第4話

 公社の一階は受付とか待合所がある郵便局とか市役所みたいな感じのフロアで、階下に降りると酒場・食堂みたいな場所があり、実際に数人の迷宮守りが酒を飲んで漫然と時間を潰していた。そこのカウンター脇にある裏口を出て、ゴミ箱やら植木やら寝そべってる奴やらをよけて通路を進むとボロっちい建物がある。管理人は、エルフじみた小難しい顰め面の婆さんで、ニボシを齧っていた。


「公社に紹介されて来ました、部屋を借りたいんだけど」


 婆さんは黙ってニボシを齧りながらレオンを凝視した。


「部屋は空いていますか?」


「二〇五号室。家賃は週払いだよ」


 レオンはそれを支払ってギシギシいう階段を上って部屋に入った。薄暗く、狭く、饐えた臭いのする一室だ。備え付けのいかにも不潔なベッドに横たわり、とりあえず寝ることにした。

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