第二十話「ファスナー」

                ◇


「いやあ、ようやく解放されたねえ高宮くん。お疲れ様」


 金曜日の放課後。松本教諭と二人で校長室を後にする。


「事情聴取はもういいってさ。これからは思う存分バンドに励むといい。あ、でも選抜ライブの前に中間テストがあるからね。それも忘れずにね」

「……はい。松本先生、ありがとうございました」


 深々と頭を下げる。俺も不良グループの仲間だったというあいつらの嘘の証言や、今回の事件を世間に露見させたくない教頭達に松本先生は徹底反論して、最後まで俺の味方で居続けてくれた。おかげで俺は奪られた金も戻ってきて無罪放免。この人が居なかったら、どうなっていたのか。


「いやいやいいんだよ。実は僕、ああいう熱血教師みたいな台詞一度言ってみたかったんだよねえ。でも全然機会が無いまま何十年も経っちゃった。うん。だからさしずめ、坂上と高宮君は数十年に一度の逸材だったって所だね。誇っていいよ」


 ぐっとサムズアップをしながら松本教諭は俺の背中を叩く。全く誇れないけれど、少しだけ気持ちが楽になるような気がした。


「高宮」


 二人で廊下を歩いていると、三好先輩が声を掛けてきた。


「大変だったな。……大丈夫か?」

「あ、はい。大丈夫です」

「そうか。……すまない。部長失格だな、俺は。結局、何もできなかった」

「いや……俺の方こそすみません。わざわざ俺の為に、気遣ってくれたみたいで」


 聞いた話では、三好先輩は先週から俺や坂上の行方を追って学校中で聞き込みをしていたらしい。ともかくこの人もまた、俺を救ってくれた人間の一人だ。


「……それで。選抜ライブには間に合いそうか?」

「え?」

「……お前のバンドと、俺達との勝負の話だ。坂上達の事を抜きにしても――お前はまだ、やる気でいるんだろ?」


 平然と、三好先輩はそんな事を口にする。その真剣な眼差しは、俺があの時に言った馬鹿みたいな宣戦布告を、本気で受け止めてくれていたのだと分かった。


「――はい。もちろん。出る気でいます」

「そうか。なら、楽しみにしてる」

 

 そう言って、俺の肩を軽く叩くと、三好先輩は颯爽と歩き去って行った。

 赤星先輩の言った通りだった。全然喋らなくて、冷たい人だなんていう噂もあったけれど。実際はただただ優しく、穏やかな人だった。ずっと見下されてるんじゃないかなんて思っていた自分が恥ずかしい。


「……彼もね、結構辛いだろうね」

「え?」

「ああ見えて、一年生の頃は坂上と仲が良かったから。いつのまにか、こじれちゃったみたいだけど。……人間関係なんて、ままならないもんだね」


 独り、去って行く背中を見送る。あの人の無表情の裏に隠された思いを、俺はきっと一生知ることはないんだろう。

 

                ◇


「あ、高宮」「高宮先輩」「よお、帰ってきたな。問題児」

 

 教室に戻ると、俺の机の前に人が集まっていた。水無瀬、響、安藤。そして五十嵐の四人。なんだか随分久しぶりに会う気がして、思わず顔が綻んだ。


「おう。いやーようやく解放されたぜ……」

「お疲れ様です。なんか大変なことになっちゃいましたね」

「ほんとだよ。親には泣かれるし、見ろよこの痣。たまったもんじゃねえわ」

「むしろハクがついていいんじゃね? パンクロッカーっぽいし」

「似合ってる似合ってる」

「うるせえ」


 安藤と水無瀬の弄りに笑い返しながら、俺は黙り込んだままの五十嵐を見る。


「五十嵐、……ごめんな。その、色々。勝手なことしちまって」

「……」


 俯いたまま、五十嵐は何も言わない。あの時の泣き顔が脳裏に浮かぶ。あの時一番俺を心配していたのは、きっと五十嵐だった。


「本当に、ごめん。俺、あいつらに――」

「……分かってるよ。脅されてたんだろ。だから、何も言わなかった」


 一向に目を合わせてくれないまま、五十嵐は机に置いたバッグを肩にかける。


「……今日、練習どうすんだ?」

「ん、ああ。えっと。五十嵐が良ければ、五十嵐の家で練習したいんだけど」

「……分かった。なら、先に行ってる」


 そして素っ気なく言うと、五十嵐は一人で教室を出て行ってしまった。

 僅かに沈黙が続いた後、安藤がぼそりと口を開く。


「……そういや五十嵐ってさ」

「ん?」

「……あー、いや。やっぱなんでもない」


 安藤は誤魔化すように頭を掻くと、机に置いたバッグを肩にかける。


「んじゃ俺ら帰るわ。水無瀬、帰りゲーセンでも寄ってこうぜ」

「ああ。練習頑張ってな、二人とも」

「おう。じゃあ俺らも行くか、響」

「はい」


 響と一緒に教室を出る。

 色々大変だったけど、これできっと元通りだ。以前と変わらずに、俺達は。


                ◇


「五十嵐、……今、なんて?」

 

 夕暮れのガレージに、茜色の光が差し込んでいる。

 ドラムのスツールに座った五十嵐は、もう一度深く息を吸って言った。


「……もうやめようぜ、軽音楽部」


 甲高いフィードバック音が鳴り響く。

 俺はアンプの電源を一度落として、もう一度問いを投げた。


「……やめるって、なんで」

「……くだらねえからだよ。軽音も、学校の連中も。バンドなんざ別に外でやりゃいい。練習場所も、ここで十分だ」

「いや、でも」

「そもそも音楽で勝負ってのが、まずくだらねえ。いくらアタシらが良い演奏しようと、三好のバンドってだけで投票する奴があの学校には大勢居る。その大勢ってのは坂上が流した適当な噂広めるだけ広めて、あいつが捕まった今、手のひら返しでお前を哀れんでる連中だ。そんな奴らを前に演奏して、まともな事が起きるとは思えない。――だからもう、やめようっつってんだ」


 五十嵐の言う事は、もっともだ。三好のバンドってだけで投票する奴がいる一方で、哀れみから俺のバンドに投票する奴も出て来るだろう。観客は決して公平じゃない。バンドをやるのに軽音楽部にこだわる必要はないというのもわかる。

 でも――その一点だけは。俺は譲れなかった。


「三好先輩達との勝負を、降りろっていうのか」

「そうだよ。少なくとも今のアタシらじゃ勝ち目なんかねえ。恥かくだけだ」

 

 その一言が胸を衝く。――確かに、今日の音合わせはみんなバラバラだった。

 何度も慣らしたはずの曲をやっても、微妙に息が合わなくなっている。以前は確かに感じられていたバンドの一体感が、完全に失われていた。


「やるからには絶対勝つとか言ってたよな、お前? ……勝ち目のない戦いに挑むのなんか自殺と一緒だ。そんなもんに、アタシらを付き合わせようってのか」

「じさ、……!? いや大袈裟だろ、それは」

「かもな。けど大袈裟ってんなら、この話自体がまず大袈裟すぎんだよ。結局お前、学校の連中を見返そうと思ってこの勝負仕掛けたんだろ。……くだらねえ。言いたい奴には言わせときゃいい。んな無理してまでやる必要、どこにあんだ」

「無理って、別に俺は何も無理なんか――」

「ッしてんだろ!!」


 スティックを地面に叩きつけ、シンバルを蹴り倒しながら五十嵐が立ち上がる。


「練習してて急に泣き出す奴が居るかよ! いきなり携帯ぶん投げたり、雨ん中走ってどっか消えたり! ――変だよ、お前。最近の話だけじゃない、

「……え?」


 最初から。――その一言に、ぞわりと寒気がした。


「髪の毛染めて、変なサングラスかけて、急に顔見せにきたと思ったらまるでガキの頃みたいに話しかけてきやがる。アホのヤンキー共に喧嘩売ったり、関係ねえいざこざに首突っ込んだり、何をするにもいちいち大袈裟で――! ……おかしいだろ。一年の時、あいつらにボコられて、ずっと目立たないように逃げ回ってたような奴が。……なんで急に、そんなことになんだよ」


 砕かれた仮面の破片が零れ落ちる。

 五十嵐の眼はもう、素顔のままの俺を見ていた。


「……痛々しくて見てらんねえんだよ、こっちは。自分から傷つきにいって、傷ついて、ヘラヘラ笑ってやがる。……これ以上、そんなやつに付き合いきれるかよ」

「五十嵐、さん――」

「そのふざけた呼び方もやめろ。なんでいちいちそんな、芝居がかって話すんだ。なんでそんな必死になって隠そうとしてんだ。とっくにバレバレなんだよ! お前が、無理して明るく振舞ってることなんか!!」

「ッだから無理なんかしてねえって言ってんだろ!!」


 息を荒げながら、俺は五十嵐と対峙する。


「……なんでだよ。どうしたんだよ五十嵐。なんで急にそんなに、怒ってんだよ」

「……急に、怒って? お前、それ、本気で言ってんのか」

「だって、問題はもう片付いたじゃねえか。そりゃ色々あったけど、やっと、普通に練習できるようになって、ようやくこれからって時にこんな――」


 ぽたりと、大粒の雫が床に落ちる。

 見開かれた五十嵐の眼から、また涙が溢れだしていた。


「……もう、いい」

「いい、って何が」


 袖で目を拭いながら、五十嵐は俺の前を横切る。


「……関係ねぇんだもんな? お前にとって、アタシなんて。ドラムが叩けて、練習場所持ってる、都合のいい存在ってだけなんだろ。もし他に同じようなヤツが居るなら、別にそいつでもいいんだろお前は」

「何、言って」

「アタシは降りる。そんなに外野の評価にこだわりたいんなら、一人で勝手にしろ。道具扱いはもう、……うんざりだ」


 鼻をすする音と一緒に、か細い声が小さく聞こえた。


「五十嵐!」


 小さい背中が遠ざかっていく。

 家の玄関扉の閉まる大きな音がして、それきりだった。


「……先輩」


 背後からの声に振り向けなかった。どんな顔をすればいいのかわからない。


「悪い、響。今日は、……解散だ」


 言い方を、間違えた。何でよりにもよってそんな言葉を選んでしまったのか。

 最後まで響と顔を合わせられないまま、俺は五十嵐の家を後にした。


                ◇

                 

 週末。俺は五十嵐の家に足を運んだ。インターホンを押すと、五十嵐のお袋さんが迎え入れてくれた。だけどあいつはあれから部屋に閉じこもりっきりらしく、お袋さんがいくら呼んでも二階から降りては来なかった。

 話がしたかった。謝らせてほしかった。電話やメールじゃなく、直接。

 月曜日の昼休み、D組の教室に行ってみた。あいつの友達二人の話では、今日は学校を休んだらしい。電話をかけてもらったけど、応答はなかった。


 B組の教室に戻ると、響が俺の机の前に立っていた。


「先輩、……ちょっといいですか」

「……ああ」


 響に連れられて、人気のない体育館裏までたどり着く。

 言われることは予想がついていた。

 そろそろ俺も、自分に愛想が尽きかけていた所だったから。

 俺も結局はあの坂上と同じで、群れなきゃ何もできない雑魚だ。自分の都合で勝手に始めた勝負に、他の人間を巻き込もうとしたのがそもそもの間違いで、五十嵐の言うとおり、本来なら勝手に一人でやるべきだった戦いなのだ。今となれば、何もかもが不誠実だったように思う。

 五十嵐が居ない今、もうバンドに未来はない。メッキの剥がれた俺には何の価値もない。だから、響の答えは一つしかない。


「――せんよ」

「――え?」


 顔を上げる。何を言われたのか、よく聞きとれなかった。


「やめませんよ、オレは。先輩と二人でも、バンド続けます」


 違う。

 違う、だろ。響。何でお前は、まだ、そんなことを言うんだ。


「確かに五十嵐先輩が居ないのは辛いですけど。最悪ドラムマシンでも使えば、んなんとか二人でも――」

「響、……なんで? なんでだよ」

「……」

「なんでまだ俺に付き合おうとするんだ。……俺は、お前の思ってるような奴じゃない。五十嵐が言ってただろ、去年の俺の事。あのチンピラ連中に絡まれて、逃げ回ってたのは本当のことだ。それが急に今年になって、あいつらに喧嘩売って、無関係なお前らを、危険に晒して。そのくせにまだ、今までどおりバンドやりたいなんてほざいた奴なんだぞ。……なあ、もうとっくに気づいてんだろ? 俺が本当はろくでもない奴だって。……思ってることあんなら、はっきり言ってくれよ」


 震える声でそう吐き出すと、響は堅く一文字に結んでいた口を静かに開いた。


「……そうですね。もうはっきり、言うべきなんでしょうね」


 掛けていた眼鏡を外して、視線を落としながら、響は溜息がちに言う。


「オレは、あんたの事が嫌いだった。……最初は」

「……え?」


 低い声と刺々しい口調に、戸惑う。


「……オレは最初あんたのことを軽蔑してた。見た目も言動もちゃらちゃらしてて、ギターも下手だし、学校中でよくない噂が流れてたし。なんだこいつって最初は思ってた。……だけど。あんたと一緒に居た五十嵐先輩。あの人のドラムは本物で。だからオレは、あんたを利用しようと考えた。姉貴が音楽を触れるきっかけを作るための、踏み台として」

「……踏み台?」 

「あんたは、姉貴とは真逆の性格で、姉貴が一番嫌いなタイプの人間だ。だからオレはあの人と五十嵐先輩を引き合わせた後――あんたを切り捨てて、三人でバンドをやろうと思ってた。あんたの事は体よく適当にあしらって、ボーカルは何処からか別に見つけてくればいい……そういう、腹積もりだった」


 利用してた。俺を。切り捨てるつもりだった。……響が。

 脳の理解が追いつかない。怒るとかそういう感情よりもただ困惑するしかない。


「でも姉貴は結局、やる気にはならなかった。この時点でオレの計画は失敗だった。……だけど、もうオレはそんなこと、とっくにどうでもよかった」


 固く拳を握り締めて、絞り出すように響は言葉を吐く。


「だってオレは普通に……あんたと、五十嵐先輩と。三人でバンドやってるあの時間を好きになってた。ギターは下手糞だけど、あんたの歌声は好きだった。思いっきり音楽を楽しんでるあんたに合わせてると、なんかオレも、楽しくなってきて。ずっと忘れてた事を思い出せたんだ。全然上手く弾けないのに、音が鳴ってるだけで楽しかった、最初の頃のあの気持ちを。――だから。最初は嫌いだったはずのあんたを、オレはいつのまにか好きになってた。このまま一緒にバンド続けたいって、そう思うようになった」


 ――岡峰、響。

 初対面の時の激しい印象に反して、大人しすぎる奴だとはずっと思っていた。

 だけどそれはやっぱり偽りで、コイツも沢山の思いを抱えていたのだと思い知る。ずっと、仮面を被っていた俺のように。


「あのスメルズの放送があった後、オレはあんたが本当はどういう人間なのか知りたくなった。時折見せるあんたの暗い表情が気になってたから。五十嵐先輩や吉井先輩に、それとなくあんたの昔の話を聞いた。野球の事とか、中学の文化祭の事とか、去年何をやっていたのか、とか。そしたらあんたは、一度折れた人間なんだってことがわかった。本当は割と暗い性格で、今は無理して明るく振舞ってるって事も、五十嵐先輩から聞いた。……その時オレはようやくあんたの事が分かった気がした。あんたは姉貴と真逆なんかじゃない。むしろ似てる人間なんだってことに」

「……? 俺と音無さんが、似てる?」


 流石に首を傾げた。

 暗い部分があるという意味では、当たっているのかもしれないけど。


「あんたは、……高宮先輩は。今どん底から這い上がろうとしてる。痛くても、辛くても。その先に叶えたい願いがあるから。そうでしょう」

「俺は、別に――」

「思ったんですよ。オレは。この人が今戦ってるものは、姉貴が勝ちたかったもので、諦めてしまったものなんだって」


 俺が戦ってるもの。あの人が諦めてしまったもの。それは。


「それは、自分自身だ。自分の中の理想に、先輩はちゃんと向き合ってる」

「……自分の中の、理想」


 ――俺は決めた。もう自分の本音から目を逸らさない。

 ――分不相応だろうとなんだろうと、憧れたもんに手を伸ばしたい。


 そんな言葉を、俺は確かに吐いていた。


「だからオレは、今は高宮先輩の事を好きだし、尊敬してます。先輩はオレが姉貴にそうあってほしいと願った姿そのものなんですよ。だから、オレは先輩に諦めてほしくない。昔の姉貴がそうだったように、オレの前を走り続けて欲しい」


 そして響は深く頭を下げて、俺に言った。


「だから先輩、バンドを続けさせてください。先輩のやりたい事に、オレも付き合わせてください。その先にあるモノに、オレも勝ちたいから」


 その言葉で、消えかけていた火が灯る。

 長い雨に濡れて、ふやけていた気持ちが甦る。 


「響」

「はい」

「お前、実はそんなキャラだったのね……」

「え、今そこ!?」


 響が豆鉄砲を食らったような顔をして、俺は顔を綻ばせる。


「いやー、でもいくらなんでも色々唐突すぎて引くわー……ってか眼鏡取ると急に口調変わるとかお前その設定自分で作ったの? うわー……」

「いや、違っ……ていうかあんたこそサングラス外すと急に真面目になったりするだろうが!?」

「バッバカヤロッお前これはち、違うよ!? 別にこれはそういう演出効果狙ってるわけじゃないよ!?」

 

 くだらないやり取りに、二人で笑いを零す。


「なんか案外、似た者同士なのかもな、俺ら」

「……そうですね」


 言いたい事とか、本当の顔とか、ずっとお互い隠し続けてたわけだ。

 何となく上辺だけの間柄だったのが、今はずいぶん近くに感じられる。


「……じゃあ響。改めてよろしく頼む。俺のバンドに、付き合ってくれ」

「……もちろん。喜んで」


 堅い握手を交わす。初めて触る響の手は見た目よりずっと厚く、力強かった。


「あとは、五十嵐先輩ですね」

「ああ。……響、五十嵐の言う通り、勝負を降りて外でバンドをやるって話についてはどう思ってる?」

「勝負をとるか、五十嵐先輩をとるかって話なら。当然、五十嵐先輩の方ですね。三人でバンドを続けられるのが一番ですよ」

「そっか。俺も同じ気持ちだ。放課後あいつん家行くけど、付き合ってくれるか」

「はい。ああ、でも今日オレ日直なので少し遅れるかもしれませんけど。……先輩がちゃんと話せば、きっと分かってくれますよ」

「……だと、いいけどな」


 響と話してみてわかった。俺達はきっと今まで本当の意味では仲間になれていなかった。五十嵐のことも、俺はまだ理解しきれていない。知らないことだらけだ。


 だから、知らなければ。あいつが怒った理由も、泣いた理由も。

 ちゃんと……全部。


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