第49話 過去の罪②

 ある日スペディアはカドラを呼んだ。ティルジン王には

「何故魔王を呼んだのか」なんて疑問よりも、

「魔王を利用して父を殺そう」という考えだけを抱き続けた。カドラがスペディアの部屋から出てくると、ティルジン王は

「魔王、私に協力する気はないか?」と声をかけた。

「何にだ?」

「王を殺す」

「・・・ほう。王の座でも奪い取るのか?」

「奪い取ってこの世の全てを私の思い通りにしてやるのだ」

「・・・いいだろう、面白そうだ」カドラは同意し、スペディア暗殺計画が作られた。計画実行の日、スペディアは

「お前のような奴は王になどなれない」と言い捨てた。

「お前だけには言われたくない」すると、

「パチンッ」と音が鳴り響き、スペディアは苦しそうに胸を抑えた。

「うっ・・・」ティルジン王はニヤリと笑った。

「何を・・・し、た?」ティルジン王はゆっくりとスペディアのところへ歩いた。ティルジン王はそっとナイフをポケットから取り出した。

「!お前・・・」

「いつも思っていた。あんなにも優しかった母上はなぜ死ななければならなかったのか。母を殺した父こそ死ぬべきではないのか」そしてティルジン王はナイフをスペディアの腹部に刺した。

「うぐっ」ティルジン王はスペディアを思い切り睨んだ。

「おま、えもいつ、か私の、よ、に殺、される・・・」

「全員を私の言うとおりにさせるまでだ」スペディアは目から光を失い、息をしなくなってしまった。ティルジン王は後ろを振り返り、

「これからは私の時代だ!」とカドラに向かってにんまりと笑って言った。

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