第3話 老執事(バトラー)

とにかく統治はうまくいっているはずだった。


――今日のこの時までは。



「ハルト様―――――!!!」

「ああ、どうした?」




 ハルトには【土魔法】の【ギフト】を持っており、その効果もあり、比較的温暖な気候であるこの土地は作物も良く育つ。


 ハルトは持ち前のギフト【土魔法】を使い、畑を作っているところだった。


「一大事でございます!」

「ひょっとして、今年の春先に植えた田んぼの稲が枯れたか?」


 こんな平凡な辺境の地で一大事なんて、ハルトはたかが知れていると思っていた。


 息を切らせて走ってきた老執事がハルトに告げた一大事。

 それによりこの生活が終わりを意味をしていた。




「そんなことではございません!」


 この老執事の名前はセバス。


 この伯爵領に3代に渡って仕えているベテランだ。


 ちょっとやそっとの事では慌てないはずなんだが。


 そう言うと、セバスは、一枚の手紙らしき紙切れを渡す。



「えーと、なになに………開戦宣言書? …………え?」



 ――手紙の表を読むと、今日限りでエッグラース伯爵家滅亡のお知らせだった。


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