第35話 対立

 「僕が思った通り、来ましたね。カドラ・リディナル」カルデは笑顔をしているものの、目の奥に冷たく光るものには憎しみがあるようだった。レイが後ろを振り向くと、見覚えのある人物が立っていた。

「お前か、光の精霊は。そっちは俺が誰だかわかってたんだな」とカドラは言った。レイは呆然とした。カドラと呼ばれた男はどこからどう見ても、シクマにしか見えなかったからだ。

「僕は今までの精霊よりも用心深いので」

「まあその方が話は早い」

「あなたが精霊と話をするとは思いませんでした」

「これでも先代の頃から魔王は紳士なのだがなぁ・・・」カドラはカルデに迫っていった。一歩一歩カルデへと歩く度に魔法が解けるかのように、カドラの正体が露わになっていった。目は黒色から金色と赤色に変化し、頭には真っ黒のねじれた角が現れ、髪は藍色から真っ黒に染まり一部が真っ白だった。爪は真っ黒に染まり、右の頬にギザギザで真っ黒の線が斜めに入り、服は真っ黒に染まり、真っ黒に染まった羽がカドラの周りを舞った。

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