第5話 お買い物

17時過ぎにヘンリーさん宅に戻り、積荷を下ろし依頼完了のサインを貰った。

「お疲れ様でした。今日の仕事のお礼に竹の余りがあるから竹水筒2つ作ってあげるよ。明日時間が出来たら顔を出しておくれ」

「こちらこそありがとう御座いました」


倒した一角兎2羽を手に持ちギルドに向かった。

「あら、一角兎2羽も倒したの。凄いわね」とメアリーさんに褒められた。

「うちは小さなギルドなんで解体職員いないのよ。隣に肉屋兼パン屋があるから、そこで解体してもらって伝票貰って来てね」 


隣の肉屋さんに行き解体を頼む。

「そう、君がダイチ君だね。全部引き取りで良い?」

「肉は1羽分持って帰りますので、それ以外を引き取って下さい」

「肉が1000ギル、角が2×200、毛皮が2×300で合計2000ギルだよ。これが伝票だからギルドでお金貰ってね。持って帰る肉は後で取りに来るかい?」 

「はい、そうします」


ギルドに戻り伝票とヘンリーさんのサインを渡す。

「はい、お疲れ様でした。ヘンリーさんの依頼4000ギル、素材が2000ギル、一角兎2羽討伐で400ギルの合計6400ギル。税金10%引いて5760ギルね。全部硬貨でいい?」


「はい、現金でお願いします。所でこの金貨は幾らですか?」

ポケットから昼間インベントリから手に入れた金貨を一枚出して見せた。


「あれ?お金持ってたの?これは小金貨だから1万ギルよ」


「昼間にあちこち服を弄ってたら出てきたんですよ」

「そう良かったわね。朝あなた慌てて出て行ったから渡しそびれちゃったんだけど、これが冒険者の襟章ね。これは上着の襟か胸のポケットに付けるのが慣わしなの。あなたの上着見た事ないデザインだけど穴が開いて無いわね。朝冗談で揶揄ったお詫びに私がやってあげましょうか?」


「はい、お願いします」と言って上着を脱いで渡した。

カウンターの後ろで裁縫道具を取り出し、しばらくすると左の襟に2つ穴が空き、その周りは刺繍で補強されていた。

襟章はネジの様になっており穴に通して後ろから丸いネジで留めるようだ。


「銅製のの様なマークが前、Hのマークが後ろね。鳥のマークが職業冒険者の証で、Hのマークが冒険者のランクね。ランクは上からSS.S.A.B.C.D.E.F.G.Hの10段階よ」


「うわー気が遠くなりそう」


「ギルドの依頼をコツコツこなしていけばどんどん上がって行くわよ。ただ最初はランク上がり辛くしているの。初心者が無理して亡くなってしまう事が多かったので、Fランクまでは貢献ポイント少ないのに、沢山稼がないといけないのよ」


「これは又時間がある時に説明するわね。今日のポイント記録するからプレートをここに翳してくれる?」

カウンターにある金属板にプレートを翳すと光を帯びた。

「はい、これで終了ね。こっちが本日の代金5760ギルね」


銀貨5枚、直径1cm程の小銀貨7枚、銅貨6枚だったので、昼間手に入れたのは小金貨5枚に銀貨10枚だから6万ギルだったようだ。


とりあえず雑貨屋さんに寄ってどんな物があるか見てみよっかな。

「メアリーさん色々ありがとうございました。また明日」

ギルドを出て肉屋に寄り竹皮に包まれた兎肉を貰って村長さんの家に向かった。


「村長さんいらっしゃいますか?」とドアをノックした。

「おやおやダイチ君どうしたのかね?今日はお金稼いだかい?」

「ええ、お陰様で無事稼げました。宿代や登録費用を立て替えて貰ったのですが、今日お金が見つかりお返し出来る事になりました。」

銀貨5枚を手渡そうとしたが、村長が首を振った。


「良いんだよ。まだ色々買いたい物もあるだろ!?お金が足りなくて満足な装備が買えず亡くなった冒険者は山程居る。お金は返さなく良いから装備でも買いなさい」 


「そうですか、ありがとうございます。これは今日仕留めた一角兎のお肉なんですが、お召し上がり下さい」

「そうかありがとうね。婆さんも喜ぶだろうよ。明日もまた頑張って稼ぎなさいね」

村長宅を出て今度こそ雑貨屋さんに向かった。


カランコロン、ドアを開けたら音が鳴った。

「いらっしゃいませ。おや初めてですね」

「昨日からアーリー村でお世話になってるダイチです」


「あっ、ポルネコさんと一緒に来た子だね」

「へぇ良くそんな事知ってますね」

「そりゃこんな小さな村ですから、直ぐに噂は広がりますよ。多分村中もう知らない人は居ないのでは!?ふふふ。本日はどんな物をお探しで?」


「とりあえず武器と防具を見せて貰えますか?武器は剣がイイなぁ」

「それでしたら先ずはショートソードかな。刃渡りは30cmの青銅製と銅製。ちょっと振ってみます?」

外に出て振ってみたが意外と重い。両手ならそれなりに振れる。

「どうでした?こっちは通常サイズの青銅製ソードで刃渡り50cm」

こりゃ重くて今の自分には扱い難い。


「ショートソードは幾らですか?」

「青銅製が3000ギル、銅製が5000ギルです」

(まあ初心者だし、とりあえず安いのを使ってから、買い替えて行く方が無難だなと思った)

「少し考えます。防具はどんなのがありますか?」


「そうですね。初心者でもお勧めなのがこの鹿革のベスト。胸とお腹の所は二重貼りで強度を上げてます。背中は一重貼りで5000ギルです」


上着を脱いで試着させて貰った。意外と軽くて動き易いし、胸やお腹はしっかりと厚みがあり強度がありそうだ。

武器と防具は目安が付いたので、辺りをキョロキョロ見回すと本があった。


【冒険者の知識 初級編】

「ちょっと見させて貰えますか?その本」

「ええ、良いですよ」

パラパラめくると植物の図鑑、初級魔法の種類や詠唱方法、ステータスや職業の種類などが書いてあった。

これは欲しい。

「これは幾らですか?」

「15000ギルです」

「かぁ、やっぱ高いんだなぁ本は。10000ギルなら何とかなるんですが…」

「10000ギルじゃ赤字になっちゃいますよ。ふふふ。これは私が隣町に行った時に運良く見つけた物で、本来田舎の村には置いてないですから」


「その肩から掛ける鞄は幾らですか?」

「これは3000ギルです」

「それでは青銅製ショートソードと鹿革ベストと鞄と本で合計幾らですか?」

「3000+5000+3000+15000で26000ギルです」

それから30分程交渉し、なんだかんだで23000ギルにまけて貰って宿に戻った。


宿屋に戻ると夕食の時間で、夕食代500ギルと宿代2000ギルを払い夕食を食べた。


残金40,260ギル。






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