第8話幻影の鉱石場・III

僕は外へとでた、メアリーは少し心配そうな顔を浮かべていた。

無理ないさ、僕が怒ったら大体はやばいことを考えて突っ込んでしまう。

その手間を省く様にメガネを、かけた青年が壁に背もたれしていた。まるで何かを待ってるかのようにそこにいた。



「久しいな、あの団長の直属部下だったゴミクズが…。なぜここにいる?」

「理由なんて聞いてどうするつもりだ。ここに来たくて来たわけじゃない」

「まんまと罠に飛び込んだバカ、それがお前なんだろ? ルイス」

「そんなつもりじゃないって言ってるだろ。相変わらず頭硬いのは変わらないね、スクラン・ブルクス」



腕組みを解いてゆっくりと壁から背を離し、右手に持つ長刀をゆっくりと構える。



「少々、口が度が過ぎる。粛清命令に基づきお前を排除する――――」



ブルクスは僕に目掛けて走り、長刀を穿つがなにかの障壁が現れはじき飛ばした。


「―――っ。なんだそれは?」

「錬金術も勉強していてね。"無白色の壁オールシールド"と呼ばれる触れていた鉱物や物の強度を、指一本愚か…斬ることも不可能だ」

「想像だけでそんなまやかしみたいなのができる? 有り得んな、俺の刀出来れぬ物はない!」



火花だ蹴散らせ、微動たりもしないルイスの姿にブルクスは連撃を叩く。


「今実に虫の居所悪い。そんなわけでだ、この可愛いスライムをお前にやるよ」

「は?訳分からんことを!」

「理解できないなら見て感じるんだね、僕の"ティマー"は神級だ」


スライムを撫でた瞬間、人型をした男性が出現した。どうやら怒りに反応してサッキュッパス男性を作ったらしい。



「マスター命令を」

「あのメガネ野郎を、永遠の営みを与えてきて」

「はっ! 我が命に変えてもやり遂げましょ!」

「あと、せめてパンツ履いて」

「私としたことが…お恥ずかしい…」



剣撃のするブルクス、僕の頭上を飛び越えて着地したサッキュッパス男性。

腕を組み仁王立ちすると、ゆっくりと腕を上げて指をブルクスに向けて発する。


「な、なんだ貴様は!?」

「名を名乗る程じゃないが、今からお前の嫁になってやろう! さぁ、全力で受け止めろ!」

「な、何を言って―――」

「二度は言わん、マスターの命令を背く訳には行かんのだ!!」


ダッダッダっと地面を踏み鳴らしてブルクスへ猛ダッシュする。

ブルクスは長刀を構えて振り回すが、躱され躱され、決めポーズ、躱され、躱され、躱され、決めポーズを繰り返すが次第にパンツの蓄積ダメージが入り破れてしまう。



「うぉぉぉぉぉ――――!!」



サッキュッパス男性は野生化したような雄叫びを上げて走る、走る。

さすがに、ブルクスは苦笑いだが冷静さを保ちながらも発する。



「我が斬撃受けてなお、全裸ダッシュとは愚の骨頂。いや、変質者の極みだが―――"フロート・アクア"」


水魔法をブルクスは放った、スクリューのように回転する単発型一直線の魔法。

当たれば、固いものでも吹き飛ばす威力を誇るがサッキュッパス男性に衝突するのだが―――。



「ぬぅぅぅぅっ!! 何たる水圧っ!! 我が身を消し飛ばそうとするのかっ! 否! これはぁぁぁぁぁこれはだなぁぁぁぁぁ―――!!」



なんとサッキュッパス男性は怪力で押し返しながら少しずつ前に進む。

ブルクスは、更に魔力を高めて巨大な水のスクリューを放つ――――。



「愛の試練! これ以外、考えられぬのだ! 嗚呼、我が身にやどる精神よ。こんな障壁位で、負けませんぞ――――!!」



サッキュッパス男性は、拳を振り抜き逆巻くスクリューに打ち付ける。



穿て拳障壁ストレートパンチ!!」


パァンッ! っと水を弾く音が鳴り響き魔法を砕いた。



「な、なにっ!? 我が魔法をたったで壊しただと―――?」

「今そちらに行きますぞ――!!」

「く、くるなぁぁぁぁ―――!!」

「む、逃げるではない! 吾輩を、暑く強く抱きしめ下されぇぇぇぇぇ――――!!」

「卑劣なものを揺らしながら全力疾走しないでくれ――――!!」

「逃しませぬぞ!!」



駆け巡る足音が次第に遠くなる、どうやら遠くに逃げたらしい。

メアリーの方を向くと両手を顔に当てて、指の隙間から見ていた。



「ルイスもあんなものがあるのね?」

「少しは女の子らしいのは無いのかよ」

「恥ずかしいけど、見ちゃいけないけど、私は変態だった」

「今知った話じゃないんだけど、そもそもサッキュッパスって走る卑猥か飛ぶ変態かのどちらかだよ」

「むー、ルイスも少しは女の子をカバーできる喋り方してよ。走る卑猥ってただの変態じゃん」

「今の奴を見てなんて思う?」


メアリーは呆れて答えた。


「走る卑猥」


僕も納得して頷き、呆れつつも話す


「だろ? 僕が切れたらサッキュッパス男性が作れちゃうとか、ほんと未知な刻印だね」

刻印おまじないだよ、私はルイスと契約した証よ」

「えーと、小さい頃だからよく覚えてないけど…。魔界? の力が引き出せるんだっけ?」

「うんうん、だから私は何時でもルイスにあえるの。ティマーは魔界の力で変化したんだよ」




悪魔的ティマーってのがこの世に存在した、かの勇者は魔王に勝ちましたがなにか物足りなかったので―――。



怯える魔族達を、勇者は倒さずに共に暮らしました。魔王領域は健康的になり、いつしか魔王となっていたが、彼の野望はここからだった。

なんとハーレム大国を作り、ある能力を目覚めた勇者―――それこそがルイスの力の起源となった。



なので、代々魔族に伝えてられて"婚約者"にその刻印を刻むらしい。



「ふむふむ、勇者の穢れた力か…。ん? 婚約者???」

「うん」

「…なにかの冗談?」

「割とガチ」

「うぁぁぁぁぁぁ!!?」

「え? 何いきなり…?」

「普通に淡い恋愛したかったぁぁぁぁ――!」

「へ? ルイス…?」

「いやぁぁぁぁぁ―――!!そんなのないよ―――!!」

「ルイス、大丈夫…?」

「うん、メアリー幼馴染だから恋愛感情が働かない…」

「魅力ないって事!?」

「貧乳最高以外はない」

「うー、まぁ頑張る…」

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