第2話 死神シオン2

「……。」

 これまた興味本位だったのだが、嘘のように黙ってしまった。私の悪い癖だ。

 「ご、ごめん。聞いてほしくないこともあるよね。」

 そう言って顔色を伺おうとシオンの顔を見た。

 

 肌は日焼けという言葉を知らないほど真っ白で、それと同じくらい髪も綺麗な白銀だった。

 鼻は高く、唇は肌と見分けがつかないくらい血色が悪い。

 瞳はというと……、閉じている。

 「わっ!」

 

 私は更に身を乗り出して、大声でシオンを起こした。

 「わっ、びっくりした……。どうしたの?」

 「どうしたの?じゃないでしょ。今寝てたよね、私の話聞いてた?」

 シオンの瞳が月明かりでより一層大きくなったように見えた。

 

 「あはは。ごめん、ごめん。でもね、茜は僕に興味あるでしょ、だから罰だってこと教えて茜の死には関われないってこと言おうと思って。」

 

 「えっ、………」

 しっかり聞いていたことよりも私の死に関われないことよりも、さらに驚いたことがあった。

 放心している私の横でシオンは顔を覗き込んでくる。

 「茜、どしたの?」

 「私、貴方に名前言ったっけ?」

 シオンはニヤリと笑うと私の口に人差し指を当ててから言った。

 「秘密。って言っても僕、死神だし知ってても可笑しくないでしょ。あはは。」

 

 上手くかわされた気がする……。けど、まぁいいや。自己紹介する手間が省けたから。

「単刀直入に言うわ。私を殺せないなら、貴方に用はないの。邪魔しないで。」

 そう吐き捨てて、屋上を後にした。

 

 これで終わると思っていた。罪悪感、悲しみ、苦しみ、虚無感、私という全てが。

 それなのに、また失敗。

 「どうして死なせてくれないのよ、バカ……」

どこに向けたか分からないその言葉は、ほとんど声にならず白い吐息になって宙へ消えた。

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