第36話 遺言

 カドラの顔がカルデの顔のすぐ近くに来ると、

「僕は一生あなたを恨み続けます。僕の父も祖父も曽祖父までもを殺してきたあなただけは許せません」レイはシクマが人殺しをしていたことに驚きを隠せなかった。

「好きにしろ。だが一つだけ言っておく、他からの命令でやっただけだ。お前だってわかってるだろ、夢で一番邪魔扱いされやすいのが光だってことぐらい」

「それはあなたのような人が世界を支配しようとするから光が邪魔扱いされやすいだけです。僕たちは悪くありません」

「で話なんだが、お前はキィダ・レヴ・ケイゼンから何を言われた?」カドラは話をそらした。

「何のことですか。僕はキィダ・レヴ・ケイゼンが死んだ後に生まれたんですよ?」

「そうだな。じゃあお前の親父に何を言われた?」

「・・・意味のわからないことです」

「やはりそうか。あれは’’思いの魔法’’でしか解読できないからな」

「あなたはわかってて無駄に僕に聞くんですね」

「無駄ではない。とにかくなんて言われたんだ?」

「・・・君の子孫の誰かがいつか大きな戦いに巻き込まれるだろう。その日がいつ来ようともおかしくはない。鍵となるのは1人の少年だよ」レイはわけがわからなかった。カドラが思いの魔法でしか解読できないと言っていたのに、レイには普通のメッセージにしか聞こえなかった。

「ふむ・・・他には何もないのか?」

「ないですよ」

「俺は 未来に君が求めているものが見られるよ。 ’’バディア’’ を覚えとくと良い と言われた」

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