第51話 王の最後の魔法

 ゲームは終わり、キィダとレブンは目を覚ましたものの、ティルジン王は一人ずっと息苦しいのを耐えていた。

「ティルジン王のことどうしたらいいのかな・・・」とレイはカルデとレブンに聞いた。2人もどうしたらいいのかわからない様子で、何も言わなかった。

「殺せ、ばい、い、じゃない、か。お前、の父の記、憶を、消し、た、張本、人、だぞ」

「殺すなら、もう殺してるよ」とレブンはポツリと呟いた。

「なら、ば・・・」ティルジン王はいら立ちを隠さず、顔をしかめながら右手を無理矢理勢いよく上げた。すると、

「バアッ」と青い光が辺りを飛び回りながら、大きなダイヤができていった。そしてダイヤは急に粉々に砕け散り、破片はレイ、ティルジン王、レブン、カルデに勢いよく当たった。避けようがないほどに破片は細かく、散っていた。ティルジン王はこの魔法で残っていた力を全て使ってしまったらしく、そのまま目から光を失い、ほのかに笑みを浮かべながら生きる力を失った。ガラスのような破片は肌を切り裂き、服を貫いて刺さるものまであった。すると、レイには大きな破片が横を勢いよく通過した気がした。

「ドスッ」とレイの後ろから重く刺さった音がした。

「うっ」カルデは苦しそうに声をあげた。レイとレブンはカルデを見た。大きな破片はカルデの胸あたりに刺さっていた。赤い液体は刺さっているところから、じわじわと広がりながらカルデの体の熱を奪っているようだった。破片が当たったり刺さったりしてくる痛みを忘れるほどに、レイとレブンには心苦しい光景だった。すると新たな大きな破片が、

「ビッ」とレイの足に当たり、右足の脹脛の肉を切った。

「ズキンッ」と足から痛みが走り、

「ドサッ」とレイは地面に落ちた。レブンはどうすることもできず、ただ痛みに耐えながら破片が飛んでくるのが終わるのを待つしかなかった。カルデの目からも光が失われ、息をしなくなってしまった。レイとレブンは涙を流した。どうすることもできない自分たちをただ責めながら。すると、

「ブワッ」と黒い光が破片らを包み込み、一気に消し去った。だがその瞬間に、レイは急に眠気に襲われた。視界が狭くなり、誰かの声が聞こえたような気がしたが、それが誰なのかわかないままレイは気絶した。

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