【照会】 - 3年前の退職金

『申し訳ございません、すぐにはお答えいたしかねますので、確認してご連絡いたします』


隣で同僚がそう言って、電話を切った。

随分長々と電話に捕まっていたようだったので、聞いてみると。


「なんか、今離婚調停中らしくて、3年前に退職したと仮定した場合の退職金の金額を教えて貰えないかって、聞かれたの」


とのこと。

なるほど。

共有財産の分配に関わっている、ということかな。

離婚するときって、結婚後に2人で稼いだ財産は分配するんだよね、確か。

詳しくは知らないけど。

退職金も、共有財産に入るのかな。

でも、こんな照会受けたのは、初めてな気がする。

結構キッチリ分けようとしているのかな、共有財産を。


ただ、残念(?)なことに、我らの請負業務のマニュアルには記載の無い、イレギュラー案件だ。

ということで。

この案件は、J会社にお任せ~。

そのうち、この人から「離婚」の申請が上がって来るんだろうな。

調停中だから、もうちょっと、時間かかるのかな。


今回電話を受けたのは同僚だったけれども。

人事部って、結構、『人生相談』的な電話を受けることも、多いのですよ。

正直


知らんがな


と思う事、多々。

見も知らない他社の社員に、よくそんなプライベートな赤裸々な相談をできるなぁ、とも思うけれども。

逆にね。

見も知らない他社の社員だからこそ、言いやすいのかな。

ただ。

申し訳ないけど。

請負業務の中に、『人生相談』入ってないんで。


・・・・今度、別料金、徴収しちゃろか・・・・


なんて。

思ったりします。

意地悪ですかね?

でも、こちらもビジネスなんで。


・・・・長時間電話に拘束されてしまうと、自分の仕事が全然終わらないんですよね・・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る