第6話 3日目①

部屋に戻り一息ついた。

いや〜疲れた疲れた。

慣れない仕事をするわ。

魔獣とか戦って怪我するわ。

肉体的にも精神的にも疲れたわ。

そうだ汗をかいたしクリーンを使ってみるか。

全身を意識してクリーン、おお身体中が綺麗になった気がする。


ステータスオープン


ダイチ・クゼ  15才  Lv1

職業 冒険者【Z】

HP 30/30

MP 10/20

攻撃力 10

防御力 10

魔攻撃 05

魔防御 05

敏捷性 10

耐久力 10

運   10

剣術 Lv1斬

土魔法Lv1

生活魔法 クリーン

EXスキル インベントリLv1


と表示された。

あれ?剣術と土魔法あったんだ。

昼間は良く見なかったから気が付かなかった。


ステータスは魔法攻撃力と防御力は一桁で、他は軒並み10か。


高いのか低いのか分からん。

でもなんだか低そう!?

もう一度インベントリ使ってみるか。

お金出てこないかなぁ。

やっぱり出て来ないや。

明日メアリーさんにスキルの事聞いてみるか。


そうそう本を読んでみよう。

先ずは生活魔法か。

灯りをつけるのがライト。

暖めるがヒート。

点火がイグナイトか。


ライト!おお灯りが付いた。

ヒート!残念何も感じない。

イグナイト!何も起きない。


結局クリーンとライトだけか使えるのは。


魔法属性は火、水、氷、風、雷、土の他に光と闇と無属性があるのか。

唯一持ってる土魔法もここじゃ実験出来ないし明日草原で試してみるかな。


植物図鑑のページには、薬草や毒草の種類が、絵で書いてあり色付けもされていて、簡単な説明文もあった。

なんだか眠くなって来た。


◇◆◇◆◇◆◇


「チュン、チュン、チュンチュン」

今日は小鳥のさえずりで目が覚めた。


一階に下りると女将さんに声を掛けられた。

「おはよう。早起きね。朝食まで後2時間くらい掛かるわ」

「なんだか、早く起きないとそのまま死んでしまう気がして」

「クス、それは年寄りの言う事よ。若い子が言う事じゃないわ」 


「時間あるので井戸の周りで素振りしようと思うんですが、良いですか?」

「今はあなたしか居ないから良いけど、周りを良く見て怪我させないようにね」


井戸の水で顔を洗い、いつもの準備体操を始めた。

右手をつかの前、左手を柄の後で握り小指、薬指、中指に力を入れて剣を構える。

肘にはあまり力を入れないでゆったりとし、右足を前に左足は半歩後ろにしかかとを少し上げる。


剣をゆっくり頭の上まで上げて、お腹の真ん中辺りまで振り下ろし、両腕を内側に雑巾を絞るように止め、両足は半歩前に出す。

今度は両足を半歩後ろに引きながら剣を振り下ろす。


誰かに習ったのだろうか!?

素振りをすると動作がしっくりくる。

素振りを50回繰り返し、腕立て伏せ30回を交互にし3セット行った。


肩の辺りがバキバキするのは運動不足だろう。毎日コツコツやって筋肉増やしていかないとね。


植物図鑑を眺めて時間潰して、朝食取ってからギルドに向かった。


「今日も早いのね。剣に革ベストに肩から鞄掛けて冒険者らしくなって来たわね」

「今日は森に行って薬草でも採取しようかなと思いまして」


「うちは見ての通り冒険者少ないから、薬草採取も捗らなくて薬師も困っているの。頑張って沢山取って来てね。種類は区別がつく?」


「本に図鑑があったので多分分かるかと。でもどの辺りに生えているんですかね?」

「ポーションの材料になる月見草や毒消しの毒ダミ草はA層奥からB層の中間辺りの木陰に生えてるわ」


「A層B層って何ですか?」

「通常の魔獣とかがあまり出ない草原がA層、森に入りF〜Hランクの低級魔獣が出てくるのがB層で、所々に杭や立て札があるわ。Aの立て札や杭を見つけたら、その先はB層だから初心者は油断しないように」

「了解しました。このアーリー村周辺ではどんな魔獣が出るんですか?」

「魔獣はA層の一角兎とB層の魔猪ぐらい」


「え、マッチョって何ですか?」

「マッチョじゃなくてマチョ!イノシシよ。突進力が凄くて当たり所が悪けりゃ大怪我するし、初心者なら死んでしまう事があるの。ダイチ君にはまだ無理だと思うから、出会ってしまったら煙玉使うか、大きな木の後ろで突進避けながら逃げるのね。直ぐに背中を向けて、一直線に逃げるのはとても危険よ」


「煙玉ってなんですか?」


カウンターの棚から灰色の直径3cmほどの丸い玉を取り出して「これよ、これ。魔力を流し込んで地面に投げつければ煙が出るから、その間に逃げるのよ」


結局安全性を説かれ初級ポーション2500ギル、初級解毒剤2500ギル、煙玉1500ギル×2で8000ギルの出費となった。

「毎度あり」

メアリーさんはしてやったりのニコニコ顔だ。

なんだか少し腹が立つ。

残りのお金が32,260ギルとなった。


「あ、そうそう。薬草取りに行くならナイフも必要よ。根っこから引き抜くと同じ場所から当分生えないけど、根本からスパっと切れば半月ぐらいで、また同じ所で収穫出来るからね」


「くう〜また出費か。後で雑貨屋さん行きますよ」

「あとこの辺には野兎や八面鳥や野鹿が出るわ。野鹿の雄は縄張り意識が強く襲ってくる事があるから要注意。襲われたら魔猪と同じく今は逃げた方が良いわよ」

「分かりました。じゃあ行って来ます。」


ギルドを出て雑貨屋さんで刃渡り15cmの鉄のタガーナイフを4000ギルで購入。

ヘンリーさん宅に寄り竹水筒二本貰い水も入れて貰って準備完了。

いざ、しゅっぱ〜つ。


残金28,260ギル。

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