1週目 平凡な領主生活

第2話 一人の青年

 ~~王国歴1120年~~



 ――ここに畑仕事に精を出す青年が居た。


(今日もいい天気だなー。来年に向けてジャガイモ畑を開拓しとくか)




 彼の名前は、【ハルト・フォン・エッグラース】


 15歳の時に領主だった父が王都で陛下を守護する親衛隊の仕事をする為に成人したハルトに家督を相続。


 現在辺境伯の伯爵という地位についている貴族だ。


 親衛隊や王宮の仕事は別に手当と職位が貰えるが、領地にほとんど帰れなくなるとのこと。


 殆どのひとは掛け持ちでやらないそうだ。


 この国が特殊なのかもしれない。



 だが、父と母は王都で悠々自適な生活を楽しんでる。ハルトも同じである。ハルトは現在18歳。






 貴族が、ましてや当主がなぜ? 畑を作っているか?


 他の領主から見たら疑問が湧くだろう。


 この土地は、偉大な勇者を先祖を持つ末裔であるが為、歴代の子孫たちはこの土地を守り続けなければいけないという風習を持っている。


 広大な土地を持つが彼自身は領主としては平凡で、これと言って優れたところは無かった。


 かと言って特産品があるわけでもなく、寂れているわけではないが、とにかく統治はうまくいっているはずだった。




――今日のこの時までは。

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