(3)ベーネちゃんは頑張る
「わっ私はこの冬休みの間にもっと精進したいと思っています、出来れば冬の学園ダンジョンも上級コースに挑みたいんです」
「…………なる程」
全然冬休みを満喫する気とかなかった、もう休む気満々だったのがとても恥ずかしい。
いい歳して怠けることしか考えてないとかアホかお前はって自分で自分に呆れる。
ちなみに冬の学園ダンジョンってのは今私達がいるこの雪山ダンジョンのことである。
ダンジョンにも初級、中級、上級とあって、この雪山ダンジョンは中級に位置する。
「それではこれから行くのは」
「はいっこの雪山の頂上の広場には上級ダンジョン『氷花の神殿』に挑みます」
いつになくベーネちゃんからやる気が満ちあふれてる、このやる気を無駄にしたくない。
「分かりました、転移でも行けますがどうしますか?」
「もちろん!…………………転移でお願いします」
「……………」
そう言う所も好きだよベーネちゃん、君は私に近い、ナマケモノさんな部分を否定出来ない子だよね。コタツに入るとダメと分かってても昼寝してしまうくらい欲望に弱い子だ。
話がまとまった所で食事を手早く済ませて早速転移魔法を発動、私達は雪山ダンジョンの頂上に向かった。
そして雪山ダンジョンの頂上にて。
「キャアアアアアアアアアアアアアアッ!」
ベーネちゃんは逃げ回っていた、追い掛けてるのは白いローブに身を包んだ下半身が透けてるじいさんオバケの巨人、ホロウスノーキャスターだ。
この雪山ダンジョンの頂上に現れるボスモンスターである。
全長は3メートルくらいのゴーストなんだけどコイツ氷系の魔法とか効かないって能力持ちなのだ。
つまりゴーレム魔法で雪の巨人で戦うベーネちゃんにはコイツにダメージを与える手段がない。
「………………」
私はてっきり他にも切り札的な魔法を持っていると思っていたのだけど。
「アオノさん!助けて下さいよーーー!」
ベーネちゃんのあのやる気、まさか私もパーティーメンバーとして数えてのものだったのか?。
そこは普通自分1人でやってやりますよ的な意思表示だと思ってたのに、けどまあベーネちゃんだしなそこはやっぱり安定のゆとり世代(この異世界でのね)って事で。
「分かりました、なら倒しますよ?」
私は魔法を発動する、今回使う魔法は………。
「
何の捻りもないが除霊の魔法である、ゴーストやオバケは消えて天に召される。罪人は地獄に叩き落とす魔法です。
私の右手から放たれた白い光がホロウスノーキャスターに向かってかっとんで行く、ホロウスノーキャスターは魔法使いらしく防御魔法で結界を展開するが、私の魔法が秒で貫通、ヤツを除霊した。
オオオ~~って感じの地鳴りみたいな悲鳴を上げながらホロウスノーキャスターは消滅した。
「ハァッハァッハァッ……ほ、本当に一瞬で退治してしまいましたね、アオノさんの魔法って何でそんなに強力なんですか?」
「ハハハッまあ修行とかしましたからね」
ウソである、私を転生させた青い太陽みたいな存在曰く、私には物凄い魔法の才能があるって話だった。
まあどこまで本当の話か怪しいが、少なくとも中年の魔法がチート魔法なのはその通りだと思う。
まさかベーネちゃんも魔法を覚えて数ヵ月のおっさんに助けられてるとは思うまい。
話しても彼女がショックを受けるだけなので余計な事は言わない、ベーネちゃんには自分のスピードで成長していってほしいからね。
私のケースは何の手本にもならないよ、凡才極まる凡人に無理矢理、馬鹿げた力を移植した様な有様だからな。
まあ中年の話とかどうでもいい、ボスモンスターを倒した事で上級ダンジョンへと転移出来る魔法陣が雪山の頂上の広間の中心に現れた。
アレに乗れば上級ダンジョンである。
「それではベーネさん行きますか?」
「………はいっ!今度は戦いになる様に努力します」
努力するって当たり前の事だけど、やっぱり凄い事なんだよね。
私達は魔法陣の上にライドオン、そして転移した。
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