第24話コメディは突然に
ジリリリリリリリリ
・・・・・・・・・・・・・・・・・
ここはどこだ?
俺は白い安穏(あんのん)の世界にいた。すべてが気持ちいい。
ジリリリリリリ。
・・・・・・・・・・・
そこからまどろんでいた。何か重要なことを忘れている気がする・・・・・・・・
ジリリリリリリり
そうだ、今日は学校だ。早く目を覚さねば。
ジリリリリリリ。
それで俺は覚醒の時を迎えた。
ジリリリリリリリ!!!!!!!!
俺は目覚ましを止めて時間を確認する。今は7時か。まだ、間に合うな。
その時俺は気づいた。いつもは起こしてくれる美亜は今日はなぜ起こしてくれなかったということを。
「美亜」
美亜はまだ寝ていた。身動ぎひとつもしないで素直に寝ていた。俺は美亜を起こす。
「美亜、美亜」
「ぅぅん、ぅん」
そして、す〜ぴーす〜ぴー寝ていた。
「困ったな」
ひとまず、俺は着替えて、そして、美亜の布団を剥ぎ(はぎ)取った。
「美亜!」
大音量で話しかける。しかし、まだ美亜は寝ていた。
「まいったな」
昨日は中世ヨーロッパ史を一夜漬けした。重要なところだけ教えたが、それでもここ数日の慣れない勉強で確実に美亜の疲労が溜まっていっているのはわかった。
「美亜!」
俺は美亜の体を馬乗りになって肩を掴んで(つかんで)揺さぶりをかける。
「お・き・ろ!!」
美亜の香りが鼻腔(びくう)に入る。他の女子とは違う、なんだか変な匂い。とてもじゃないがいい匂いとは言えない。
「ん、うぅ・・・・・・・」
「起きろ!美亜!」
ご近所迷惑かくやの大音量で俺は美亜に言った。
その時美亜のまぶたが薄く開く。
「お兄、ちゃん・・・・・・」
「起きたか?美亜?」
そして、美亜はまじまじと俺と自分の体を見つめ。
「きゃああ!!!」
俺を突き飛ばした。
「ちょっと!お兄ちゃん!いくら仲がいいからと言ってやっていいことと悪いことが!」
「美亜、時計」
美亜はマジマジ目覚まし時計を見た。
「ぎゃああああ!!!!7時30分!なんで起こしてくれなかったの!?お兄ちゃん!?」
「起こそうとした結果ああなった。じゃあ、俺は朝食を食べるからな。早く来いよ」
「ちょっと!待ってよ!お兄ちゃん!」
美亜の悲鳴を聞かず、俺はさっさと朝食を食べた。食べている途中にバタバタとした音が聞こえ、美亜が現れた。
「今日はトーストだぞ。苺ジャムとピーナッツバター、どっちがいい?」
「苺」
「わかった」
俺はすでに焼いてあったトーストを引っ張り出して、トレイに苺ジャムとスプーンとコーヒーを美亜の目の前においた。
美亜はまだこっくりこっくりしている。
「美亜、美亜」
俺は美亜の肩を揺さぶり起こした。それに美亜もハッとした表情になる。
「ごめん、お兄ちゃん。そんなに時間はないよね。急いで食べるよ」
「ああ。食器は俺が洗っておくよ。美亜は早く学校に行ってノートで復習しておいて」
「うん」
それから美亜は急いで食べて出ていった。俺は美亜の分の食器を洗って、また家から出ていった。
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