第13話小さい頃は

 小さい時は俺も幼く、美亜に暴力を振るったこともあったが、その時はお父さんにこってり絞られて(しぼられて)、夕飯が抜きにして、家から追い出されたこともあった。


 俺がどれだけ泣いても無駄だった。最低30分は追い出されて、美亜に謝るまで許されなかった。


 しかし、小さい時の俺は嫌だった。あんな生意気なことを言う妹が大嫌いだった。


 でも、さすがに1時間も経つとさみしくなって、渋々(しぶしぶ)美亜に頭を下げた。


 その時は早くこいつと縁を切りたい、といつも思ったことだ。だから、美亜の誕生日にプレゼントは絶対に渡さなかった。

 そうやって、俺が小6まで俺たちは喧嘩ばかりしていた。


 それが変わったのは中1の時。

 こいつは仲良くしようとする気はなかった。ただ、親は絶対に美亜に味方だし、どれだけあがいても変わらないと思った時、ま、いっか、と思ったのだ。


 それはお父さんの影響が大きいと思う。お父さんはいつもお母さんに優しくしていたから、俺も美亜に優しくしていいかな?と思ったのだ。


 その時は妹と仲良くなりたいと思ってなかった。なんと言うか、ま、いっか、みたいな精神で、自分がしたいことを我慢しても別に大したことはないのだと気づいたのだ。


 そして、それが続いた中3の時、俺の誕生日の両親からプレゼントと他に1万円をもらった。妹と仲良くしてくれたお礼とのことだった。


 そのお金を使って、俺は美亜にパフェを奢ったら(おごったら)美亜はそれをとても喜んでくれて、その時あたりだろうか?俺が美亜に献身的(けんしんてき)に尽くすようになったのは。


 そして、今に至る。

 あの時は本気で妹のことをうざがり、本気でこいつと縁を切りたいと思っていた。まさか、こんなに仲良くなれるとは思わなかった。

 人生とは不思議なものだ。

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