第5話

とある高層ビルの最上階。


扉が開くと、ズボンのポケットに手を入れるプライドと二メートルぐらいあろう巨体を舌がラース入る。


それを追うように腕を組むスロウスとラストが入ってきた。


「わぁ、おかえりぃ」


彼らが目にしたのはソファーでチュロスを片方に座るグラトニーとその横で上半身裸で腕立て伏せをしているグリードだった。


「百っと——ふぅ……おう! みんなおかえり!! プライドとラースもお疲れさん! お前達には100グリードポイントをあげよう!」


「いらねぇよ、そんな訳のわかんねぇポイント」


「一ポイントでゲーム一個買えるよ」


「いらん」


「なんだよ、ノリ悪いなぁ……スロウスたちに——」


グリードがスロウスとラストに聞いた瞬間、二人に「いらない」と言われ、ひざから崩れ落ち「くそぉ……くそぉ……」と呟く。


「四人ともエンヴィーに報告してきたらぁ?」


そう言いグラトニーは奥の扉を見る。


「あぁ、そうする」とスロウスは答え、四人は奥の部屋へ向かった。






銀髪の男は手を後ろに組み、モニターに映る街を眺めている。


仲良しそうに腕を組むカップル、忙しそうに働くサラリーマン、繁華街を歩く学生達。


彼の目に映るのはそんな平和な風景であった。


「おい、エンヴィー。今日も飽きずバードウォッチングかぁ?」


「プライド、エンヴィーに失礼だろ」


「だってつまらなくねぇかぁ? のうのうと生きて、なんも考えてないコイツらの映像ばっか見てよ」


「まだまだ若いな、人を見るのも面白いものだぞ」


そう言いエンヴィーは振り返り「四人ともよく無事に戻ってきた」と一言発した。


「特にプライドとラース。お前達のおかけでヴィランを倒せた。よくやった」


「ハッ、善良な市民を守るヒーローだからなぁ。まぁ、市民の方はヒーローとして見てねぇけどな」


「プライド!」


「ラース、大丈夫だ……問題ない」


エンヴィーはそう言い、ラースをなだめる。


プライドが皮肉を言うのも仕方がないことである。


どれだけ命を張って助けても、能力者は人間の敵なのだ。


「エンヴィー、いいか」


スロウスがエンヴィーに問いかける。


「なんだスロウス?」


「今回のヴィラン、古賀 聖磨こが せいまの話なんだが、能力は『伝波でんぱ』だった」


「やっかいな能力だったわ」


「そうか『伝波』か……わかった、記録しておこう。スロウスとラストもよくやった。あとのことは任せなさい」


「それじゃ俺たちはここで置賜おいたまさせてもらうわ、行こうぜラース」


そう言いプライドはきびすを返し、片手を軽く振る。


その姿を見てラースは溜息を吐きながら、一緒について行くのだった。


「それじゃ行こう、スロウス」


「あぁ」とスロウスは答え、二人は後ろの扉に向かった。


四人を見送った後、部屋にいるのはエンヴィーだけ。


「何か嫌な予感がする」


彼はそう呟くのだった。

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