼べる人間はあたしには居なかった。普通の人たちが話してる話題には全くついていけないし、かといってオタクグループの中でもカテゴリエラー、もしくは熱量が違いすぎてドン引きされる。まさにぼっちオブぼっち。真性のロンリーウルフ気質。教室に一人は居たよな。休み時間中何かずっと机に突っ伏してる奴。クラスの集合写真の隅っこで皆と距離を置いて立ってる奴。誰だよてめーは。あたしだよ。何か文句あっか。

 幸いなことに、お母さんがあたしにとってオタクの師匠で一番の友達みたいな感じだったから、普通に暮らしてて寂しい思いをした事は一度もなかったけれど。あたしも自分が抱えている問題には、早い段階から気づいていた。


 他人と上手くコミュニケーションが取れない。

 

 下手に取ろうとすればいつも失敗して、無駄に傷ついたり酷い自己嫌悪に陥る。

 果てしなく不毛で無価値な無限ループ。そりゃ陰キャにもなる。

 ただあたしが完全にそっち側に落ちるまでに、きっかけになる出来事もあった。


 小学校の時、アニメの話で意気投合したあおいちゃん。あたしにとって、あおいちゃんは普通に話せる唯一の親友で、何にも代えがたい存在だった。ある日の放課後、あおいちゃんの家で一緒に遊ぶ約束をして、あたしは意気揚々と遊び道具を入れたバッグを振り回し、あおいちゃんの家のインターホンを押した。


 しかし、家の中にはあおいちゃんのお友達が他に何人か集まって居た。


 てっきり二人で遊ぶんだと思ってたあたしは、それで何だかひどく哀しい気持ちになってしまった。どう見ても明らかに、あおいちゃんはあたしより他の皆との方が仲が良さそうだったからだ。あおいちゃんはあたしにとって唯一の親友なのに、あおいちゃんにとってのあたしは、何人も居る友達の内の一人に過ぎない。それを知った時、凄く自分が恥ずかしくなって、わけもわからない悔しさに襲われたあたしは、泣きながら走って家に帰った。


 今思うと本当にガキで、クソしょうもない話なんだけれど。

 自分と他人の熱量の差異。あたしという人間の面倒くささ。

 それらを考えた時、結局。あたしは独りのほうが幸福なのだろうと悟った。


 だからあたしは、口を閉ざした。他人ひとに合わせるのは割に合わないから。無難な会話を続けて仲良くなった所で、どうせあたしの本音や本当の自分なんて受け入れて貰えない。だったらそんな努力は無駄な骨折りじゃないかと思う。

 欲しいのはただ、心の平穏だった。人付き合いなんかより、さっさと家に帰ってネットでお気に入りのサイトを巡回したい。大好きなアニメやゲームの世界に浸りたい。一生推せるキャラ達の事だけを考えてたい。激しい『喜び』はいらない。 それでいて深い『絶望』もない。『植物の心』のような人生を……。


 とまでは、残念ながら、ならなかった。


 楽しそうに青春してる学園モノのアニメを見たり、ボカロの甘酸っぱい歌詞を噛み締めている時、ふと。カーテンの閉め切った暗い部屋で引き籠っている自分が急に小さく、寂しく、哀しく思えてくることがある。

 ああ。あたしってこれからの人生、ずっとこんな風に一人で部屋に籠ってるんだろうか。それはそれで楽だろうし幸せなんだろうけど。一生って一度しかないのに。あたしはまだ14歳なのに。10年後や20年後、今を振り返った時。思い出すのは自分の部屋でパソコンをしてる風景なのか――そう思った時。


(………………いや、流石にヤベェだろ!? ってか怖!?)


 ベッドから飛び起きて、あたしは本気で頭を抱えた。普通に嫌だそれ、と。

 どうやらあたしにも、中二の女子らしい感性はぎりぎりまだ残っていたらしい。

 本当は寂しい。一生このままとか嫌だ。あたしだって、友達が欲しい。思いっきり誰かと好きなモノを語りたい。一度くらい、青春っぽい事がしたい。

 だけど、どうしたらいいのか。中学じゃ完全に無口キャラで定着してるし、急に喋り出したら引かれるだけだし。今から真っ当な人間にとかなるとか絶対無理。


 ――なら。

 

(狙うしかないっ・・・禁断の高校デビュー・・・っ!)


 あまりにも安直な中学生的発想。凡人すぎてあたし一同涙が止まらない。

 だけどこのまま安穏な生活に身を置き続けるのが嫌なのも事実だった。

 それこそつまらない凡人の選択肢っていうか、普通のオタクルートっていうか。

 逆張り厄介クソオタクのあたしらしくもない気がして。

 

 身の程を弁えない、オタクの暴走。それが全ての不幸の始まり。


 ひとまずあたしは、来たるべき高校デビューの日に備えて準備を始める事にした。素手で勝算のない戦いに挑む程、あたしもバカじゃない。(アホ)

 とりあえず今のままじゃダメってのは分かってた。まず人と上手く話せないってのが大きなハンデ。だから、それをカバーする何かが必要だ。例えばめちゃくちゃ運動できるとか、めちゃくちゃ絵上手いとか。そういう突出した能力や特技を何か一つでも持っているなら、おのずと周りに人は集まってくるはず。――でも。

 

 あたしの特技って、なんだ?


 漫画やアニメやゲームの知識とかオタク要素は一旦置いておいて。

 単純に能力として見た時、あたしには一体何が残るんだ?

 運動はできない。勉強もできない。絵は描くけど、そんなに自信ない。ピアノは弾けるけど、めちゃくちゃ得意ってほどでもない。


(……あ)


 そして気づく。一つだけ本当に誰よりも好きで得意なものがあった事に。

 歌。歌だ。他人とはろくに話せない癖に、歌だけはあたしは昔から何故か得意だった。普段声を出そうもんならドモったり噎せ込んだりクソキモい事になるのに、歌になるとあたしは急に大きな声が出て、スラスラと言葉が出てくる。

 そう。歌を歌っている時だけ、あたしは何だか別人になったような気分になる。現実世界の自分から離れて、曲の中の主人公そのものになったかのように、自信満々に大声を出せる。深読みが大好きな、あたしなりの拡大解釈も添えて。

 同じ理由で、アニメキャラの声真似も得意だった。自分で録音して真剣に研究したり。安直に声優って職業に憧れを抱いたりもしてる。――勿論あくまでアレは真っ当なお芝居、役者仕事なんだから、根本的に陰キャでミーハーな声オタが安易に憧れるべきものじゃないって分かってるけど。演技というものに、興味はある。


 思ったその日に、あたしはお母さんにボイストレーニング教室に通いたいと頼み込んだ。普通に却下されたけど、週三回夕飯を作る約束で何とか許可を得た。


 次の問題は高校入学後、具体的に何をするのかだった。

 まず思い浮かんだのは演劇部。だけどボイトレの先生には、どうせ卒業後に養成所に通うつもりなら、今はもっと広く視野を持った方がいいと言われた。でも、別に他にやりたい事が特に思いつかない。

 そんな風に進路に迷っていた中三の夏、ネットニュースの記事で有名ボカロPが身バレしたとかいう記事を見つけた。誰かと思えばニコニコで有名なあの「ハルP」で、何でも軽音学部の全国大会を優勝したせいでバレたんだとか。

 びっくりしたのが、そのハルPがまだ高校一年生の16歳で、出身高校が隣の県っていう、割と凄い近場だったことだ。そして、それよりも。軽音学部という地元の学校ではまず見ないワードに、あたしは強く惹かれるものを感じた。


 思ったその日に、あたしはお父さんに隣の県の高校に通いたいと頼みこんだ。普通に却下されると思ったから、週5で夕飯を作ると条件をつけながら土下座した。

 お父さんは呆れたように首を横に振り、あたしにこう言った。


『ご飯なんて作らなくていいよ。その代わり――』


 瑞貴がやりたい事を本気でやりなさい。と。お父さんは笑顔でそう言った。

 県外に通うってだけでも、毎月のバス代だけで一万円。更に私立の高校ともなれば相当にお金がかかる。だけど両親は、嫌な顔を一つせずあたしを応援してくれた。昔からろくに外に出ず、ずっと一人で閉じこもっていたあたしが急に外向きにやる気を出したのを見て、ふたりとも、とても嬉しかったらしい。

 

 それから半年後。

 朝は六時起き、最寄りの駅まで徒歩10分。バスに揺られて約一時間半。

 駅についてから更に地下鉄に乗り、降りてから徒歩で約10分。


 ついに、あたしの高校デビューの日が訪れた。

 

 自己紹介用のメモは暗記済み。何度も鏡の前で自然な笑顔の練習をしたし、録音して親しみやすい声を研究した。思い切って眼鏡からコンタクトに変えて、簡単なメイクもお母さんに教えて貰った。歌は正直誰より上手い自信あったし、ピアノの腕も相当鍛えた。勝ったな。確信。正直もう勝てる気しかしな、


 結論から言うと、初日で即死した。

 

 自己紹介は噛み噛みだったし、話しかけられたけど滅茶苦茶キョドったし。

 入部した軽音学部はいつもの「はーい〇人組作ってー」のノリでグループ作りが始まって、ぼけーっとしてる間に数週間が過ぎた。あたしはもう完全に孤立して、中学の時と何も変わらない、休み時間中机に突っ伏してる痛い人に成り果てていた。


 えー、全国の中学生の皆さん、これが現実です。

 高校デビューなんて考えるのは絶対にやめとけ。

 車は急に止まれない。それと同じで人は急に変われない。

 アニメと現実はちげーんだって、分かってたはずだろ、オタク。

 

 ……まぁ、それはあたしに限った話なのかもしれないけど。

 

 このままじゃもう、どう考えても非リア街道まっしぐらなのは間違いなかった。今からでも演劇部に入ろうか。放課後、自分の机の前で頭を抱えていたその時。


「あの、姫路さん、だよね」

「えっ? あ、は、はい!?」


 知らない女の子に声を掛けられた。

 ミディアムボブのヘアスタイルで少し背の低い、大人しそうな子。

 喜多川あかり、と名乗ったその子は、あたしと同じように軽音学部でグループに入れず孤立してしまい、今になってメンバーを探しているらしかった。集まっているのは現在自分を含めて二人、これから部室で他のグループと合流して四人になるのだという。だから――もしよかったら一緒にどうですか、と。

 まだバンドを組めていないと素直に言ってしまった手前、あたしも後には引けなかった。言われるがまま席を立ち、軽音の部室に向かう。


「あ、おかえり、あかり。その子がさっき言ってた?」

「うん。D組の姫路さん」

「おー。よく一人で誘えたね、やるじゃんあかり。あ、あたし神崎。よろしくね、姫路さん」

「よ、ヨロシクオネガイシマス」


 神崎のえる、と名乗ったその女子は、見た目が完全にギャルだった。一年生なのに金髪だし、やけにスカート短いし。ってか、のえるって。一体どんなキラキラネームだよ。あたしみたいなオタクとは絶対分かり合えなさそうなタイプ。

 だけどそんな第一印象とは裏腹に、神崎は思いの外まともなそうな子だった。

 まず言動に、軽薄なヤンキー共にありがちな下品さがない。目つきもどこか据わっていて、大人びた印象がある。喜多川さんとは幼馴染らしく、軽音学部に入ったのも、幼馴染がバンドを組めず孤立してしまったのを見かねてって事だったらしい。

 仲良くなれるかどうかは分からないけど。友情に厚い子だなと思った。


「お。揃っているようだな」


 続けて、背の高いポニーテールの女子と、小っちゃい女子が部室に入ってくる。

 さっき言っていた、合流予定の二人だった。


「私はA組の秋本凛。ほら、なほも。怖がらずに挨拶して」

「あ、あうぅ……C組の、平田、なほです……」


 秋本と平田。こっちも幼馴染同士とのことだった。

 秋本は見た目と名前通りに凛とした性格の持ち主で、委員長とかやってそうな真面目そうな子だった。話し方がちょっと変だけど、たぶん中二病か何かだろう。

 一方で平田なほって子は、身体も声も小さくて、他人が怖いという感じの気弱な子だった。ベクトルは違うけど、あたしと少し似たようなオーラを感じた。


「集まったのは五人か。バンド名は後で決めるとして、まずはパート決めだな」

「その前にリーダーとか決めた方いいんじゃない? 秋本さん責任感強そうだし、どう?」

「む? 私がか? 他に異論がないなら、別にそれで構わないが」

「じゃあ賛成って人、挙手」


 三人が手をあげたので、あたしも慌てて手をあげる。


「じゃ、決まりだね」

「うむ。任せてくれ。喜んで受けさせてもらう。じゃあ早速パート決めの話に移ろうか。私はベース、なほはギターを既に購入しているのだが、三人はどうだ?」

「あたしはまだ何も決まってないから、とりあえず他に合わせよっかな」

「えっと私は、キーボード、とか……」

「あかり。遠慮してないでボーカルって言いな。その為に入ったんでしょ」

「あ、う、うん。じゃあ、ボーカルか、だめだったらキーボードで」

「なるほど。じゃあ姫路さんは?」

「え? あー、え……っと」


 あたしに視線が集中して、部室がしーんと静まり返る。思いっきり喜多川さんと希望パートが被ってしまって、とっさに言葉が出なかった。

 しばらく沈黙が続いた後、あたしは勇気を振り絞って喉を震わせる。


「あた、あたしも。ボーカルか、キーボード……」

「……ふーん」


 神崎さんが呟いて、あたしは一瞬ビクっと肩を震わせる。


「ま、やっぱ被るよね、ボーカルは。人気パートだし仕方ないか」

「そうだな。ではまずそれは後で決めるとして、神崎さん。パートの希望は特になしとの事だが、だったらドラムを頼めないか?」

「ドラム? ドラムってあのタイコのやつだよね?」

「うむ。バンドにおいては屋台骨、中心核となる存在だな。実直そうな神崎さんには向いていると思うが」

「あー……、別にやってもいいんだけど。あれってやっぱ結構重要だよね?」

「まぁ、そうだな。ドラムがミスったら割と致命的ではあるな」

「そっか。……いや、あたし、家の都合で多分あんまり練習時間取れないんだよね。あたしが下手糞過ぎて全部台無しーとか、そういう迷惑はかけたくないから、できればちょっと他のにさせてもらいたいんだけど」

「成程。となると、神崎さんのパート候補はボーカルかギターになるが」

「あー、じゃあギターかな。確かあれ、二人いてもいいんだよね」

「うむ。問題ないはずだ。……しかし弱ったな。残り二人がボーカルかキーボード志望で、ドラムが居ないとなると、バンドとして成立しなくなってしまう」

「あ、……じゃあそれって。私と姫路さんのどっちかがドラムやらなきゃダメって事になるのかな」

「え? ……あー、そっか。そういうことになっちゃうのか」

「ふ、ふぇぇ……?」


 全員が視線を右往左往させて、また気まずい空気になる。


「……仕方ない。この手はあまり使いたくないが、ジャンケンで――」

「……あ、いいよ。やっぱり私が」


 喜多川さんが何か言いかけたのを見て、あたしは咄嗟に声をあげた。


「……っ、あ、あたしが!!!」

「!?」


 突然大声を上げながら片手を挙げたあたしを見て、全員がびくりと硬直する。

 ゆっくり腕を下ろしながら、あたしは恐る恐る言葉を吐く。


「あ、あたしが、ドラム。やり、ます」


 ぽかーんと、みんな口を空けていた。


「……ひ、姫路さん?」

「……え? いいの? 姫路さん。でもさっきボーカル希望って……」

「えっ? あっ、ああ、あれ! 実はドラムの言い間違いだから!!」

「「そんな言い間違いある!?」のか!?」


 神崎と秋本、二人同時に突っ込まれてしまった。

 それから壊れた機械のように黙り込んでいると、皆あたしの意志を汲んでくれたようで、ボーカルは喜多川さんに決定する事となった。


「あ、ありがとうね、姫路さん。ボーカル、私なんかに譲ってくれて」

「ほんと、マジでありがとうね姫路さん。ドラム、やっぱあたし代わろっか?」

「い、イイヨ。ゼンゼン、キニシナイデ」


 平然と答えたつもりが物凄いロボット口調になり、二人に苦笑いをされてしまった。とりあえずその日は一旦解散。自分の家に帰った後、あたしは制服姿のままベッドにブッ倒れた。


(やっちまった―――――………………………)


 一体何やってんだお前? 途中まで頑張ってたのに、何で最後の最後で、譲っちまったんだ? アホか? どうせ良い人ヅラしたかっただけだろ、この偽善者め。

 だ、だって、もう。ああするしかないじゃん? 喜多川さんが誘ってくれなかったらあたしはまずバンドに入れてないわけだし。あのままボーカル希望ですキリッって顔してたらそれこそ完全に頭おかしい人だろうが。

 頭の中であたしとあたしが戦っている。もうやめろお前ら。不毛だから。


「……と、とりあえず」


 決まっちまったもんはしょうがない。バンドは組めたと前向きに考えるしか。

 早速、ネットでドラムセットの値段を確認する。――た、高ッ!? 安い奴でも五万とか!? とても今のあたしの手持ち金じゃ買える気しない。ってか、仮に買っても、そもそも置く場所ないじゃんこの部屋!? どうすんの!?

 何か、雑誌とかを代わりに叩けとかネットには書いてあるけど。流石に実物で基本を知らないと、どうにもこうにもならない気がする。でも軽音部の練習時間って、一週間に一度、一時間とからしいし。一体どうすれば――、そうだ。

 そしてあたしはドラムの教則本をポチった後、次からは始発のバスに乗っていくとお母さんに伝えた。要するに、朝練狙いだ。朝と昼休みの部室は自由時間。誰でも好きに練習していい事になっている。そこで実物を触るしかない。

 

 あたしを救えるのは、結局あたししか居ない。

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