第47話 魔王の裏切り

 「俺がお前を殺すからだ」カドラは思いっきり笑った。レイとティルジン王は寒気に襲われた。

「な、なぜ私を殺すんだ?裏切るつもりか?父を殺すときは協力したくせにどういうつもりだ!」とティルジン王は怒りで叫んだ。

「私は幼少期から父に人間の不幸話ばかり聞いていた。いつもいつも聞き飽きるほどに聞かされた。ある日私は自分の手で他人を不幸にさせることに興味を持った。罪を背負い、その罪を償う気のないやつが絶望した顔は傑作だ。特にお前のようなやつはなおさらだ」とカドラは舌なめずりをしながら言った。ティルジン王は怒りに震え、拳を作りカドラに殴りにかかった。カドラはすまし顔でその姿を眺めていた。ティルジン王の拳がカドラの顔面のすぐ前に来ると、

「ブファア」と青い羽根がカドラの方に舞い散った。

「ほう、私の魔法を真似するとは努力したな。だがまだまだ弱いな」とカドラは上から目線でティルジン王をあざ笑った。

「ツ」とカドラがティルジン王のおでこに指を当てると、カドラの周りを舞っていた羽根が全てティルジン王に向き、勢いよくティルジン王にあたりに行った。羽根が顔をかすったと思うと、かすったところからは血が出てきていた。カドラは羽根を一つ手に取ると、ティルジン王の胸に軽く刺した。

「いっ」すると、

「ドクン」と心臓の音が大きく鳴り響き、呼吸を苦しくさせた。

「クハッ」とティルジン王は吐ききれない空気を吐いた。

「ドサッ」とティルジン王は地面に倒れた。体が思うように動かず、無意味にあえぎ続けた。するとカドラはまるで奴隷を見下ろすような冷たい目をして、ティルジン王を見下ろした。ティルジン王は目を見開いて青ざめた。

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