2週目 現状確認

第11話 王国歴1117年


 …………ハルト様!…………ハルト様!



 まどろみの中から俺を呼ぶ声が聞こえる。




「ハルト様! いかがされましたか!」

 そう呼ぶのはセバスだった。


「…………あれ、セバス? 軍隊はどうなった?」


「え? ハルト様…………何を言ってらっしゃるんですか? 大事な決裁中に惚けないでください」


 ここは領主の館の執務室。

 俺は椅子に座って領主の仕事をしてる途中のようだ。


(…………ああ、あれは夢か?)



 よく考えて思い出そうとすればするほど、まるで頭の中に霧が掛かったかの如く、思い出すことが出来ない。


(見た目はただの鉄球だったけど、恐らく先祖の神器だったに違いない。鉄球持って、土魔法で入り口をふさごうとしたところまでは覚えてるんだよなぁ)



 頭がまとまらないが、とりあえずは目の前の書類に目を通してみる。



 王国歴1117年度の冬の備蓄に関する倉庫拡張案が書いてある。



 1117年…………。



「1117年!?」


 思わず大声をあげ椅子を倒し、立ち上がっていた。


 セバスは何やら不審そうに見てきて声をかける。



「はい、それは今年の備蓄案の決裁書ですが、何か問題でも?」



「いや、それはいい。 悪いがちょっと頭冷やしてくるわ」


 こんなパニックになりそうな状態で仕事は出来ないと思ったため、ちょっと休憩をセバスに言って部屋を後にする。

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