第23話 領館のテラスにて

 ――気分を落ち着けるためにハルトは執務室を出た。


 こうしてやってきたのは、いつものテラスだった。


 手すりにもたれ掛かり、のどかな風景を見る。


「あら、お兄様、こんなところでどうされたのですか?」


 妹のアイリーンから後ろから声が掛かった。


「………いや、ちょっと執務に疲れたから今日は休暇にした」


(そう言えば、突然宣言したからセバスも困惑してたな)


 ハルトは自分の事で一杯で、回りが見えていなかったのである。


「あら、そうでしたの? お兄様、疲労回復にハーブティでも、いかがですか?」


「ああ、貰うよ」


「そちらにお掛けになって、お待ちくださいな」


 テラスにある白い円形のテーブルと白い2組の椅子の片方に座るように言った後に、足早に屋敷の中に戻っていく。


 ――椅子に腰かけるとこれからの事を考えることにした。

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